サイエンス

人類は進化により「赤毛」や「明るい肌色」が増えた一方で「ハゲ」「関節リウマチ」などが減ったという研究結果


地球上のあらゆる生物は非常に原始的な生命体から始まっており、長い進化の果てに人類が誕生しました。人類誕生後も進化は続き、西ユーラシアの人類は過去1万年の進化に伴い「赤毛」や「明るい肌色」が増える一方、「男性型脱毛症」や「関節リウマチ」の発症リスクが減っていることが示されました。

Ancient DNA reveals pervasive directional selection across West Eurasia | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-026-10358-1

'Human evolution didn't slow down; we were just missing the signal': Large DNA study reveals natural selection led to more redheads and less male-pattern baldness | Live Science
https://www.livescience.com/archaeology/human-evolution/human-evolution-didnt-slow-down-we-were-just-missing-the-signal-large-dna-study-reveals-natural-selection-led-to-more-redheads-and-less-male-pattern-baldness

生物における進化は「遺伝子の突然変異」「生存に有利な形質が子孫に受け継がれる自然選択」「集団間で遺伝子が混ざり合う遺伝子流動」「集団における遺伝子頻度が偶然で変化する遺伝的浮動」など、さまざまなメカニズムを通じて起こっています。

ハーバード大学の遺伝学者であるアリ・アクバリ氏らの研究チームは、ヨーロッパやトルコを含む西アジアにまたがる「西ユーラシア」に住む合計1万6000人分に及ぶ古代人および現代人のゲノムを分析し、過去1万8000年にわたる自然選択を統計的手法で特定しました。

現代人のゲノムに基づいたこれまでの研究では、自然選択による進化は非常にまれなものであると考えられてきました。しかし、今回のような大規模なデータセットと自然選択のシグナルを他の進化メカニズムから分離する手法を用いることで、小さくても一貫した自然選択による変化を検出可能になったとのこと。


分析の結果、西ユーラシア人のゲノムに含まれる479個の遺伝子変異に自然選択の痕跡が見つかり、そのうち60%が現代人の形質と一致することが判明。強い正の選択によって増加した遺伝子変異の中には、「明るい肌色」「赤毛」「HIVやハンセン病への抵抗力」「B型の血液型」といった形質の発現に関わるものがありました。また、「男性型脱毛症」や「関節リウマチ」などの発症リスクを下げる遺伝子も自然選択により増加していたと報告されています。

研究結果からは、これらの形質が現代の西ユーラシア人において有用だったことが示唆されていますが、具体的にどういうメリットがあったのかは推測するしかありません。たとえば、「明るい肌色」は日照量の少ない地域でビタミンD合成量を増やすためであった可能性がありますが、「赤毛」が増えた理由については説明が困難です。

中には、時期によって異なる正または負の選択を受けてきた形質もありました。たとえば結核になりやすい遺伝子は数千年にわたって増加していたものの、約3500年前に減少へ転じたほか、多発性硬化症に関する遺伝子も約2000年前まで増加し、その後は減少する傾向にあります。アクバリ氏は、「これはおそらく、新たな病原体の侵入といった、時間経過に伴う環境の変化や選択圧を反映しているのでしょう」と述べました。


研究チームは西ユーラシア以外の地域における人類の進化についても調査を進めており、すでにプレプリントサーバーのarXivでは東ユーラシア人を対象にした研究結果が公開されています。この研究によると、東ユーラシアでも西ユーラシアと同様の自然選択のパターンがみられたとのことです。

Convergent natural selection at both ends of Eurasia during parallel radical lifestyle shifts in the last ten millennia | bioRxiv
https://www.biorxiv.org/content/10.64898/2026.04.03.716344v1.abstract

アクバリ氏は、「地域によって異なるのは自然選択が起こったかどうかではなく、食生活・病原体・気候などの要因を含めた地域の環境や文化的変化が、自然選択にどのような影響を与えたのかという点です。このアプローチをより広く適用することで、さまざまな環境下における歴史的な圧力が、いかにして人類の生物学に影響を与えてきたのかを理解する助けとなるでしょう」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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