スタバのディカフェでも採用されている水だけでカフェインを除去する「スイス・ウォーター・プロセス」の仕組み

By Kristoffer Nilsson

コーヒーが好きでよく飲んでいる人も多いと思いますが、そこで気になるのがコーヒーに含まれるカフェインによる影響。気になる人はカフェイン抜きのコーヒーを指定して注文することもできるわけですが、スターバックスなどで提供されているディカフェ(カフェイン抜き)の豆を作る「スイス・ウォーター・プロセス」と呼ばれる製造法がムービーにまとめられています。

SWISS WATER® Process animation video - YouTube


スイス・ウォーター・プロセスで使われるシステムの全容はこんな感じ。複数のタンクの中を水が順番に循環することで、徐々にコーヒー豆からカフェインを除去していく仕組みになっています。さらに、カフェインを除去したあとの水はフィルターによってきれいにろ過され、再利用されるようにもなっています。


画像の左上からプロセスはスタート。採取された生のコーヒー豆(生豆)を保管していた「サイロ」から、前洗浄のためのタンクへと生豆が移されます。


洗浄タンクでは、豆に付着していた薄皮や異物をキレイに除去。洗浄が終わった生豆はベルトコンベアに載せられて脱カフェインの行程へ送られます。


ベルトコンベアで運ばれた生豆は「Coffee Column」と呼ばれる脱カフェイン塔に入ります。この脱カフェイン塔が複数並んでいるのがあとで重要なポイントとなってきます。


生豆が入ったタンクに水を投入して、脱カフェイン工程の前にあらかじめ豆を水に浸します。


水に浸された生豆はおよそ2倍の大きさに膨らみ、カフェインなどの成分が染み出しやすくなるとのこと。


前準備が完了したら、水を抜いて元のタンクへ戻します。


そしてここから実際にカフェインを抜く工程が始まります。ここでは「Caffeine lean GCE(希カフェイン生豆抽出物)」と呼ばれる液体が使われており、複数ある脱カフェイン塔をGCEが順番に流れることでコーヒー豆から徐々にカフェインの成分が抜かれるようになっています。この例では脱カフェイン塔が4体使われており、右から新しい豆が順番に投入されて脱カフェイン工程を4回繰り返す様子をイメージしてもらうと一番わかりやすいかも。赤い矢印はGCEが流れる順番を、そして矢印の太さはカフェインの濃度を表してます。


実は、この脱カフェイン工程を行う際に必要以上に失われてしまった「コーヒーに必要な成分」を豆に戻すという処理を同時に行っています。現時点では何のことかさっぱりわからないかもしれませんが、この後の工程を含めてシステム全体で考えると把握できるはずです。

下部のグラフが示すように、GCEの流れに従ってGCEに含まれるカフェイン濃度が高くなっていくことがわかります。


また、イラストが示すように、豆に含まれていたカフェインがGCEに移ることで、徐々に脱カフェインが進められる様子がわかります。GCEは、処理が多く行われた豆(=OLDEST COLUMN)から少ない豆(=NEWEST COLUMN)の順番で流されるようになっており、豆に含まれるカフェイン含有量が、処理の回数を経るにつれて着実に減少するようになっています。


4回の処理を終え、脱カフェインが完了した生豆はタンクから抜き取られ、次の乾燥工程へと送られます。


多室式の乾燥機の中をベルトコンベヤで移動することで生豆が徐々に乾燥し、脱カフェイン処理済みのコーヒー豆ができあがるというわけです。まだこの時点ではローストは行われていません。


豆の脱カフェイン処理は完了しましたが、工程で使われたGCEはここからさらに処理が行われます。GCEは複数並べられた「Carbon Column」と呼ばれる処理槽へと送り込まれ、内部に入れられたカーボン(炭素)にカフェインを吸着させる処理が行われます。


先ほどの脱カフェイン工程とよく似ていますが、今度はGCEに含まれたカフェインをカーボンによって除去する処理が行われます。複数の処理槽を順番に流れることで、GCEに含まれていたカフェインがカーボン表面の小さな隙間に吸着されて濃度が徐々に減少します。


脱カフェインが完了したGCEは再びタンクに戻され、生豆の脱カフェイン工程で再利用されるのですが、この再利用が実は重要なポイントとなっています。脱カフェインの工程で生豆から染み出した成分にはコーヒーに必要なものもあり、そのままでは豆からコーヒー本来の風味が損なわれてしまいます。そこで、GCEからカフェインだけを除去したものを再びタンクに戻して再び生豆に与えることで、必要な成分を豆に戻すという複雑な処理が同時に行われているのです。この処理にはGCEの成分濃度や浸透圧、水の温度など複数の要因が絡んでいると思われるので、かなりのノウハウが必要とされるはず。


最後に、カフェインを吸着したカーボンの処理が行われます。カーボンは「カーボン再生炉」へと運び込まれ、吸着したカフェインを火で燃やして最終処理を行います。


カフェインを除去されたカーボンはカフェイン吸着材として再利用することが可能。貯蔵庫へと運び込まれ、再びGCEのカフェインを除去する処理に使われるという再利用のサイクルができあがっているのでした。


この「スイス・ウォーター・プロセス」は薬物を使わず、水だけを使うことで99.9%のカフェインを除去することが可能とのこと。処理サイクルは約10時間で完結するようになっており、このようにして処理されたコーヒー豆がコーヒーチェーン店で使われたり、店頭で販売されるというわけです。


この「スイス・ウォーター・プロセス」で豆が実際にどう変化しているのかは以下のムービーを見るとよく分かります。

Swiss Water® Process - YouTube

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