ゲームがテロリストの訓練やプロパガンダに使われる可能性を諜報機関が懸念
By jit
元CIA職員のエドワード・スノーデン氏によってNSAの機密文書が公になり、さまざまな諜報活動が暴露されてきました。スノーデン氏が公開した機密文書の中には、ゲームについて事細かく記されたレポートがあり、その中でアメリカ政府の諜報機関は、ゲームがテロリストの訓練に使用されたり、プロパガンダ活動の一端を担っている可能性を懸念しています。
NSA documents on games and virtual worlds - ProPublica
http://www.propublica.org/documents/item/889134-games
Snowden leak examines gaming as a terrorist propaganda and training tool | Ars Technica
http://arstechnica.com/gaming/2013/12/snowden-leak-examines-gaming-as-a-terrorist-propaganda-and-training-tool/
(PDFファイル)NSA files: games and virtual environments paper | World news | theguardian.com
http://www.theguardian.com/world/interactive/2013/dec/09/nsa-files-games-virtual-environments-paper-pdf
アメリカの軍では、FPSゲームのデルタフォース 2や戦車シミュレーションゲームのSteel Beasts、コンバットフライトシミュレーションゲームのFalcon 4.0などを実際のトレーニングに使用していますが、レポートには「完全な軍事トレーニングは実技訓練を通して達成される」「ゲームを使ったトレーニングだけでは実際の軍事活動の準備にはならない」と記されています。しかしながら、軍が行っているのと同じゲームを使用したトレーニングをテロリストが行った場合に、何らかの役には立つことになるとも指摘しています。
By Niranjan
レポートには「3次元コンピュータグラフィックスを制作するためのソフトウェアであるMayaが、核爆発によって引き起こされるきのこ雲を制作する性能があり、味方の被害を予測するのに使用されるかもしれない」などゲームから引き起こされるであろうさまざまな懸念が書かれていて、その中でも最も多くのページを費やして警告を発していたのが、テロリストがゲーミングテクノロジーを攻撃の計画や実行に使用する可能性についてです。
例えば、スーダンの地方部族との戦いを描いたFPSゲームの「一般人を撃たないように味方に細かい訓練を行う」などの機能や、実際の場所に酷似したマップを使用するゲームの存在が、テロリストによるトレーニングや計画立案時に役立つ可能性がレポート内で指摘されています。また、Mayaを使って、実際の爆弾がどの程度の範囲に被害を及ぼすのかを演算すれば、爆弾を設置する場所や味方の配置などをシミュレートできるそうです。
レポートは、ゲーム内のアイテムを売って現金化できてしまうオンラインゲームがテロリストの資金源になる、とも指摘していて、アメリカ政府のテロリストへの並ならぬ警戒がうかがえます。
By Robert Fabros
諜報機関はゲームがテロリストのトレーニングに使用されている以外にも、プロパガンダとしての役割を懸念しているようです。ユダヤ人や非白人を攻撃対象とする「Ethnic Cleansing」というゲームや、レバノンの政治グループによって制作されたゲームには、プレイヤーに誤った考えを植え付ける・歴史観をゆがめる・社会的論理基準を破綻する・ユーザーを暴力に対して鈍感にさせる、などの役割があると、レポートは示唆しています。
By włodi
イギリスの新聞The Guardianが入手した極秘資料からは、NSAやイギリスの諜報機関GCHQがXbox Liveや人気のあるオンラインゲームのWorld of Warcraftに対して、テロリストのネットワークの温床になっているとして多くの諜報員を送り込んでいることが判明しています。ひょっとすると、オンラインゲームでテロリストと諜報部員がお互いの素性を知らないままチームメイトとして戦っている、ということもあるのかもしれません……。
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