メモ

「生涯現役開発者」を貫く40代~60代のソフトウェア開発者たち


日本では「プログラマー35歳(40歳)定年説」が存在しますが、アメリカでも同じように、いつまでも「イチ開発者」として生涯を過ごすのは困難と見なされています。40歳を超えたプログラマーはやがて「管理職」になることを促されるのですが、マネージャーになることを拒否して「生涯現役開発者」を貫いている40代~60代のソフトウェア開発者にインタビューが行われています。

Software Developers After 40, 50 and 60 Who Hate Being A Manager
https://belitsoft.com/php-development-services/top-software-developers-after-40-50-and-60#2

◆45歳でシニア・ソフトウェアエンジニアのロブ・フレッッチャーさん
得意分野:ウェブ開発、テスト駆動開発アジャイルソフトウェア開発GrailsGroovy、Spock、AngularJS

フレッッチャーさんは「私は16年間コードを書き続けています。数年間は独立して請負業者として働きましたが、42歳のときにNetflixへシニア・ソフトウェアエンジニアとして参加しました。私は今でも毎日コードを書いています。お気に入りの言語はKotlinで、普段よく使う言語はJava・Scala・Groovyです。私は学んで実践するのが好きで、マネージャーになるのは向いておらず、今後も管理職としてのキャリアを積む気はありません。同年代の開発者への忠告としては、新しい技術を責め立てたり、EmacsやC++より新しい言語をあざ笑うような老人にならないでください。あなたの実績ある経験は、Node JSとGo言語を使う若造を恐れるあなた自身を保護するために使うのではなく、新しい技術で何ができるのかを適切に決定するために使って下さい」と話しています。


◆62歳でシニア・ソフトウェアデザイナーのエベ・クリステンセンさん
得意分野:リアルタイム組み込みソフトウェア開発、ソフトウェア構成の管理、テストスイートの構築(システムおよびユニットテスト)、LinuxとWindowsを含む組み込みリアルタイムシステムのコード作成およびドキュメント化の幅広い経験、C言語C++PythonC#Pascalが堪能

クリステンセンさんはこう話しています。「私は1980年に電気工学の理学士号を取得し、その後働き始めてから今までソフトウェアエンジニアとして働き続けています。私は日がなコードを書いていますが、私の仕事に管理職のタスクは1つもありません。もしずっと以前に管理職の話を受けていたなら、私の開発者としてのレベルは無能の域に達していたでしょう。私はプログラマーです。なぜならそれこそが私が愛し、とても上手にできることだからです。私のマネージャーは40歳以下で年下ですが、人生で最高のマネージャーです。開発者として大切なことは、あなたがいつでも学習するチャンスを探していること、そして訪れたチャンスをつかむ準備しておくことです」


◆47歳でシニア・ソフトウェア設計者のジョン・ブラザーさん
得意分野:エンタープライズアーキテクチャとその開発、アジャイルの指導、データ可視化ソフトウェア、クレジットカード処理、ITサービス、モバイルアプリ開発

「私は問題を解決することと、新しい解決策を発見することが好きなんです。なぜなら、自分が需要に応じたスキルを持ち合わせている、と感じられるからです。私は何かを拾い上げ、学び、不要なものは取り除くことを恐れません。私はUNIXに秀でている人が上手なシェルスクリプトを書くように、さまざまなことに対応できるフルスタックエンジニアになるべく努力しています。なお、私はあと21年間は働くつもりですが、それまでに現行のウェブベースの開発環境がすべて量子コンピューターのD-waveサーバーで構築されるようになるのであれば、私は置いてけぼりにされる恐れも感じています」と話すブラザーさん。


◆60歳でソフトウェア設計者/ソフトウェアエンジニアのロジャー・ウィットコムさん
得意分野:C・C++・Java

ウィットコムさんいわく「想像が難しいかもしれませんが、私は弁護士になるためにエンジニアリングとコンピューターサイエンスを勉強していましたが、今では私の生計を支えているのは大量のJavaコードです。直近の案件はシステム全体をイチから設計するものでした。最近のウェブとモバイルのプログラミングの速度には苦戦することがありますが、幸いにも60歳にして『袋小路』には至っていません。長年にわたってマネージャーの職を打診されていますが、人を管理するよりプログラミングをしている方が好きなので、一貫して断り続けています。私と同じく管理職を拒否していた同年代の友人が解雇されたり、再就職に苦戦したりする話を聞きますが、開発者として働き続けたいなら、自分の価値を提供するほかないのだと思います」とのことです。


◆50代でシニア・ソフトウェアデザイナーのスコット・ガートナーさん
得意分野:パーサ・モデリング・グラフィックス・データベースサブシステムなどの設計とフレームワークの実装、データベース設計(SQL・DML・DDL・LINQ)、XML設計、シングルサインオン(SSO)、インターネットアプリケーション、Windowsアプリケーション、アニメーション

「私には34年以上のプログラマーとしての経歴があり、履歴書はたった1枚で済みます。大企業ではプログラマーが年齢を重ねるほどに管理職になっていくのが通例でしたが、そのとき私は『管理職をうまくできない』のか『プログラマーである自分が好き』なのかを考えていました。自分の記憶をたどったとき、私の積み重ねた開発者としてのキャリアはもっと幅広くいかせるのではないか、と思い至りました。それから私は新しい言語を2年ごとに平均レベルまで学習することにし、技術の変化に置いていかれないよう努力しています」と語るガートナーさん。


