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ポルシェがApple「CarPlay」に一本化したとの報道、原因はGoogleのデータ取得ポリシーに反旗か

By Ben

「自動車メーカーのポルシェは『911』にオプション設定されていたGoogleのAndroid Autoを廃止し、AppleのCarPlayに一本化とする」と報じられました。これは、Android Autoがあまりに多くのデータを取得して送信していたことを嫌っての措置とみられますが、この事態を受けてGoogleは「データ取得は安全とユーザーエクスペリエンス上の理由のため」と表明するに至っています。

Porsche selects Apple CarPlay for new 911 models, nixes Google's data-hoarding Android Auto
http://appleinsider.com/articles/15/10/05/porsche-only-allows-apple-carplay-into-new-911-models-for-fear-of-android-auto-data-gathering

13 Cool Facts About the 2017 Porsche 911
http://beta.motortrend.com/features/car-lists/13-cool-facts-about-the-2017-porsche-911/

これは自動車専門誌の「Motor Trend」が記事の中で報じたもの。ポルシェに拒絶されてしまったとみられるGoogleの「Android Auto」は、手持ちのAndroid端末を車両の状態を把握するテレマティクスシステムに接続することで、Androidと車両を統合するというシステムです。Android Autoを使うと、車載ディスプレイにGoogleマップによるナビを表示したり、役立つ情報を表示したり、音声通話が可能になるほか、海外ではGoogle Playミュージックを再生することも可能になります。

Android Auto


Android Autoは、ほぼ全ての車両に搭載されている車両の自己診断機能「OBD2」のコネクタにカーナビなどの機器を接続することで、車両の状態を逐一把握する仕組みとなっています。この情報取得は、Android Autoを使い始める際に承諾する使用許諾によってユーザーの同意がなされたことになっています。

この仕組みを利用するのはAppleのCarPlayも同様なのですが、どうやらポルシェが問題視したのはGoogleが取得する情報の内容にあるようです。理由は明らかにされていないようですが、GoogleはAndroid Autoを採用するメーカーに対し、OBD2を通じて車両の速度やアクセル開度、水温・油温、エンジン回転数など多くの主要データをAndroid Autoが取得することに同意するよう要求したと見られます。


一方のCarPlayが取得している情報は「車両が動いているか」程度のごく限られた情報となっていることから、ポルシェではGoogleがあまりに多くの情報を要求し、自社の車両の貴重なデータが筒抜けになることを嫌ったと見られています。

CarPlay - Apple(日本)


奇しくもGoogleは自社開発する自律運転車両の開発を急ピッチで進めており、2020年の本格的な公道デビューを目指していると言われています。Android Autoを通じて取得したデータがどのように使われるのか、その詳細はGoogleにしかわからないわけですが、これまでの自動車づくりのノウハウを持つ自動車メーカーにとっては、それらの貴重なデータを思い通りに取得されることは決して心地よいものでないことは容易に想像できます。特に50年以上にわたる歴史を持つ名車「911」をラインナップするポルシェにとって、どのような理由であれ詳細なデータを明け渡すことは到底堪えがたいものだったということなのかもしれません。

一連の出来事を受け、GoogleはThe Vergeの取材に対して「Motor Trendの記事は重要なポイントを誤解している」とし、「記事に書かれているような速度、アクセル開度、水温などのデータは取得していない」とコメントを発表しています。

Google defends Android Auto's data collection after critical Motor Trend report | The Verge
http://www.theverge.com/2015/10/6/9465901/google-android-porsche-auto-apple-carplay-motor-trend

Googleは実際にどのようなデータを取得しているのかについては明言を避けましたが、データ取得はユーザーによる許可がない場合は一切実施されないオプトイン方式を採っており、スイッチをONにするなどの設定を自主的に行わない限りは、勝手にデータが取得されて送信されることはない点を強調しているとのこと。また、データ取得の目的は安全上の理由と、ユーザーエクスペリエンスの向上のためと公表しています。

車両の走行データは、それぞれの車種の特徴が表れる部分でもあり、ポルシェが下したとみられる判断にも理解できる部分は存在しています。一方のGoogleは、その強大すぎる勢力がゆえに「データを何らかの目的に使おうとしている」と理解されてしまう部分があるのも事実。Android Autoのデータ取得が狙う目的の真相は定かではありませんが、ひとまずAndroid Autoを搭載した車両を入手した場合は、データ取得の項目がどのような状態になっているのかだけは確認しておいたほうが良さそうです。

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in メモ,   ソフトウェア,   ハードウェア,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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