エリア拡大が急速に進行中、高速で安価な次世代高速通信サービス「UQ WiMAX」を徹底解剖
下り最大40Mbps、上り最大10Mbpsという高速通信技術「モバイルWiMAX」を採用することで、高速通信を実現しているだけでなく、リーズナブルな利用料金や従来の携帯電話とは一線を画した安価な端末価格を実現するなど、革新的な次世代高速通信サービス「UQ WiMAX」が、2010年2月26日にサービス開始から丸1年を迎えました。
そこで今回、「UQ WiMAX」のメリットなどを解説した上で、実際にどれだけ使えるようになったのかといったテストや、エリアの整備状況についてチェックしてみました。今まで興味はあったものの、どのようなサービスなのかが今一つ分からないといった人や、利用できるエリアが気になっていたという人は特にチェックしてみるのもいいかもしれません。
詳細は以下から。
■そもそもモバイルWiMAXとは?
WiMAXとは「Worldwide Interoperability for Microwave Access」の略で、IEEE(電気電子学会)標準規格802.16eをベースに規格化された高速ワイヤレスインターネットです。日常生活のあちこちで利用されている無線LANとは異なり、広いエリアで利用可能となるため、外出先や移動中も高速インターネットを楽しむことが可能になります。
電波状況や回線の混雑状況、端末などによって異なるものの、規格上の通信速度は下り最大40Mbps、上り最大10Mbpsとなっています。
■安価な通信料金
UQ WiMAXの料金プランは2種類あり、どれだけ使っても月額4480円の「UQ Flat」と最安月額380円から上限4980円の2段階定額プラン「UQ Step」があります。
料金プランのイメージ。ちなみに「UQ Flat」の月額料金(4480円)は2010年2月現在、他社のHSDPAを利用した高速データ通信サービスの上限額と比較した場合、最安となっています。
■端末価格も安価
UQ WiMAXのサービスに対応した通信カードは公式サイトでも販売されていますが、新規契約でも機種変更でも1万2800円であるなど、端末価格の高騰が進む携帯電話とは一線を画しているほか、モバイルWiMAXは大手半導体メーカーのIntelが主導して世界規模で普及を進めている規格であるため、世界的に普及するにしたがって、端末価格がより安価になることも十分考えられます。
そしてWiMAX通信機能を搭載したノートパソコンなども続々と販売されていますが、「WiMAX機器追加オプション」を利用すると、1つの回線を複数のWiMAX機器で利用できるようになり、状況に応じて機器を使い分けられるのも大きなメリットです。
■実際にパフォーマンスを計測してみた
さっそくモバイルWiMAXサービスのパフォーマンスがどれほどのものなのかを以下の4ヶ所で測定してみました。
パソコンにシンセイコーポレーション製のUSBタイプWiMAX通信カード「MW-U2510」を接続したところ。ちなみにGIGAZINE編集部では「BIC WiMAX Service」を利用しています。
1.大阪市郊外にあるGIGAZINE編集部
建物自体が電波を通しにくい鉄筋コンクリート造りであるせいか、電波は2本でした。
2.大阪市郊外にある阪神電鉄「千船」駅待合室
電波状況は2~3本。ちなみに最大は5本です。
3.ヨドバシカメラ マルチメディア梅田
1階にあるサンマルクカフェの店内で使ってみました。
電波は4本
4.大阪の中心部、梅田駅の隣にある商業施設「Nu茶屋町」前
電波はなんと5本。MAXです。
◆テスト
通信速度を「スピードテスト/ブロードバンド通信速度測定サイト:speed.rbbtoday.com」で3回測定した平均と測定結果をまとめました。カッコ内の数字はアンテナの本数です。
1.GIGAZINE編集部(2本)
平均下り:9.76Mbps
平均上り:1.54Mbps
1回目
計測日時 : 2010年3月18日木曜日 15時36分46秒
下り(ISP→PC): 9.32Mbps
上り(PC→ISP): 1.08Mbps
2回目
計測日時 : 2010年3月18日木曜日 15時38分24秒
下り(ISP→PC): 10.11Mbps
上り(PC→ISP): 1.11Mbps
3回目
計測日時 : 2010年3月18日木曜日 15時39分05秒
下り(ISP→PC): 9.84Mbps
上り(PC→ISP): 2.42Mbps
2.阪神千船駅(2~3本)
平均下り:10.7Mbps
平均上り:1.86Mbps
1回目
