「コンピューター・ウイルス」はどうやって誕生してしまったのか?
By Kenya Allmond
コンピューターの普及やメール利用率の増加に伴い、コンピューター・ウイルスの脅威は年々大きくなっています。今やインターネットを利用する上でPCやスマートフォンのウイルス対策が不可欠ですが、生物の細胞に感染して自らを複製するウイルスと同じ挙動を持つ「コンピューター・ウイルス」がどのようにして生まれたのか、ということがエンジニアによるエンジニアのための電子工学系コミュニティ・EDNにまとめられています。
The computer virus is born, November 10, 1983 | EDN
http://www.edn.com/electronics-blogs/edn-moments/4437117/The-computer-virus-is-born--November-10--1983
1983年に行われたレオナルド・エーデルマン氏のセキュリティ・セミナーで、フレッド・コーエン氏はコンピューターに感染し、自己を複製して他のコンピューターに拡散するプログラムの挙動を実証しました。この実証に使われたコードは、Unixコマンドに挿入することでに当時の大型コンピューターのシステムに侵入し、わずか5分でシステムのコントロール権を奪うというもの。コードは一見すると問題のないプログラムが入ったフロッピーディスクに隠されていたとのこと。
By Chris Devers
広く使われている公開鍵暗号の1つであるRSA暗号の開発者であるエーデルマン氏は、このコードの挙動が病気を引き起こすウイルスと同じような働きを持っていることを指摘しました。1983年11月にコーエン氏は「Computer Viruses - Theory and Experiments(コンピューター・ウイルスー理論と実験ー)」という論文を公開。この時、初めてコンピューター・ウイルスが「自身を修正または進化させることで他のプログラムに感染することが可能なプログラム」と定義されたとのことです。
ただし、コーエン氏はコンピューター・ウイルスを発明したわけではなく、1982年1月に当時15歳の少年だったRichard Skrenta氏が書き上げた、小規模ながらウイルスと同様の挙動を持つプログラム「ELK CLONER」が世界初のコンピューター・ウイルスとして知られています。
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