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中国がASMLの元エンジニアと協力してEUVリソグラフィー装置のリバースエンジニアリングに成功したとの報道、試作機が既に完成しており高性能半導体の自国生産間近か


昨今の高性能半導体を製造するためには「極端紫外線(EUV)リソグラフィ」と呼ばれる技術が不可欠で、世界で唯一、オランダの企業ASMLだけが関連機器を製造していますが、アメリカの圧力を受けたオランダの制裁措置の影響でASMLは中国との取引を禁じられています。このため中国では高性能半導体の開発が滞っているのですが、新たに、中国が独自のEUVリソグラフィー装置を生み出したと伝えられました。

Exclusive: How China built its ‘Manhattan Project’ to rival the West in AI chips | Reuters
https://www.reuters.com/world/china/how-china-built-its-manhattan-project-rival-west-ai-chips-2025-12-17/

Exclusive: Inside China Push to Rival the West in AI Chip Technology
https://iwcp.net/exclusive-inside-china-push-to-rival-the-west-in-ai-chip-technology/

ロイターの報道によると、中国はASMLの元エンジニアリングチームの協力を得て、深センにある研究所でASMLのEUV装置をリバースエンジニアリングし、独自のEUV装置の試作機を構築したとのこと。

EUVリソグラフィー装置は極紫外線ビームを用いて人間の髪の毛の数千分の1の薄さの回路をシリコンウェハーにエッチングする技術です。関係者によれば、中国の装置は稼働状態にあり極紫外光の発光には成功しているものの、正常に動作する半導体の製造には至っていないといいます。


EUVリソグラフィー装置には複雑な構造がいくつかあり、中国のエンジニアが試作品にどのような技術を採用したかはまだ不明ですが、エンジニアたちはASMLの旧型装置の部品を流用しているとのことです。遅くとも2028年までに試作機で実用的な半導体の生産を開始することを目的としていますが、関係者は「より現実的な目標は2030年」という情報を共有しました。

関係者らはこの計画を「マンハッタン計画」の中国版だと表現しました。関係者は、「このプロジェクトに採用された中国人のベテラン技術者は、高額な契約金と共に偽名で発行された身分証を受け取ったことに驚いていた。指示は明確で、国家安全保障上の機密扱いだった。中国出身のASML元技術者・科学者も含まれていた」などと話したといいます。

また、オランダ在住の中国人ASML現従業員2名が、ロイターに対して「少なくとも2020年以降、Huaweiの採用担当者から接触があった」と証言しました。


ASMLはロイターに対し、「営業秘密と機密情報を厳重に保護している」と述べました。また、EUV技術の知識を保護するため、社内でも選別された従業員のみが情報にアクセスできる体制を整えていると説明しました。

西側諸国が輸出規制を通じて中国の進歩を遅らせようとしているにもかかわらず、中国はアナリストの予想より早く技術を進歩させている模様。中国は低性能の半導体、通称「レガシーチップ」で着々とシェアを拡大しており、高性能半導体の量産が行われればあらゆる半導体のシェアを伸ばす可能性があります。

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in ハードウェア, Posted by log1p_kr

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