数か月間の無人自律航行が可能で潜水艦を探知する対潜無人艦「Sea Hunter」
DARPA(アメリカ国防高等研究計画局)が開発を進める対潜無人艦「Sea Hunter」の航行実験が開始されました。非常に細長い形状を持つこの艦は乗員がゼロのまま数か月・数千kmに及ぶ航行が可能で、海中に身を潜める潜水艦の探知を継続的に行うことが可能なロボット船としての運用が目指されています。
DARPA's Self-Driving Submarine Hunter Steers Like a Human - IEEE Spectrum
http://spectrum.ieee.org/automaton/robotics/military-robots/darpa-actuv-self-driving-submarine-hunter-steers-like-a-human
U.S. military christens self-driving 'Sea Hunter' warship | Reuters
http://www.reuters.com/article/us-usa-military-robot-ship-idUSKCN0X42I4
Sea Hunterはカヌーのように細長い船体を持つ船。操縦室のような区画が設けられていますが、基本的には無人で航行して潜水艦を探知する対潜無人艦(ACTUV:Anti-Submarine Warfare Continuous Trail Unmanned Vehicle)としての運用が目指されています。
上空から見ると、Sea Hunterの細長さと左右に備わった一対のアウトリガーの様子がわかります。これはおそらく、細長い形状から来る船体の不安定さを解消するために装着されているもの。
Sea Hunterは全長40メートル。2基のディーゼルエンジンを使って発電し、モーターでプロペラを回転させるディーゼル・エレクトリック方式が採用されています。
小型に見える船体ですが、実際に人が乗ってみるとこのぐらいの大きさ。
2016年2月には最高速試験が行われており、最高速度27ノット(約50km/h)をマークしています。
アメリカ軍およびDARPAはこの船を、中国及びロシアで進められる海軍の戦力補強に対抗する策の一つとして開発を進めているとのこと。つまり、海中に身を潜めてひそかにアメリカの領海に侵入する潜水艦を探知することを目的とした船であり、無人で数か月間に及ぶ無人航海が可能な性能は国防上大きなアドバンテージになるものと考えられています。
実際にSea Hunterが全速力で航行する様子は以下のムービーで見ることが可能。
ACTUV Speed and Maneuverability Tests - YouTube
また、この実験船を作成する様子をタイムラプスで撮影したムービーも公開されていました。前半では巨大な型枠にシートを貼り付けて樹脂を含浸させる工程が収められていることからも、この船がFRP(繊維強化プラスチック)でできていることがわかります。
ACTUV Construction Timelapse and Walkthrough - YouTube
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