「アイテム課金」や「二重価格」の問題点を消費者庁がついに公表
by taniavolobueva
「プレイは完全無料」といいながら実際はお金を払わないとろくに遊べない、「しみ・くすみを予防」といっておいて効果がない、「通常よりも安い特別価格」をうたいながら実際には通常価格での販売実績がないなど、トラブルが多発している状況を受け、消費者庁がインターネット上の取引で想定される事例を中心として問題点と留意事項を公表しました。
(PDFファイル)「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の公表について
消費者庁が10月28日にまとめた具体的事例は以下のような感じです。
◆フリーミアム
サービスの基本的な部分を無料で提供していることをアピールしているもの。「完全無料でゲームが遊べる」という文句がありながらも実際にはