うるう秒「8時59分60秒」を挿入するまさにその瞬間を明石市立天文科学館で目撃した現地レポート


地球の自転をもとにした天文時間と原子時計を基準にした原子時間のズレをなくすために、1日を1秒伸ばすのが「閏秒(うるう秒)」です。2015年7月1日(水)に、約3年ぶりにうるう秒が追加されるとのことで、日本標準時の基準となる東経135度子午線が通っている明石市立天文科学館で、館内時計を制御する親時計に「うるう秒」が挿入される現場に立ち会ってきました。

うるう秒挿入作業|その他イベント|明石市立天文科学館
http://www.am12.jp/event/other/other_h27/uruubyou_20150701.html

明石市立天文科学館に到着。


入り口の前には、子午線の位置を示す看板と、日本初の時報に使われた水時計の一種である漏刻(ろうこく)が設置してありました。


さっそく入館口から中に入ります。


七夕が近いこともあり、館内の天井には七夕飾りがつり下げられていました。


うるう秒の挿入は1972年(昭和47年)から不定期に行われていて、今回が26回目の挿入とのこと。地球の自転時間のズレは潮力の影響を受けて常に変化するため、次のうるう秒挿入がいつになるかは分からない状態。


エレベーターで3階に移動すると、うるう秒挿入作業の準備が着々と行われていました。コレが明石市立天文科学館の館内時計を全て制御している親時計で、正副の2台があり、普段は鍵をかけて厳重に管理されています。


シークレットカバーを開けて中にある制御パネルを見るとこんな感じで、さまざまなボタンやスイッチが並んでいます。


親時計の時間とPCの表示時間をコンマ1秒単位で綿密に調整する館員さん。


NTTの時報を聞くための電話もセットされていました。


そして準備が整いました。


お客さんが入場。


うるう秒挿入作業の前に、「うるう秒とは何か?」について説明が行われました。地球の自転周期をもとにした世界時(UT)と、原子時計を基準にした協定世界時(UTC)は、1日あたり1000分の1秒ずつズレていて、約3年で1秒のズレが生じるため、天文時と原子時の時間差を埋めるためにうるう秒の挿入作業は大体3年に1回のペースで行われているそうです。


日本標準時の基準として最初に使用された「セシウム原子時計」の2台のうち1台は、明石市立天文科学館に展示されています。


うるう秒の挿入については賛否両論あり、挿入タイミングが日中の活動時間に入る国には不利益があるので、例えば1秒に何億回もの株式のトレーディングが行われるアメリカはうるう秒を廃止したい方針。一方、イギリスは天文時間であるグリニッジ標準時から切り離されることに抵抗があるためうるう秒廃止に反対していて、2015年11月に国連の下部機関である国際電気通信連合の会議でうるう秒実施を継続するかどうかの議論が行われることになっています。館員さんの意見としては、「天文科学館に所属している天文家からすると、やっぱり時間の基準は地球の自転と結びついてほしい」とのことでした。


明石市立天文科学館の親時計は、東京都・小金井にある情報通信研究機構(NICT)の原子時計から毎週データをもらっているとのことで、もし押し間違えても日本中の時計が狂うわけではないのですが、「当館の名誉を守るために、うるう秒のスイッチを押してみたい人!」というかけ声に、客席から次々に手が挙がります。


ここで明石市立天文科学館の戦隊キャラ軌道星隊シゴセンジャーのレッドとブルーが登場。


うるう秒を挿入する2名を抽選で選び……


正副2名が選ばれました。


8時58分になり、まずは親時計の制御パネルにある「閏秒調整スイッチ」を「+」にします。


もう一方の親時計の閏秒調整スイッチもポチっとな。


そして、正副同時に閏秒の「押」ボタンをポチリと押します。


すると、「閏秒」ランプが点灯。これで8時58分00秒から8時59分40秒の間は1秒が「1.01秒」となり、100秒間で1秒が増えることになります。


時刻が進むと、親時計は「8:59:39」、通常の時計は「8:59:38」を示し、1秒のズレが生じていることが分かります。


1秒のズレが起こって「8時59分60秒」が誕生した様子は以下のムービーで見ることができます。

「うるう秒」挿入により7月1日8時59分60秒を迎える瞬間 - YouTube


無事にうるう秒挿入に成功!お客さんからは拍手がわき起こりました。


挿入作業を終えた親時計は時を刻み続けていました。


最後にお客さんとシゴセンジャーの記念撮影。


帰る前に、「閏秒挿入作業見学証明書」に記念のハンコを押してもらうことができました。


館長直々に記念スタンプの押印。


ぺたん


記念撮影の紙にスタンプしてもらっている人もいました。なお、このハンコは7月いっぱい館内で押印することができるとのことです。

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