ハードウェア

ノルウェーの谷底の町を太陽で照らす51平方メートルもある3枚の巨大鏡


ノルウェーの首都オスロから70マイル(約112km)西方に位置する谷底の町リューカンに、冬の間は太陽のない町を救うアイデアとして、山頂に51平方メートルの巨大な鏡を3枚設置して太陽光を町へ届けるというプロジェクトが実施されました。

Fakta om Rjukan og Tinn - Om Rjukan - Visit Rjukan
http://www.visitrjukan.com/om-rjukan/fakta-om-rjukan-og-tinn

Norwegian Town's Bright Idea Is A Shining Example Of Ingenuity : The Two-Way : NPR
http://www.npr.org/blogs/thetwo-way/2013/10/23/240240813/norwegian-town-s-bright-idea-is-a-shining-example-of-ingenuity

リューカンは、ノルウェーの南西部テレマルク県Tinn地域にあります。もともとは落差104mのリューカンの滝(Rjukanfossen)ぐらいしかないところでしたが、エネルギー会社ノルスク・ハイドロの創設者であるサミュエル・エイデ氏が「滝を水力発電に利用しよう」というアイデアを出したことから、1905年にノルウェー硝石生産のための工場が設置されました。これに伴って、1916年ごろまでに「工業都市リューカン」が谷底に形成されました。


その後、3500人の人々が暮らす町となったリューカンですが、毎年9月~3月にかけて日光がほとんど届かず、長い間、暗さと寒さに悩まされていました。町民は半年の間だけ降り注ぐ太陽の光でなんとか生活を営んでいます。


1913年の時点で、エイデ氏には「Solspeil」という太陽光を利用する鏡のアイデアがありましたが、ただ「山に大きな鏡を設置すればいい」というわけではなく、当時の技術ではSolspeilプロジェクトを完成させることはできませんでした。そのため、1928年に代替案として、日光が最も当たる山頂に通じるゴンドラ「Krossobanen」を設置。このゴンドラは現在でも町民たちに利用されており、毎年何千もの人々を山頂の太陽光への小旅行へ送り出しています。


Solspeilプロジェクトは長らく放棄されたままになっていましたが、2005年になって、再び太陽光を町へ届けようとするプロジェクトが動き出し、総額82万5000ドル(約8000万円)かけて、山頂に1枚あたり51平方メートルの巨大な鏡が3枚設置されました。鏡はセンサーとコンピュータによって制御され、リューカンの町の広場に約600平方メートルの楕円(だえん)形の太陽光を届けることができるようになりました。


このプロジェクトはノルスク・ハイドロによって行われ、太陽鏡の動力は水力発電によってまかなわれるとのこと。町の観光案内所のカレン・ロウさんは「秋や冬の季節でも、多くの町民たちが活動的になるでしょう」と述べており、町が始まって以来初めて「冬でも太陽光を浴びることができる」ということで、広場の太陽光のもとには町民たちが集まっているそうです。


なお、同じように日の光が当たらない町に鏡を使って太陽光を届けるという事例は、イタリアでも小規模なものながら実施されているとのことです。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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