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若者ではなく55歳以上の高齢スタッフを雇うメリットとは?

by prupert

2016年のアメリカの民間雇用者数は市場の予想を上回って増加傾向にあり、アメリカ国内では雇用の回復が続いていると、アメリカの給与計算アウトソーシング会社ADPが発表しています。そんな中、雇用主が若者ではなく55歳以上の年配のスタッフを雇うべき理由について、経済系ニュースサイトのFast Companyがまとめています。

Forget Millennials--Why You Should Hire Someone Over 55 | Fast Company | Business + Innovation
http://www.fastcompany.com/3058869/


アメリカ・セントルイス連邦準備銀行の調査によれば、2016年3月時点でアメリカ国内の55歳以上の失業率は3.9%にすぎませんが、55歳以上の労働参加率は40%程度にすぎず、25歳~54歳の労働参加率が81.5%であることに比べると、年配の労働者は厳しい現実に直面しています。また、アメリカ労働省労働統計局の発表では、55歳以上の求職者のうち45%が、27週間(約7カ月)以上にわたって無職の状態が続いているとのこと。

経済情報を提供しているNerdWalletでコンテンツディレクターを務めるMaggie Leung氏は、会社に新しく社員を雇い入れる際に、必ず新卒者ではなく経験者を探して雇うことにしているそうです。Leung氏自身も、NerdWalletに入社した際は他の社員よりも15歳以上年上だったのですが、「年配のスタッフを雇い入れる」というLeung氏の新しい方針により、社員数は2013年時点で50人だったのが、2016年には300人にまで増えて会社が大きく育ったとのこと。Leung氏は、「NerdWalletでは、既に市場で高い経験を積んでいる志望者を雇うようにしています。そのため、必然的に高齢のスタッフの割合が増えるのです」と語っていて、Leung氏の社内チームにはこれまでに55歳以上のスタッフが10人ほど新しく加わったそうです。

by Jody Morris

コロンビア大学のThe Robert N. Butler Columbia Aging Centerで副所長を務めるRuth Finkelstein氏によれば、人々は会社に一度雇われると、「仕事が楽しい」「働くことで健康を保てる」「経済的な理由で働き続ける必要がある」といったさまざまな理由から、会社に在籍し続ける傾向にあるとのこと。しかし、55歳を超えて失業してしまうと、若い頃に比べて新しく仕事を探すのが難しくなります。なぜならば、雇用主は「年配者の仕事能力や健康状態が若者と比べて低いのではないか」と不安視しがちなため。しかしFinkelstein氏は、「年配のスタッフを雇い入れるメリットを無視するのは、先見の明がないと言えます」と語ります。

Finkelstein氏によれば、年配のスタッフは会社に忠実であり、同じ職を長く続けるという長所を持っているとのこと。この傾向を裏付けるように、アメリカ労働省労働統計局の2014年の従業員保有報告書では、高齢のスタッフのうち58%が10年以上同じ職を続けていると発表されており、40代の37.3%に比べると年配のスタッフが同じ会社で若者よりも長期間働いていることが判明しています。


人材コンサルティング会社Ceridianの上級副社長のLisa Sterling氏は、多くの企業が1975年~1989年生まれのY世代や2020年世代など、採用の的を若者に絞りやすいと話します。しかし、「能力が高く経験を積んだ求職者を探すならば、55歳以上の世代にたくさんの可能性が秘められています。55歳以上の求職者は、ビジネスがどのように進むのかをよく知っていて、会社での立ち振る舞い、仕事を始める前の研修などが既に身についています」と、高齢スタッフを雇い入れるメリットを強調。

同じく人材派遣会社のAdecco Staffing USAで上席副社長を務めるLauren Griffin氏によれば、年配のスタッフは若者よりも交渉術に長けているとのこと。雇用主は「年配のスタッフは最新のテクノロジーに適用できないのでは?」と心配しがちですが、Griffin氏は「年齢よりも個人の能力によるものが大きく、一概には判断できない」と語ります。Adeccoでは、年配の求職者向けに、自身のLinkedInのプロフィールを更新するように指導しているそうです。

by Just Another Shot

また、高齢スタッフはコミュニケーション能力が高いことも雇用メリットのひとつで、家事サービス代行業のSYNERGYでは、60代~70代のスタッフを雇い、顧客とのコミュニケーションを円滑に進めることに成功しているとのこと。SYNERGYの社長のDennis Crippen氏は、「高齢者は仕事を完遂できないかもしれない、という年齢のステレオタイプにとらわれていると、優れた能力を持つ社員を逃してしまいます」と語っています。

by Dukas Ju

上記のように、企業が徐々に高齢スタッフを雇うメリットに意識を向け始めており、アメリカ国内ではiRelaunchWorkforce50.com Senior Job Bank など、高齢者に特化した求人情報サービスの提供も始まっています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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