ソフトウェア

VRの没入感を高めてレンダリング負荷も軽減する新技術をNVIDIAが披露

By Samantha Cristoforetti

人間が両目で見える範囲は左右に120度ほどと言われていますが、視線の先以外は「周辺視野」と呼ばれており、見えているもののしっかり認識できない「ぼやけて見える」領域になっています。そんな人間の視野をリアルに再現することで、VRのレンダリング負荷を軽減しようという技術「Foveated Rendering(中心窩レンダリング)」をNVIDIAとドイツのSensoMotoric Instruments(SMI)が開発しています。

NVIDIA Partners with SMI on Innovative VR Rendering Technique
https://blogs.nvidia.com/blog/2016/07/21/rendering-foveated-vr/

NVIDIAは、VR向けの革新的なレンダリング技術を開発するためにSMIとパートナー契約を結んだことを発表しました。NVIDIAの研究者たちは、SMIが開発した最新の視線追跡技術を駆使し、VR向けにより人間の視野に近い映像をレンダリングする技術「Foveated Rendering」を開発しています。


この「Foveated Rendering」がどのような技術なのかは、以下のムービーを見るとわかります。

Improving VR with NVIDIA’s Foveated Rendering - YouTube


ムービー中に出てくる映像は「STANDARD(通常のVR用映像)」「CONTEMPORARY FOVEATION(映像の中心以外の解像度を低下させることでレンダリング負荷を軽減)」「TEMPORALLY-STABLE FOVEATION(解像度を低下させた周辺映像をぼかすことで、周辺視野のちらつきを減らす)」「CONTRAST-PRESERVING FOVEATION(コントラストを残した状態でぼかしを行うことで、視野が狭まることを避ける)」の4つ。


「STANDARD(通常のVR用映像)」


VR用の映像なので左右に同じ映像が表示されています。左右の画面の中心付近にある赤枠部分(以下の画像の場合、地球儀部分)に視線が向いており、この視線をトラッキングしている様子がわかります。なお、STANDARDは通常のVR用の映像で、映像の隅から隅まで非常に高精細。


「CONTEMPORARY FOVEATION」では、映像の中心(視線)以外の解像度が低下しているのがわかります。これはVR用の映像をレンダリングする際の負荷を軽減するための施策。


周辺視野部分の低解像度レンダリングをより自然に表現するためにぼかしをかけたのが「TEMPORALLY-STABLE FOVEATION」。これにより、周辺視野部分のちらつきが軽減されます。


さらに、周辺視野のぼかし部分にコントラストを残すことで、視野が狭まることを避けるのが「CONTRAST-PRESERVING FOVEATION」。「TEMPORALLY-STABLE FOVEATION」と同じく周辺視野部分の映像は低解像度のものになっているのですが、ぼかし部分のコントラストを上げることでぼかしの違和感が減少し、視野が狭くなっていることが気にならなくなります。


NVIDIAの研究チームによると、周辺視野を低解像度にすると起きる映像のちらつきは、ぼかし処理によるコントラストの低下が原因であることが明らかになったそうです。さらに、ぼかし処理前の映像のコントラストを維持したままぼかし処理を行うことで、ユーザーは2倍のぼけを許容できるようになるとのことです。

なお、NVIDIAの研究者のひとりであるアンジュール・パトニー氏は、「VRではこれまでよりも高いフレームレートと解像度が求められるようになっているため、(解像度を低下させてレンダリング負荷を軽減するFoveated Renderingが)とても重要な技術になる」と語っています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
未来の映像システム「PlayStation VR」の開発責任者・伊藤雅康氏インタビュー - GIGAZINE

VRヘッドセットで実際にプレイされている人気ゲームは一体何なのか? - GIGAZINE

ゲームの中でゲームを開発するVR向けUnreal Engineの新技術が登場 - GIGAZINE

「仮想の鼻」を置くと3D酔いしなくなることが判明 - GIGAZINE

in ソフトウェア,   動画, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.