Amazonのジェフ・ベゾスCEOがワシントン・ポストを約250億円で買収
by Adam Glanzman
アメリカの主要な日刊紙の1つであるワシントン・ポストが、Amazon.comのジェフ・ベゾスCEOに売却されることになりました。価格は2億5000万ドル(約245億8000万円)で、80年にわたって続いてきたグラハム家による経営が終わりを迎えることになりますが、ベゾスCEOは買ったからといって従業員を解雇したり、編集者を変えたりする予定はないとのこと。
上記写真はワシントン・ポスト本社前に設置されている電光掲示板に、ワシントン・ポストが売却されたというニュースが流れているところです。
Washington Post to be sold to Jeff Bezos, the founder of Amazon - The Washington Post
http://www.washingtonpost.com/national/washington-post-to-be-sold-to-jeff-bezos/2013/08/05/ca537c9e-fe0c-11e2-9711-3708310f6f4d_print.html
これはワシントン・ポスト社が発表したもので、月曜日に本社でドナルド・グラハム会長とキャサリン・ウェイマス社主から従業員に対して説明が行われました。社員はこの決定を静かに受け止め、ベテランの中には嗚咽を漏らす人もいたそうです。「あの場にいたみんなが、ドン(ドナルド会長)とキャサリンがどれだけワシントン・ポストを愛していたか、どれだけ辛い決定だったかを知っていましたから」と語ったのはコラムニストのデイビッド・イグナティウス氏。
1990年代以降のインターネットの隆盛と、「印刷物からデジタルへ」という新時代への移り変わりは新聞をはじめとするメディアに競争の波をもたらし、破綻したり統合・合併する会社が相次ぐことになりました。この状況にグラハム家の人々はショックを受けましたが、ベゾス氏と会ったことで「ワシントン・ポストは生き残っていけるのではないだろうか」と考えを改めたそうです。「この話は成功に繋がるとは限らないが、成功への大きなチャンスをもたらしてくれると思いました」とグラハム氏。
ワシントン・ポストの新聞部門はこの6年間で営業収益が44%減少しており、オンラインも今年だけで7%減少。しかし、ベゾス氏はワシントン・ポストの先行きについて楽観的。「どんな計画を持っているのかについてはお話ししたくありません」と前置きした上で、オーナーが変わってもワシントン・ポストの価値は不変であり、紙面というのはオーナーのためではなく読者のためにある、と語りました。
実は、グラハム氏とベゾス氏は古くからの友人で、Kindleで新聞を読む機能について、グラハム氏がアドバイスをしたことがあり、一方でベゾス氏はワシントン・ポスト、ニューヨークタイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナルという3紙の熱心な読者だったりします。このため、グラハム家による80年の経営が幕を閉じても、混乱は起きないだろうと2人とも考えているとのこと。会社としても、ウェイマス社主や、編集責任者のマーティン・バロン氏はそのままの役職に残ることになっていて、2000人いる従業員も経営引き継ぎにあたって解雇されることはないとのこと。ベゾス氏は今まで通りシアトルの自宅にいて、ワシントン・ポストに関する業務は今までのメンバーに任せることになります。
とはいえ、これでAmazonが独自の報道機関を手に入れたというのは事実。ベゾス氏はAmazonの長期戦略として「顧客」「執念」「発明意欲」の3つが大事だと語っていますが、ワシントン・ポストにもこれが当てはまるのでしょうか……。
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