サイエンス

女性向け「バイアグラ」が承認へ、一体どのような薬なのか?

by Silvia Sala

女性の性欲障害を治療する、いわば女性用バイアグラである「フリバンセリン」が市場に出回る可能性が高くなってきました。バイアグラが男性の「性機能」を回復するのに対し、フリバンセリンは女性の「性欲」を刺激するものとなっていますが、現在、その効果と副作用が審査され、アメリカ食品医薬品局(FDA)が承認を検討しています。

FDA advisory panel recommends approval of ‘female Viagra’ - The Washington Post
http://www.washingtonpost.com/news/to-your-health/wp/2015/06/04/widely-varying-views-of-female-viagra-emerge-at-fda-hearing/

Female "Viagra" could be approved today: what you need to know - health - 04 June 2015 - New Scientist
http://www.newscientist.com/article/dn27653-female-viagra-could-be-approved-today-what-you-need-to-know.html#.VXDvwXtyotg

Food and Drug Administration Still Skeptical About 'Viagra for Women' - US News
http://www.usnews.com/news/business/articles/2015/06/02/concerns-remain-for-viagra-for-women-twice-rejected-by-fda

フリバンセリンはもともと抗うつ剤としてドイツの製薬会社ベーリンガーインゲルハイムに開発されたもの。抗うつ剤としての効果はいまいちだったのですが、研究者らが人や動物に対しフリバンセリンを使ったところ、性欲を刺激するドーパミンの分泌と伝達を向上させる効果が確認されたため、改めて臨床実験を行い性的欲求低下障害に効果的であることを証明しました。

2009年に女性の性的欲求低下障害の治療薬として研究が発表されたフリバンセリンですが、2010年、FDAは「薬によるメリットが危険性を上回らない」として承認を拒否。当時は「めまい・吐き気・失神・眠気などの副作用で臨床実験を中止せざるを得ない女性が出た」ということ、またアルコールや他の薬との組み合わせで副作用が強くなることなどが懸念されていました。


当時の臨床実験やその結果などは以下の記事から読むことができます。

ついに女性用バイアグラ登場か?抗うつ剤として開発された薬に女性のリビドーを高める効果が - GIGAZINE



その後、ベーリンガーインゲルハイムは2011年にフリバンセリンに関する研究をスタートアップのSprout Pharmaceuticalsに売却。Sprout Pharmaceuticalsは女性の性的欲求低下障害を治療する薬を開発する専門会社としてさらに研究を重ね、効果や安全性に関するデータを集めました。しかし、2013年にSprout Pharmaceuticalsがフリバンセリンを再びFDAに提出しているのですが、これも承認を拒否されています。


そして、2015年、3度目の提出によって、ようやくFDAはフリバンセリンを摂取した女性が性欲に関して満足感を得られることを認めたとのこと。FDAの諮問委員会もフリバンセリンの承認には賛成18反対6で、「フリバンセリンは女性の性欲向上に役立ちうる」として薬の承認を促しています。FDAが諮問委員会の判断に従う義務はありませんが、過去の例では提言に従うことが多かったのも事実です。

by Mr.Shih

しかし、6月1日にFDAが出したレビューは、やはり「実験で観察された薬の効果に、薬の副作用を上回る重要性があるのかという根本的な問題がある」と締めくくられており、吐き気やめまい、眠気などの副作用が現在でも懸念されています。

恋人や夫との関係に大きな問題を発生させるとして、性的欲求低下に悩む女性は多くいます。現在、性欲低下に悩まされる女性は、インターネットや雑誌などで見た、効果が証明されていない薬を購入することも多く、健康上に害を及ぼす危険も。しかし、Sprout Pharmaceuticalsの臨床試験に参加した女性のうち46~60%は薬の効果を感じており、「まるで電気のスイッチが入ったようだった」と効果を語る女性もいるほど。そのため、フリバンセリンが正式にFDAに承認されれば、女性の悩みを安全な薬で解決できるようになると考えられています。

by Madilyn Peiper

これまで、女性団体によって「バイアグラなど男性を支援する薬がある一方で、女性の性欲低下を支援するものはほとんどない」と主張されたり、FDAにジェンダーバイアスがあることが指摘されたりすることもありました。National Consumers Leagueの執行役員であるサリー・グリーンバーグ氏によると、諮問委員会で行われた投票は歴史的瞬間だったとのこと。「女性が自分の運命をコントロールできるという意味で、ピルが女性のセクシャル・ヘルスにとって重要だったように、今回の投票も女性のセクシャル・ヘルスにとって重大な瞬間だった」と語っています。

・つづき
女性の性欲を高めるバイアグラ「フリバンセリン」がついに市場に登場 - GIGAZINE

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in サイエンス,   Posted by darkhorse_log

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