病院は患者のクレジットカード情報を蓄積して、誰が病気になるか分かるようになる
By Alex Proimos
「クレジットカード情報」と「病気」という一見関連性の見いだしづらい2つの要素を基に、患者の病気のリスクを導き出すプロジェクトが進んでおり、この取り組みをビジネス情報誌Bloomberg Businessweekが紹介しています。
Hospitals Are Mining Patients' Credit Card Data to Predict Who Will Get Sick - Businessweek
http://www.businessweek.com/articles/2014-07-03/hospitals-are-mining-patients-credit-card-data-to-predict-who-will-get-sick
Carolinas HealthCareは、ノースカロライナ州とサウスカロライナ州で最も大きな医療センターのひとつ。ここでは「患者のクレジットカード情報を病院側が閲覧する」という試みが近々開始されるかもしれません。
病院・老人ホーム・医者のオフィス・外科センターなど大小さまざまな900以上の医療センターを運営しているのがCarolinas HealthCareで、ここの研究機関のひとつでは、人が病気になる前に医者が何かしらの対策を行えるようにするために、約200万人の消費者データを集めて病気になりそうな人をつきとめるためのアルゴリズムを設計・開発しています。
By Rooners Toy Photography
現在Carolinas HealthCare Systemでは、クレジットカードの購入履歴データと独自の予測モデルを活用して、患者の危険スコアを導き出しています。そしてここ2年間は、危険スコアを何度も医者やナースたちに配布し、危険度の高い患者にコンタクトをとって病気になる前に診療を受けるよう勧めてきたそうです。
ビッグデータを活用して個々の住民の健康状態まで導き出せる予測モデルを作ることがこの計画の目標地点だ、と言うのはCarolinas HealthCareにて解析論と治療結果分析部門のチーフ・オフィサーを務めるMichael Dulin氏。彼は、「例えばぜんそくの患者がいるならば、患者のぜんそく薬購入履歴やたばこの購入履歴、さらにどれくらい高い花粉数の地域に住んでいるかを考慮し、緊急処置が必要になる確率がどのくらいかを評価してくれるようなシステムを目指している」と、システムの最終的な形態も明かしています。
Carolinas HealthCareはこの研究のために、お店での購入履歴やクレジットカードを使った購入履歴などを情報ブローカーから購入しています。「これらの個人消費に関するデータは、医者が患者に触診などを行うよりも詳細な患者の全体像を知るための手助けになる」、とDulin氏は語ります。しかし一部の識者は、医療行為がデータ分析に依存していくことで、医者と患者の関係は悪いものになっていくのではないか、と指摘しています。
また、Carolinas HealthCareは患者の情報を集めるために情報ブローカーを使っていますが、それらの情報をどこから入手しているかがほとんど明らかにされておらず、ブローカーから具体的にどんな情報を提供してもらっているのかも不明です。なお、大手情報ブローカーとして知られるAcxiomやLexisNexisなどは、Carolinas HealthCareの開発するシステムに情報を提供しているという事実は一切ないとコメントしています。
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