コンピューターに入っている「トランジスタ」は何をしているのか?
テレビや携帯電話、PCといった電子機器ほとんどに内蔵されている半導体素子の1つが「トランジスタ」です。名前こそ聞いたことがあるものの、実際にはトランジスタが電子機器でどのような役目を担っているかは一般的に知られておらず、トランジスタのWikipediaを読んでみても専門的過ぎて理解できないという人もいるはず。そのトランジスタが電子機器で何をしているのかをわかりやすく説明したムービー「How transistors work」が公開されています。
How transistors work - Gokul J. Krishnan - YouTube
現代におけるコンピューターは我々の生活を変えてしまうほど大きな進化を遂げました。
これは長い間をかけて多くのイノベーションが生まれた結果です。
数多くのイノベーションの土台とも言えるのがトランジスタと呼ばれるもの。
全てのコンピューターは「数学演算を行う機械」です。コンピューターと同じような動作をする昔の道具、例えばそろばんは数学演算を手動で行うデバイスと言えます。数字を物理的に入力して、そろばんが入力された数字を独自の方式で表示するということ。
現代のコンピューター、言わゆるPCも原理は同じなのですが、PCは入力された数字を電圧により表現しています。
ほとんどのPCは「ブール論理」という理論を使用。
ブール論理には「真」と「偽」という2つの論理条件があり……
その2つは2進数の「1」と「0」で表されます。
また、「1」と「0」は電圧の有無で表現されます。
この電圧の正負で表現された「1」や「0」を論理演算するのが論理回路と呼ばれるものです。
この論理回路が論理演算を行いコンピューターに「1」や「0」を出力。
論理回路は「論理積」「論理和」「否定」という3つの基本的な論理演算を行います。
例えば、AND演算と呼ばれることもある論理積は、入力された2つの値が「高電圧」、つまり「1」だった場合に限り……
「1」を出力します。
論理和や否定といった論理演算も同じような仕組みで出入力が行われるとのこと。
加算や減算といった複雑な演算を行うために、複数の論理回路を組み合わせることもあります。
こういった論理演算を電気的に行うための命令で構成されているのがコンピューターのプログラムです。
プログラムに論理演算をさせるためには、「1」と「0」を入力するために正確な電圧を与えるデバイスが必要です。
アメリカで開発された黎明期のコンピューター(電子計算機)であるENIACは……
「真空管」を正確な電圧を与える装置として使用していました。
しかし、ENIACは広さがテニスコートほどあり、重さが30トンという今では考えられないほど大きなコンピューターで、加熱を必要とする真空管はENIACの動作をサポートするには耐えられないデバイスであったとのこと。
毎日行われたENIACの試験で真空管は次々と壊れて……
たった1時間の試験でも一般的な家庭が1日に使用する約15倍もの電力を消費していました。
その真空管に代わって登場したのがトランジスタです。
トランジスタの中でもNPN型トランジスタは材料にシリコンを使用し、真空管と同様にマイナス電位にすることが可能です。
エミッタ(左)とベース(真ん中)の領域が接する部分とベースとコレクタ(右)が接する部分は「pn接合」と呼ばれていて、電圧がある程度の値になると電気を通し、電圧が少ないと電気を通さなくなります。つまり、トランジスタは簡単に言うと電気を通すためのスイッチのような感じで、真空管よりも正確に電圧をコンピューターに送ることができるというわけです。
トランジスタは真空管のように加熱を必要としないため、効率性が高く、サイズもコンパクトで耐久性があります。
現代のPCでは集積回路(IC)が使われ、数え切れないほどの論理演算が毎秒ごとに行われていますが、その演算を処理して電流を制御するスイッチの役目を果たしているのがトランジスタであり、見えない縁の下の力持ちのような存在です。
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