サイエンス

PC・スマホ・タブレットなどを同時に使い分けるマルチタスクは脳の認知機能を低下させるおそれ

By niezwyciezony

複数の作業を同時に行う「マルチタスク」は忙しい現代人にとって避けられないことですが、作業効率の低下だけでなくストレスの増加や脳機能への悪影響といった心身への負担が近年、指摘されています。そんな中、PCやスマートフォンなどの複数のハードウェアを同時に使う「マルチ端末同時利用」をよくする人の脳を調べた研究から脳機能が低下しているという事実が明らかにされました。

Higher Media Multi-Tasking Activity Is Associated with Smaller Gray-Matter Density in the Anterior Cingulate Cortex
(PDFファイル)http://sro.sussex.ac.uk/50361/1/KanaiPone.pdf

News : News and events : University of Sussex
http://www.sussex.ac.uk/newsandevents/?id=26540

イギリスのサセックス大学サクルセンターのケップ・キー・ロー博士と金井良太博士の研究グループは、75人の成人被験者を対象に携帯電話やコンピュータなどのメディア端末の利用方法に関するアンケート調査とfMRIを使った脳構造の検査を行いました。その結果、いくつものメディア端末を同時に使う頻度の高い人のグループは同時利用をしない人のグループに比べて、脳の前帯状皮質(ACC)灰白質の密度が小さいことが明らかになりました。

これは縦軸がACCの密度、横軸がマルチメディアタスキング指数(MMI)を表したグラフ。複数の端末の同時利用を高い頻度で行う(MMIの高い)被験者ほどACCの密度が低くなっているという関係性が分かります。


前帯状皮質は共感や情動といった認知機能に関わる部位とされており、研究チームは灰白質密度が小さいという事実が、これまでの先行研究で指摘されてきた「マルチタスクによる脳の認知機能や社会的感情の悪化との因果関係」を強く裏付けるものだと結論づけています。

By Jean-Philippe Daigle

メディア端末の同時利用と脳機能への影響の詳しいメカニズムについてはまだ明らかにはされていませんが、ロー博士は「メディア端末のマルチタスキングが日常生活で当たり前になりつつある中、認知機能の低下や幸福感への悪影響が懸念されています。私たちの研究は、マルチタスクと脳機能への影響の因果関係を明らかにする研究のスタートになると考えています」と述べています。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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