木の葉が秋になると色を変える本当の理由とは?
By Uwe Hermann
2015年も紅葉シーズンが到来し、栃木県の日光などは早くも見頃を迎えているようです。そんな紅葉といえば、山を黄色や赤などの鮮やかな色に染めてくれる木の葉ですが、「なぜ木の葉は色を変えるのか?」という素朴な疑問に対する答えをわかりやすく解説した「The Real Reason Leaves Change Color In the Fall」というムービーが公開されています。
The Real Reason Leaves Change Color In the Fall - YouTube
落葉樹の葉っぱが秋になると色を変えるのは、葉っぱが葉緑素(クロロフィル)をなくしてしまうから、と聞いたことがある人もいるはず。
しかし、これだけの説明では「なぜ色が変化するのか?」までは分かりません。
落葉樹は毎年冬や水分の乏しい時期になると葉っぱを落とします。これは、葉っぱには根から吸い上げた水分を気孔から蒸発させる働きがあり、寒さの厳しい季節にこの働きを行ってしまうと水分不足で枯れてしまうからです。つまり、落葉樹は自身の身を守るため、冬になると栄養を作り出す葉っぱをあえて落としているわけです。
しかし、この落葉という作用は多くの栄養素を持つ葉っぱを「捨てる」わけなので、非常に無駄が大きく感じられます。
そこで、落葉樹は地面に堆積した落ち葉に含まれる窒素(N)とリン(P)を吸収し……
これらを栄養として新しい葉っぱを生やします。
それだけではなく、落葉樹は寒くなってくると光合成で生成したエネルギーを貯蔵するための組織を分解し、これらを形成する窒素やリンを枝に蓄え、次の春を待ちます。
この分解作用は非常にトリッキーで、組織の分解が始まっても葉緑素は光合成を続けるので……
エネルギーを生成します。しかし、エネルギーを貯蔵するための組織がなくなっているため……
細胞を破壊して窒素やリンなどの栄養素を木の幹や枝まで運ぶことを邪魔してしまいます。
細胞の破壊が最小限だった場合、葉っぱの葉緑素は破壊され……
黄色の色素(カロテノイド)が残り、葉っぱが黄色になります。
一方、明るい緑色の分子がなくなると、黄色とオレンジの色素が残り……
黄色とオレンジの葉っぱになります。
そんなわけで、同じ種類の木でも葉っぱの色が少しずつ異なるわけです。
また、葉緑素が分解を始める際に、葉緑素を日光から遮る「離層」という細胞膜を作り出すこともあります。この「離層」ができると葉っぱが光合成でつくったエネルギーを木に流せなくなり、葉っぱには栄養分と老廃物が蓄積します。さらにそこに秋の紫外線が当たることで赤色素(アントシアニン)が生成されて……
もみじなどの赤色の葉っぱが完成するわけ。
なお、落葉樹は春に新しい葉っぱを生やすため、約50%の栄養素を落ち葉などからの再利用で得ているそうで、ムービーでは「恐らく世界一きれいなリサイクル植物」と評しています。
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