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世界中の海を行き交うコンテナ船・タンカーの動きを色と点でリアルに再現する「Shipmap」


世界では飛行機による輸送量が緩やかな増加傾向にあることがデータで示されていますが、そんな現在でも国際間の貨物輸送はコンテナ船などの輸送船が主力です。ウェブサイト「Shipmap」では、そんな貨物船が実際に航行した航路データをもとに、全ての貨物船の動きをブラウザ上で忠実に再現しており、世界のモノの流れが手に取るようにわかるようになっています。。

A Map Showing Every Single Cargo Ship In The World - Digg
http://digg.com/2016/every-ship-in-the-world

Shipmap.org | Visualisation of Global Cargo Ships | By Kiln and UCL
https://www.shipmap.org/


Shipmapは、世界地図上に貨物船の位置を小さな点で示すウェブアプリ。海上を行き交う多くの貨物船が表示されており、広い海に点在している場所もあれば、多くの点が連なって海の上に目には見えない線を描いている場所もあります。なお、使用されているデータは2012年現在のものですが、2016年時点でもそれほど大きな違いはないと思われます。


全世界の航路を線で表示すると、こんな風にほぼ全ての海が埋め尽くされてしまいます。


世界地図の表示を消してみても、各大陸の形がしっかりとわかる状態。いかに貨物船がくまなく世界中の海を航行しているのかがわかります。


日本近海と中国大陸沿岸を表示させると、陸地沿いに多くの船が集中している様子がわかります。このように、活発な物流が行われている場所もあれば……


アフリカのソマリア沖のように、空白地帯に近い状態になっている場所も。これは、当時のこの地域に存在していた海賊が影響しているとのこと。ちなみに、ソマリア沖の海賊は2012年ごろを境に激減してほぼ消滅したとのこと。その背景には、「すしざんまい」の木村社長が海賊にマグロ漁を教えたことが関係していると言われています。


ヨーロッパ周辺を見ると、航路が整然と整えられていることがわかります。ドイツ・ハンブルクからオランダのアムステルダムとロッテルダム、そしてドーバー海峡を通過して大西洋へと出て行く2本のルートがくっきりと表れているほか、そのルートを船舶は右側通行で航行している様子もよくわかります。


太平洋と大西洋をつなぐパナマ海峡を見ると、予想どおりに船が集中しています。


スエズ運河にも同じように多くの船が集中。


この白い線はなんと、アマゾン川をさかのぼる船の動き。川に沿って河口からはるか上流まで船が荷物を運んでいることがよくわかります。


船舶の種類ごとに点の色を変えることも可能。赤い点はタンカー、黄色い点はコンテナ船を示しています。産油国が集中するペルシア湾を航行するのは大部分がタンカー。


再び日本近海を見ると、中国大陸の沿岸に沿って黄色い線が延びており、南の広州・香港から上海を経て、青島の貨物港へと多くのコンテナ船が航行していることが一目瞭然。また、日本近海では黄色いコンテナ船に加えて赤色のタンカーが航行している模様。


世界中の船を色分けするとこんな感じ。黄色がコンテナ船、水色が鉄鉱石や石炭、穀物などを輸送するドライバルク船、赤色が石油タンカー、緑色がガスタンカー、そして紫色が車両運搬船となっています。


特定の地域にズームアップしてみると興味深いポイントが見つかることも。ロッテルダムの沖合では白く四角い場所が見つかりますが、これはどうやらロッテルダムの港、いわゆる「ユーロポート」への入港待ちをしている船の待機場所となっている模様。


中東地域は赤みがかかっていることから石油タンカーが中心で、アフリカ周りのインド洋航路とオーストラリア、東南アジア周辺はドライバルク船が中心、そして太平洋路線はコンテナ船がやや多め、という風に世界の物流の特長が浮き彫りになってきます。


日本近海は、石油タンカーとコンテナ船がメイン。豊田市と浜松市の周辺では紫色が確認できることから、車両運搬船が多く行き交っていることもわかります。


東京・名古屋・大阪・神戸を表示させるとこんな感じ。名古屋と大阪周辺の地図が少し妙な感じになっていますが、やはりこの3都市で多くの物流が行き交っていることがよくわかるようになっていました。


このように、Shipmapでは海上輸送の実態がよくわかるようになっています。それと同時に、サイトではこれらの船舶が大量の二酸化炭素を排出していることにも触れており、その量はイギリスやカナダ、ブラジルといった国が排出している量に匹敵しているとのことです。

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in レビュー,   ネットサービス,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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