ハードウェア

20年以上の時を超えてセガサターンをクラックした猛者が登場


セガ・エンタープライゼスから1994年に発売された「セガサターン」は、同時期に発売されたPlayStationやNintendo 64と並び1990年台のゲーム業界で一時代を築いた家庭用ゲーム機です。そのセガサターンを発売から約22年経過した2016年にクラックした猛者が登場しました。

Sega Saturn CD - Cracked after 20 years - YouTube


セガサターンのハックに成功したのはエンジニアのJames Laird-Wahさん。JamesさんはDr Abrasiveという名前でクリエイター活動をしていて、過去にはゲームボーイのROMとRAMを書き換えられるフラッシュカートリッジ「Drag'n'Derp」をリリースしたことがあります。


Jamesさんがセガサターンに興味を持ったのは、サウンドチップがマルチチャンネルをサポートしているからだったとのこと。このサウンドチップを入手したいがためにJamesさんは2012年に日本に行き、セガサターンをゲットしました。


Jamesさんが日本で購入したというセガサターン。


念願のセガサターンを入手したJamesさんは、サウンドチップを手に入れるよりもセガサターン向けのソフトウェアを開発したいと思うようになり、その方法を調査。見つかったのはMODチップを本体に実装させるというものでしたが、Jamesさんは「これより良い方法がきっとあるはず」と考え別の方法を模索しました。


しかし、Jamesさんが考えていたよりもセガサターン向けのソフトウェアの開発は難航。その理由は、セガサターン用のCD-ROMは外周に海賊版対策のため「サターンリング」と呼ばれる特殊なデータ領域が実装されていて、サターンリング部分のコピーはできず、ゲームデータをコピーしたCDを入れても再生できない仕様になっていたためです。


Jamesさんはぶち当たった問題を解決すべく、セガサターン本体をリバースエンジニアリングしてヒントを得ようとしました。搭載されているCPUを分解して顕微鏡を使って調査しても方法が見つからず、かなり難航したそうですが、セガサターンの背面に搭載されている拡張スロットを調べていると糸口が見えてきました。


セガサターンの背面にある拡張スロットは、セガサターンでビデオCD規格のCDを再生できるムービーカードを差し込むポート。Jamesさんは調査に調査を重ねて、背面にある拡張スロットにフラッシュカートリッジを接続してCDコントローラーのROMを吸い出すことに成功しました。


Jamesさんは、背面にある拡張スロットにARMマイクロコントローラーやCPLDを搭載したアダプターを接続すると、CDのデータをセガサターン本体に送ることが可能であることを発見。この方法を使えば、メインのCDドライブを通さないでもCDを読み込むことができるとのことです。


長い試行錯誤を繰り返してJamesさんが開発したのが、以下に映っているアダプターボードです。


例えば、このアダプターボードを本体背面に接続し、セガサターンのゲームデータが入ったUSBメモリスティックを接続すれば、そのゲームをプレイ可能になるというわけ。


実際にUSBメモリスティックをアダプタに接続。


すると、セガサターンを接続したモニターにメニューが映し出されます。「Daytona USA」を選択すると……


ゲームが開始されました。


Jamesさんはアダプターボードの製品化について模索中で、完成次第リリース予定とのことです。

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in ハードウェア,   動画,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

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