◆56歳でソフトウェア開発者のブライアン・ボウマンさん
得意分野:独自のファイルシステム/データベース内部、永続的データ構造、ディレクトリおよび索引検索技術、サーバー管理、DASD I/Oドライバ、マシンコード生成/クロスアーキテクチャのトランスコード、オブジェクト永続化、クライアントサーバーのインタフェース、マルチテナント、分散キャッシング、大規模承認システム(施行・管理・ロギング)、および近年はSAS Viyaプラットフォーム用のクラウド分析サービスのコアエンジンに関する研究・設計・プログラミング

ボウマンさんいわく「私のチームの平均年齢は50歳で、誰もが20年以上『ヘビーな』システムのソフトウェア開発経験があります。私たちは責任を持ってコーディング、デバッグ、テスト、システムアーキテクトからの質問の回答などにほとんどの時間を費やしています。チームにはハードウェア技術の評価やカンファレンスでプレゼン、オープンソースコミュニティとの共同作業を行っている人もいます。私は40歳から数えて4つの特許を取得しました。私は意義ある貢献ができる限り、仕事を続けるつもりです。私は自分のポジションの要求に応じて学習・再研究をすることで、何度か自分のキャリアを『再充電』しています。絶えず改善を続けることは私にとってモチベーションになるのです」とのこと。


◆60代で主幹ソフトウェアリサーチエンジニアのスコット・ガートナーさん
得意分野:マルチスレッド・マルチプロセッシング・ドライバ・通信スタック、C・C++・Java・Python・ハードウェア仕様の組み込み、ハードウェア向けソフトウェア開発に特化したソフトウェアアーキテクト/エンジニア、ハードウェアエンジニアと連携して2つの分野間における最大の相乗効果を発揮することが可能

ガートナーさんは「62歳の私は会社で最高齢の従業員です。最も若い同僚は20代後半なので、35歳以上の年の差があるわけですが、年齢は何の問題にもなっていません。パンチ紙でコードを書いていた時に比べれば世界は大きく変化しました。しかし、いつの時代も問題は同じで、『どうやって人間の要求をコンピューターができるように入力するか?』ということです。私はソフトウェア開発者の寿命が10年~20年だという話を信じません。なお、私は幸運な会社の選択をしていたようで、常に新しいことにチャレンジし続けることができています。もし同じことを繰り返し行うようなソフトウェア開発をしていたなら、それが退屈であることは想像できます」と話しています。


◆54歳でシニア・ソフトウェアエンジニアのビクター・ボークマンさん
得意分野:Python・Linux・C・C++・.NETのプログラミング、Microsoft AccessMySQLSQLベースのシステムおよびその他環境、TCP/IP、エンタープライズシステムの自動化、分散コンピューティングにおけるデータベースに関する専門的スキル、LHPress.comにて13年間で100冊以上の書籍出版経験あり

「開発トラックと管理トラックは並行しており、250人以上の開発者を持つ企業では、技術者を引きとどめるために管理職への道が用意されているでしょう。給料が上がっても、ミーティングやメールのやり取りだらけになる毎日が楽しいでしょうか?開発業界では2年ごとに革新的なプラットフォームが登場します。慌てずに3~4日かけて新しい開発環境とあなたの仕事について学習してください。私も30年以上にわたって、4年ごとに自分のスキルをほぼすべて入れ替えているくらいです。今は48歳~56歳の開発者とチームを組んで仕事をしていますが、全員が3回~8回も自分たちのスキルの『入れ替え』を行っていますよ」とボークマンさんは述べています。


◆50代でソフトウェアエンジニアのカート・ガンテロスさん
得意分野:Linux/UNIX・アルゴリズム設計・C++・C・マルチスレッド化および分散化・電気通信・セキュリティ・ソケットネットワーキングにおける標準的スキル、TQMISO 9000を用いた製品企画とコンセプト形成、アジャイル開発と従来の開発方法論

ガンテロスさんは「ソフトウェア開発の流れは非常に速く、継続的に新しいスキルを学習しない開発者は20年以上働き続けることはできないでしょう。『40歳で開発者の仕事がなくなる』というのはまさにそういうことです。コーディングはとても簡単な仕事です。コードに良い日、悪い日はなく、ただ細部に大きな注意を払えば、あなたが入力した通りの動作をとってくれるでしょう。人間はコードと正反対で、日によって気分が変わり、無限に変化していきます。もしあなたが家族や友人と接するように人々を管理できるなら、あなたはいいマネージャーになれるでしょう」と話しています。


◆60代でソフトウェアコンサルタントのジェイムス・グレニングさん
得意分野:オブジェクト指向ソフトウェア設計、テスト駆動開発(C・C++・Java・C#)、組み込みソフトウェア・リファクタリングエクストリーム・プログラミングスクラム・アジャイル開発・リリースプランニング・インクリメンタルプランニング、CおよびC++の単体のためのCppUTestを使ったテストフレームワークの主要な貢献者の1人、Embedded Systems Conference(ESC)およびAgile Conferenceで複数回の講演経験あり、「アジャイルソフトウェア開発宣言」の原作者の1人

「私は管理職の道を進んだこともあり、それは非常に価値ある経験でした。しかし、自分が最も愛するものに優先順位を付けた結果、私はプログラミングの道に戻ることにしたのです。価値ある開発者でいるためには、あなたの40年間が毎年同じことをしていないか確認してください。私たち開発者は、使用する技術やソフトウェアの構築方法が急速に変化していく世界に住んでいます。大切なのは『学習し続けること』。私は62歳でプログラミングを行っていて、それが大好きです」とグレニングさんは語っています。

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in メモ,   ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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