ゲームやソフトウェアへ密かに裏技や隠しキャラなどを仕込む「イースターエッグ」は一体いつ始まったか?
キリスト教の復活祭にカラフルな卵を隠して子どもたちが探す遊びにちなみ、ソフトウェアやゲームに本来の機能とは無関係なメッセージが隠されているのを「イースターエッグ」と呼びますが、イースターエッグの発端は一体何のゲームなのか、「The Rebellious Origin of the Video Game Easter Egg」で解説されています。
The Rebellious Origin of the Video Game Easter Egg - YouTube
作家が自らの作品に名を書き記すのは、古くから続いている伝統です。例えば作家は本に名前を書き記し……
芸術家は絵画の隅にサインを残します。
しかし、ゲームデザイナーの名前は、長らく表舞台に登場しませんでした。デザイナーのWarren Robinett氏は、1977年からビデオゲーム会社のアタリで働き始め、家庭用ゲーム機Atari 2600向けの世界初のアクションアドベンチャーゲーム「Adventure」の開発に携わりました。
「Adventure」は、四角いアバターを操作して、マップ内に隠された聖杯を探し出し、黄金の城へ持ち帰るというゲーム。
ゲーム開発中は、アタリの社内ではRobinett氏らゲームデザイナーの扱いが非常に劣悪だったそうです。例えばRobinett氏はゲームが売れても印税をもらえなかったり、ゲームの箱にクレジットとしてRobinett氏の名前が書かれなかったり、ゲームが売れても社内で評価されなかったり、経営陣に「クリエイターはたくさんいるから簡単にクビにできる」と言われたりするなど、「クリエイターに対して非常に失礼だった」とRobinett氏は語ります。
そこでRobinett氏は、「Adventure」のゲーム内に自分の名前を隠すことにしたそうです。Robinett氏はたどり着くのがかなり難しい秘密の部屋をマップ内に作り……
秘密の部屋に入ると、「Created by Warren Ribinett」と光る文字が表示され、ゲームを開発したのがRobinett氏だと分かるような細工を施しました。この秘密の部屋が、世界初の「イースターエッグ」だと言われています。
アタリは累計200万本の「Adventure」を販売しましたが、ソルトレイクシティに住む15歳の少年がアタリに手紙を送って秘密の部屋の入り方を詳細に説明するまで、経営陣は誰もゲーム内に秘密の部屋が隠されていることに気付かなかったそうです。秘密の部屋はRobinett氏が勝手にゲームに付け加えたものでしたが、Robinett氏は既にアタリを退社していたので、経営陣はRobinett氏をクビにするなどの処罰を与えることはできなかったとのこと。
Robinett氏の次にアタリのゲームデザイナーを務めたSteve Wright氏は、秘密の部屋の存在をいたく気に入り、Robinett氏は非常に驚いたとのこと。Wright氏は「ゲームに秘密の仕様を隠すなんてクールじゃないか!イースターの朝に、茂みや花の影に隠された色とりどりなイースター・エッグを探すような気分だね」と絶賛したそうです。
しかし、アタリは過剰な在庫を抱え、Robinett氏が退社した1年後に急激に衰退。
Robinett氏は「巨大企業のAtariが、26歳の若いゲームプログラマーの扱いをないがしろにしたことで、詩的正義的なものがはたらいたのだと個人的に思っています」と語っています。
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