サイエンス

40歳以上で週25時間以上働くと認識能力に悪影響が出る

by Karl Bedingfield

40歳以上の人々の労働時間と認識能力について調査を行ったところ、1週間の労働時間が25時間を超えると認識能力に悪影響が出るということがわかりました。

Use It Too Much and Lose It? The Effect of Working Hours on Cognitive Ability - Shinya Kajitani, Colin McKenzie and Kei Sakata
(PDFファイル)https://www.melbourneinstitute.com/downloads/working_paper_series/wp2016n07.pdf


これは明星大学経済学部の梶谷真也准教授、慶應義塾大学経済学部のコリン・マッケンジー教授、立命館大学経済学部の坂田圭教授による研究で、メルボルン大学の「The Household, Income and Labour Dynamics in Australia (HILDA) Survey」という、世帯・所得・労働の変遷についての調査結果が利用されています。

対象は、40歳以上の男性2965名、女性3502名。下の表は年齢別・労働時間別の対象者の割合。


認識能力の識別には3つの方法が用いられました。

1つ目は「Backward Digit Span(逆順数唱)」、調査者が読み上げた数字を逆順に復唱していくというもの。2つ目は「Symbol Digit Modalities Test(SDMT)」、シンボルと0~9の数字が1対のペアになっていて、無作為に示されたシンボルに対応した数字を書くか口頭で答えていきます。3つ目は「National Adult Reading Test(NART:全国成人読解テスト)」。被験者に英熟語のカードを見せて読み上げてもらうというもので、一般的には50語のテストが用いられますが、ここでは25語のテストが用いられました。

Backward Digit Spanの調査結果をグラフ化したものがコレ、青い実線が男性、赤い破線が女性を示します。いずれも労働時間が0のときよりは25時間前後の方がスコアが高く、そこからはゆるやかに下がっていきます。


このような非線形の結果になったのは他のテストも同じ。SDMTの結果はこんな感じ。


そしてNARTの結果。


具体的には、1週間あたり25時間までであれば、業務時間の増加は認識能力に対していい影響を与えていましたが、25時間を超えると業務時間の増加は認識能力に悪影響を与えていました。

週25時間というと、土日が休みで週5日勤務だったとしても1日5時間。普通の仕事でこれを下回るというのはまず無理ですが、パートタイム勤務をしている人は、賃金面で問題がないのであれば、25時間を1つの基準とするのもアリかも。

40歳以上になったら、ちょっと楽な仕事に回るというのがベストなのかもしれません。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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