新品で買えるチョッパー「ロードホッパー」のインジェクション化のためのテストベッド
1969年の映画「イージーライダー」に登場する特徴的なスタイルに改造されたバイク「チョッパー」。株式会社プロトの「ロードホッパー」は改造車ではなくフレームやタンクを一から生産したまったくの新車として生産され、見た目はレトロなカスタムなのに細部のメカニズムは現代的な、手軽に楽しめるチョッパーとなっています。
排ガス規制強化による改修のため、しばらくの間新規生産がストップしていたのですが東京モーターサイクルショー2009のブースでは、環境性能向上のためにインジェクション方式のテスト車が展示されていました。
詳細は以下。
ロードホッパー Road Hopper
チョッパーというカスタムは、もともとは第二次世界大戦から復員してきた兵士が軍隊での車両整備の経験を生かして趣味で乗り始めたバイクの改造にその端を発します。チョップとは「切り落とす」という意味で、払い下げ軍用バイクから大きな風防やフェンダーなど走行に必要のないパーツを切り落として自分の好みのスタイルにしたのがその始まり。後にはメインフレームを切断。溶接し直すなどといった大がかりな改造も行われ現在のスタイルが定着してきました。
ベースとなる車両はそれこそ様々で、中にはホンダのCB750をチョッパーにしたものもあるのですが、もっとも数が多いのはアメリカ・ハーレーダビッドソン社のバイクからのカスタム。しかし、新車から作るとなると車両費用に加え決して安くはない改造費用がかかり、また車検を通すために様々な手続きが必要になるなど所有するには結構な覚悟が必要になります。
ロードホッパーはハーレーダビッドソンから供給を受けた「エボリューション」エンジンを搭載しまったくの新車として販売されるため手続き費用や改造の費用が不要。本体価格が268万円と安くはないように思えますが、新車のハーレーがの本体価格が約200万円ということを考えるとリーズナブルと言えなくもありません。
株式会社プロトのブース
インジェクション化に向けたテスト車両
「エボリューション」エンジン。1984年に登場したこのエンジンは先代の「ショベルヘッド」から大きく進化を遂げハーレーダビッドソン社の経営危機を救いました。
性能としては決して現代的とは言い難いものの、レトロ感を出す装備としてよく見られるスプリンガーフォーク。
フォークとは逆に、ブレーキは現代的なディスクブレーキ。レトロ風のカスタムにはドラムブレーキをよく見かけますがラインアップの予定はないそう。
古いバイクによくみられるサスペンションのないリジッドフレーム。新車の場合、フレームの切断と溶接を必要とするため費用がかさむ。
デザインのベースとなったゼロエンジニアリングによるハーレー・ダヴィッドソンのカスタム車
横の説明
リアにセットされているテスト用空燃比計。インジェクションとはエンジンの動きにあわせて燃料を自動的に噴射しエンジンに送り込む方式。従来のキャブレターを使ったものよりも噴射量を適正にコントロールできるため燃焼の効率をよくできることが特徴です。
ハンドルにマウントされたインジケーターに測定結果が表示される
インジェクションの制御装置。噴射される燃料と空気の割合(空燃比)が適正でないとパワーが出ないのですが、適正な空燃比は気温・湿度・気圧・エンジンの回転数など様々な条件によって変化します。この条件付けをマッピングと呼びますが、現在はこれを詰めているとのこと。
同じエボリューションエンジンを積んだハーレー社の30周年記念モデルや少し排気量の小さいスポーツスターシリーズなどにもインジェクションは採用されているのですが、プロト社は独自にインジェクション化するとのこと。もともとインジェクションのための機構がないために、噴射のタイミングをどこからとるかなど本当に基本的な問題からスタートしたそう。また、更にカスタムしてから乗るということを前提に購入するお客さんが多いため、少しいじると性能が落ちたということがおきにくくなるようにマージンをとるのも開発上の大きな問題なのだそうです。
マジックで書かれた合い印と「テスト」の文字。
マフラーはキャタライザーsを内蔵する予定。インジェクションのみで規制をクリアすることは十分可能とのことですがカスタムのマージンを大きくするには必要になるとのこと。
ハンドル周り。
燃調のボリューム。左に回転させると濃くなる
タンク下から燃料ホースが伸びていって……
フレーム左側の燃料ポンプに接続
ノーマルの反対側から燃料が送られるというレイアウト。マニホールドやハーネスの取り回しはこれから詰めていくとのこと。
現在はダイナモ上でのテストがメインで、2009年秋リリースの予定通り開発は進んでいるそうです。
2009/03/30 9:23追記しました
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