iPhone 6sはボディ素材が変更され強度が大幅に向上していることが判明

2015年9月9日(水)に発表、9月18日(金)には販売も開始と予測されているAppleの新型「iPhone 6s」と「iPhone 6s Plus」では、ボディに用いられているアルミ素材をより強度の高いものに変更して問題とされた曲げ強度の低さが改善されている様子であることが判明しました。
iPhone 6S shell said to pass ‘bendgate’ test with 2x amount of pressure [Video] | 9to5Mac
http://9to5mac.com/2015/08/19/iphone-6s-bendgate-test/
2014年9月に発表されたiPhone 6とiPhone 6 Plusではボディがポケットの中で曲がってしまった事例をきっかけにしていわゆる「ベンドゲート(bendgate)」騒動が巻き起こり、その後も他社のGalaxy S6 EdgeがiPhone 6 Plus以上に曲がりやすいことが判明したり、それに対してSamsungが公式に反論するなど、大画面スマートフォンの強度にまつわる騒動が取り沙汰されてきました。
以下のムービーでは、すでに工場での生産が開始しているはずのiPhone 6sのボディとみられるパーツを入手し、iPhone 6との比較実験を行った様子が収められています。
iPhone 6S Aluminum Bend Test - YouTube

テーブルに置かれた2つのiPhoneの筐体パーツ。少し見にくいですが、左の黒っぽく見えているのが2014年発表のiPhone 6のアルミボディで、右のゴールドのものがiPhone 6sとみられるボディです。

iPhone 6sのアルミボディをみてみると、iPhone 6と外見上の違いはほとんどないことがわかります。

そして向かって右にある黒い装置が、iPhoneを挟んで力を加える装置。3つある白いパーツの間にiPhoneを挟んで上から力を加えることで「めきっ」とするわけです。

実験に先立ち、蛍光X線を照射することで素材に含まれる元素を解析できる「蛍光X線分析装置」で素材を詳細に分析しました。

まずは2014年型iPhone 6を分析。すると、素材に含まれる金属の98.94パーセントがアルミ(Al)であることがわかりました。この結果から、iPhone 6に使われている素材はアルミ合金の中でもいわゆる「6000番台」と呼ばれるタイプであることが判明。6000番台のアルミは入手や加工が容易なために最も広く使われているアルミ合金で、一般家庭のアルミサッシなどと基本的に同じ素材です。

一方のiPhone 6sを分析すると、91.174パーセントのアルミに次いで亜鉛(Zn)が7.642パーセント含まれていることがわかりました。この結果から、ムービーではiPhone 6sで使われている素材がアルミ合金の中でも最も強度が高い「7000番台」のアルミであると推測。7000番台のアルミは航空機や電車の車両にも使われる素材で、さらに強度の高いジュラルミンの一種である可能性もありそうです。

ただし、7000番台のアルミ合金は腐食に弱いのがウィークポイントとして知られています。そのためか、表面をコーティングしている被膜が従来よりも厚めにされていると指摘。紙ヤスリでコーティングを削り落とした際の手応えが異なっていたそうです。さらに以下の写真をよく見れば、NCマシンで削り出された内部の構造も微妙に異なっているようで、部分的に肉厚などが調整されている様子が感じられます。

お待ちかねの曲げテストを実施。まずはiPhone 6のアルミボディをセットして、上から力を加えていきます。なお、テストするのはアルミボディだけでディスプレイや基板などは含まれていません。

力を示すメーターが30ポンド(約13kg)を示したところで、ボディが大きく曲がり始めました。ボタンの開口部に最も力が集中している模様。

力が34ポンド(約15kg)に達するころには完全にポッキリ状態。

ボタンのある部分で大きく曲がりが発生していることがわかります。

一方のiPhone 6sもテストを開始。iPhone 6が曲がり出した30ポンドは楽勝でクリアー。

ムービーを作成したUnbox Therapyの男性も「ワッハッハ!」と笑うぐらいの強度を示しているようです。

力はiPhone 6の2倍となる60ポンド(約26kg)に到達。しかしこの段階ではビクともしていません。

どんどん力を加え、80ポンド(約36kg)に達した段階でついに曲がりを示す音が聞こえてきたとのこと。しかし従来よりも2倍以上大きな力に耐えられることが判明しました。

曲がり方の違いも興味深いところ。アルミボディ右側を比較したところ、右のiPhone 6では中心部分にあるSIMカードスロットを中心に大きくひしゃげ、その上にある電源ボタン部分も影響を受けています。一方、左のiPhone 6sでもSIMカードスロットで曲がっているのは仕方がないとしても、電源ボタン部分は目立った影響がありません。さらに、全体的な曲がり具合もiPhone 6sのほうが緩やかになっています。

左側面を見ても音量ボタン部分の変形具合などに違いはありますが、これは変形後に加えた力の違いによるものもありそうなので一概に判断を下すのは難しそう。

素材の変更に加え、iPhone 6sでは内部の設計を見直して補強も行われている模様。2014年の「ベンドゲート騒動」と同じ轍は踏むまいとするAppleの対策が垣間見える実験結果となっていました。

6000番台に比べると7000番台のアルミは強度そのものは高くても粘りが少なく、一定の力が加わると「ポキッ」と破断してしまう傾向があるとも言われています。通常の使い方でそこまでの大きな力が加わることは少なそうですが、実際の使用時にどんな影響が現れるのかも気になるところです。
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