「量子浮揚(クォンタムレビテーション)」で反重力レースを再現したムービー
いわゆる「第二種超伝導体」がマイスナー効果によって浮上し、ピン止め効果によって静止する現象を組み合わせ、あたかも反重力レースゲーム「WipeOut」のようなことを可能にしているすさまじい実験ムービーです。単純に浮いているだけではないため、垂直な立体カーブにさしかかっても落ちたりせず、安定した速度で進行している点に要注目です。
Controlled Quantum Levitation on a Wipe'Out Track - YouTube
謎の組織「JIST」による実験、ムービー中では胸のバッジなどにモザイクがかかっており、どこかの大学の研究機関か何かだと思われますが、著作権的な理由なのか何なのか正体は伏せられています。
これがレースのフィールドの説明
走るのはコレ
いかにもそれっぽい
液体窒素のタンク登場
冷やします
これがレース場
コントローラーにより自由自在に停止・移動が可能
レース開始
このような垂直カーブであっても難なく進みます、これはすごい
このようなでこぼこでも安定して進みます
この仕組みは「超伝導」で以下のように「量子力学的効果によって起きている」と説明されており、そのため「量子浮揚(クォンタムレビテーション)」と呼んでいます。
超伝導 - Wikipedia
超伝導体には電気抵抗がゼロになる他にも、物質内部から磁力線が排除されるマイスナー効果によって「磁気浮上」現象を起こす。この時、磁力線の強度への応答の違いから第一種超伝導体(Type I superconductors)と第二種超伝導体(Type II superconductors)とに分類される。第二種超伝導体では磁力線の内部侵入を部分的に許すことで高強度の磁力に対してマイスナー効果が発生する。第二種超伝導体では、ピン止め効果によりゼロ抵抗を維持している。
これらの現象はいずれも、量子力学的効果によって起きていると考えられており、基本的なしくみはBCS理論によって説明される。日常では扱わない低温でしか発生しない現象で、その冷却には高価な液体ヘリウムが必要な事から、社会での利用は特殊な用途に限られていた。20世紀末にようやく上限温度(転移温度)が比較的高く安価な液体窒素で冷却できる高温超伝導体が相次いで発見されてから一般への認知も大きく進んだ。今後はさらに一般的な低温環境や室温で機能する実用的な超伝導体の発見が期待されている。
ほかにもこの「量子浮揚(クォンタムレビテーション)」の実験ムービーがYouTubeにて公開されており、なかなか興味深い内容となっています。
QuantumLevitation - YouTube
仕組み自体は以下のページにてムービー付きで解説されています。
The physics behind
http://www.quantumlevitation.com/levitation/The_physics.html
なお、この実験ムービーの元アイディアとなった「WipeOut」というゲームのムービーを見ると「なるほど、確かにこの実験の延長線上であればこのようなゲームは現実に可能になるかもしれないのだな」ということがわかります。
WipeOut HD trailer - YouTube
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