「中国期限切れ食肉問題」で渦中の工場の実態が克明に記録されたムービー
使用期限をはるかに過ぎた古い肉を不正に混入していたことがスクープされて文字どおり世界中で食ベ物の不安を巻き起こしている中国の食肉加工工場の問題ですが、覆面記者が工場に潜入して克明に記録された実態がYouTubeで公開されています。
触目惊心!记者卧底调查 麦当劳McDonald's、肯德基KFC、必胜客、全家超市供应商上海福喜食品公司提供劣质食品 麦当劳肯德基供应商回应用过期臭肉:吃不死
このスクープはSMG(シャンハイ・メディア・グループ)に属するTV局であるドラゴンTV(东方卫视)が報じたもので、SMGではその映像を公式YouTubeチャンネルで公開しています。
「食品工場の『ブラックホール』」と題されたムービー
食肉加工機のまわりに群がる作業員
床にはナゲットとおぼしき加工品の姿が
これは明らかにハンバーガー用のパティ
床に「ぼとっ」と落ちた加工肉を拾い上げて、改めて容器の中に放り込む作業員の姿
この工場で生産された加工品はマクドナルドや……
KFC(ケンタッキーフライドチキン)……
ピザハットなどのチェーン店に販売されていました。
すでに報じられているように、チキンナゲットもその一部に含まれています。
渦中の食肉加工工場である「Husi:上海福喜食品有限公司」
母体となっているのはアメリカの食品卸売会社「OSI Group」で、Husiは同社の現地法人となっています。そして中国のTV局がこの工場の実態を報じたのも注目すべき点。中国では「アメリカ系企業の工場が不正をはたらいた」という報道が行われており、暗に外資系企業をターゲットに攻撃しようとする動きともみられています。
このダンボール箱には「日本マクドナルド」とみられる表記。
必胜客(=ピザハット)のピザ用豚肉に次品(=不良品)を混ぜるところ。
ミンチにして……
混ぜてしまいました。
「こいつは使えるヤツ。これも使えるヤツ」
「原料から生産されたものではないですよね」
「ええ、不良品です」
原料肉を機械に投入するとおぼしき工場のライン
ここに、円盤状の肉の塊が並べられます。ハンバーガー用のビーフパティでしょうか。
これは一度不良品でハネられたもの。このようにして通常の原料に混ぜられていきます。
「少しだけ加えろ。多すぎたらダメだ」
「『ルールは死に、人だけが残った』ということです」
麦当劳(=マクドナルド)のビーフパティにも不良品を混入
「肉が青くなってますよね」
「くせぇ肉だ」
この肉が加工されたのは2014年6月15日。しかし保存期限は2013年11月3日。つまり、7か月以上も期限を過ぎた肉が使われていたことがわかっています。
なお、この問題を受けてアメリカのマクドナルドとケンタッキーフライドチキン(KFC)を運営するヤム・ブランズは消費者に謝罪する声明を発表した上で、同工場との取引を停止することを発表しています。
マクドナルドとヤムが謝罪、取引先で床から食肉拾う姿報道 | Reuters
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0FQ1N820140721
日本においては、マクドナルドおよびファミリーマートが同社から食材を仕入れていたことが報じられています。このうちマクドナルドは国内で使用する「チキンマックナゲット」のうち約2割が同社からの納入分であったことを発表して販売を一時的に停止していましたが、納入元を変更した上で販売を再開。また、ファミリーマートでは全国で販売していた「ガーリックナゲット」が同社からの納入分であったために販売を停止するなどの措置をとっています。
東京新聞:中国企業の期限切れ鶏肉 マック・ファミマ使用か 一部販売休止:経済(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014072302000158.html
過去に日本でも大きく取り上げられた問題としては、2008年の殺虫剤が混入した冷凍餃子中毒事件 (2007-2010)などがあり、一時期は中国からの食品輸入が減少したものの2014年時点では再び元の水準に戻っています。今回は中国のメディアが不正を自ら報じる形となったわけですが、その舞台として外資系の企業が取り上げられているのは注目に値すべき事実ということが言えそうです。
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