計測日時 : 2010年3月18日木曜日 15時55分34秒
下り(ISP→PC): 10.4Mbps
上り(PC→ISP): 1.49Mbps
2回目
計測日時 : 2010年3月18日木曜日 15時56分19秒
下り(ISP→PC): 10.94Mbps
上り(PC→ISP): 1.99Mbps
3回目
計測日時 : 2010年3月18日木曜日 15時56分58秒
下り(ISP→PC): 10.77Mbps
上り(PC→ISP): 2.1Mbps
3.ヨドバシカメラ マルチメディア梅田(4本)
平均下り:11.12Mbps
平均上り:2.34Mbps
1回目
計測日時 : 2010年3月18日木曜日 16時29分56秒
下り(ISP→PC): 10.53Mbps
上り(PC→ISP): 3.67Mbps
2回目
計測日時 : 2010年3月18日木曜日 16時30分41秒
下り(ISP→PC): 11.18Mbps
上り(PC→ISP): 2.04Mbps
3回目
計測日時 : 2010年3月18日木曜日 16時31分37秒
下り(ISP→PC): 11.65Mbps
上り(PC→ISP): 1.31Mbps
4.Nu茶屋町前(5本)
平均下り:10.92Mbps
平均上り:1.39Mbps
1回目
計測日時 : 2010年3月18日木曜日 16時56分31秒
下り(ISP→PC): 10.96Mbps
上り(PC→ISP): 1.94Mbps
2回目
計測日時 : 2010年3月18日木曜日 16時57分03秒
下り(ISP→PC): 10.72Mbps
上り(PC→ISP): 1Mbps
3回目
計測日時 : 2010年3月18日木曜日 16時57分39秒
下り(ISP→PC): 11.09Mbps
上り(PC→ISP): 1.22Mbps
総評:
電波によって確かにパフォーマンスが変わるものの、電波状況が悪くても多くの場所で10Mbpsを超えるパフォーマンスが出たほか、基本的に人口密集地であれば基地局あたりのユーザーが増えるため、パフォーマンスが落ちる傾向があるにもかかわらず、大阪・梅田の中心地のような人口密集地でも高速通信を利用できるようになるなど、「モバイルブロードバンド」というキャッチコピーに見合った測定結果になっています。
■気になるエリアは?
2009年2月26日にサービスを開始して、まだ1年しか経過していないため、エリアが気になる人も多いかと思われる「UQ WiMAX」ですが、UQコミュニケーションズは基地局を整備するペースを当初の予定の1.5倍に引き上げており、すでに2010年1月の時点で5000局の基地局が開設されています。
そしてUQコミュニケーションズのスタッフによると、自社の社員に対しては「自宅で電波が入るようになったのか」という調査を定期的に行っており、最新の調査では23区内在住の社員の93%が「自宅で入るようになった」と回答しているそうです。
また、正式サービスを開始するにあたっては、負荷実験のために社員50人がひたすら神楽坂を練り歩いて1つの基地局に一気にアクセスしてみたり、WiMAX通信カードを搭載したパソコンを持って京浜東北線に乗ってテストをしてみたりと、血のにじむような努力をしていたとのこと。
これがモバイルWiMAXの基地局です。
基地局が建造されていく様子。
このようにして日本全国に基地局が設置されています。ちなみに2010年1月26日の時点でモバイルWiMAXの基地局は全国47都道府県で開局済みです。
今この瞬間にも、日本のあちこちで新たなサービスエリアが増えているのかもしれません。
ちなみにエリアが気になる人のために、以下のリンクで最新のサービスエリア情報や、自宅やオフィスがWiMAXサービスを利用できるかどうかをピンポイントでチェックできる「ピンポイントエリア判定サービス」が提供されています。
UQ WiMAX | サービスエリア
そして「実際にWiMAXを使ってみたい!」という人のために、最大15日間無料でWiMAXサービスを利用できる「TRY WiMAX」サービスも実施されており、大手家電量販店の店頭に加えて、以下のリンクから申し込むことができるようになっています。
UQ WiMAX | Try WiMAX
また、2月26日から3月31日にかけて、開業1周年を記念した「UQ WiMAX半額キャンペーン」が実施されているので、気になる人はチェックしてみるのもいいかもしれません。
UQ WiMAX | UQ WiMAX端末 半額キャンペーン
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