「Bitcoinは通貨ではないので課税対象」との見解をアメリカ政府が発表

By DonkeyHotey

仮想通貨「Bitcoin(ビットコイン)」をどう取り扱うべきかは、各国政府が頭を悩ませている問題です。ロシアのように法令で禁止する国も出てくる中で、アメリカ政府は「ビットコインは通貨ではない。故に売却益については課税対象である」との公式見解を明らかにしました。

IRS Virtual Currency Guidance : Virtual Currency Is Treated as Property for U.S. Federal Tax Purposes; General Rules for Property Transactions Apply
http://www.irs.gov/uac/Newsroom/IRS-Virtual-Currency-Guidance

Bitcoin Is Property, Not Currency, in Tax System: IRS  - Bloomberg
http://www.bloomberg.com/news/2014-03-25/bitcoin-is-property-not-currency-in-tax-system-irs-says.html

アメリカ合衆国内の連邦税に関する執行・徴収をつかさどる政府機関であるアメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)は、「ビットコインは通貨ではなく資産である」との見解を初めて明らかにしました。

ビットコインを通貨として認めるべきか否かという問題は、課税対象になるかどうかを決定する問題という側面を持ちます。すなわち、通貨であればインフレ・デフレによって価値が変動した場合でもキャピタルゲインという概念はあり得ず課税されることがないのに対して、資産であれば取引を通じて売却益が出た場合には課税の対象になるというわけです。

IRSが出したビットコインに関する課税ガイダンスによると、例えば200円で購入したビットコインが後に市場価値で300円となり、300円のコーヒーの代金として使用された場合には、ビットコインで支払った人(コーヒーを買った人)には300円－200円＝100円の売却益があったとみなされ、この100円分に対して税金が課され、また、ビットコインを受け取った人(コーヒーを売った人)は300円の収入があったとして課税されることになります。

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しかし、ビットコインを課税対象とすることに対しては仮想通貨の普及に及ぼす影響の大きさから否定的な見解が寄せられています。ハイテク企業への投資を行うベンチャーキャピタルHummingbird Venturesのパミール・ガレンビー氏は、「コーヒーを買うのにキャピタルゲインをいちいち考えるなんて馬鹿げている」と述べ、課税対象にすることでビットコインの取引量が減少することを危惧しています。また、ビットコインで決済するオンラインショップのBitcoinShopのチャールズ・アレンCEOは、「今回のIRSの決定は、ビットコインをビジネス決済に活用しようとする人にとって大きな重荷になるでしょう」と影響の大きさを懸念しています。

IRSが明らかにしたガイダンスによれば、ビットコイン取引は株式取引と同様の取り扱いを受けることになります。例えば、アメリカの税法上、株式取引で生じたキャピタルロスを他の株式売却益から控除でき、さらに年間3000ドル(約31万円)を上限として所得からの控除も認められているので、ビットコインに関しても同様の取り扱いになりそうです。

ただし、ビットコインは株式取引と違ってマイニングによって採掘できるという特異性があります。IRSのガイダンスからは、ビットコインを採掘するマイナーがマイニングによって新たにビットコインを手に入れた場合、その時点におけるビットコインの市場価格相当の収入を課税所得として報告することが要求されていますが、実際に税金を徴収できるかは実効性の観点から不透明です。

By DonkeyHotey

今回出されたIRSのガイダンス通りの立法が成立し、税金の徴収がスタートすれば、ビットコインユーザーが課税されることを嫌って、公には現れない「裏の取引」が増えることは容易に想像できます。果たしてビットコイン課税は実現できるのか、世界中がアメリカのビットコイン取引を注目することになりそうです。

なお、アメリカに先立って日本でも「ビットコインは通貨に該当せず、貴金属などと同様に『モノ』として扱い、一般論として税法の課税要件を満たせば課税される」との政府方針が明らかにされていますが、課税方法や取引を規制するかどうかも含めてビットコインに関する具体的な立法は未整備のままです。