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たくさんの本に囲まれて育った子どもにはどのようなメリットがあるのかを6000人を対象に研究

by Erik Schepers

電子書籍は本嫌いの子どもの読書を促進する可能性を秘めていることが明らかになっていますが、紙の本に囲まれた環境で育った子どもは、そうではない子どもよりも、生涯で得る所得が多いという調査結果が判明しています。

Books Are Forever: Early Life Conditions, Education and Lifetime Earnings in Europe - Brunello - 2016 - The Economic Journal - Wiley Online Library
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ecoj.12307/abstract

Boys who live with books ‘earn more as adults’ | Education | The Guardian
http://www.theguardian.com/education/2016/may/29/boys-books-earnings-adults


カエサルと同時代のローマの哲学者・キケロは「本のない部屋は、魂のない肉体のようなものだ」という名言を残していますが、イタリア・パドヴァ大学で経済学を研究しているGiorgio Brunello氏、Guglielmo Weber氏、Christoph Weiss氏の3人は「本のない部屋は、来たるべき苦難の現れでもあります」と語っています。

Brunello氏らは、人間が生涯で得る収入と、子どもの頃の家庭環境との関係を調べるため、ヨーロッパの9カ国・6000人を対象に調査を実施。ヨーロッパ全土で義務教育の卒業年齢が引き上げられた1920年から1956年の37年間を対象に、10歳の時点で「家に置いてある本が10冊以下」「本棚があった」「100冊未満の本があった」「200冊未満の本があった」「200冊以上の本があった」という家庭環境ごとに収入を調査しました。

調査の結果、義務教育に加えて高等教育を受けている場合、義務教育しか受けていない人に比べて、高等教育1年当たり平均して収入が9%増えることが判明しました。しかし、高等教育を受けている人の中でも、家庭環境の違いによって収入は著しく異なることが判明。例えば、ほとんど本のない家庭で育った人は、高等教育を受けても収入の増加幅は5%でしたが、多くの本に囲まれて育った人はなんと21%も増加。特に田舎ではこの傾向が強く見られることが判明しました。

by Jordan Gillespie

また、本に囲まれて育った人の方が、より多く稼げる職業に巡り会う機会があるとのこと。さらに、家庭に本がたくさんある人は、肉体労働よりも事務系の職業に就きやすい傾向にあることも分かっています。

本が収入に影響する理由について、Brunello氏らは「本は子どもたちの読書習慣を促し、読書は学校の成績にプラスの効果を与えます。本で満たされた家庭は、社会経済的に有利な状況と言えます」と分析しています。また、家庭に置いてある本の冊数で、その家庭で育った子どもの認知力テストの点数をある程度推測することもできるとのこと。つまり、後の人生で経済的に成功するために重要な認知スキル・社会経済的なスキルがどれだけ向上するのかは、子どもの頃の家庭環境に大きく影響されることが示されています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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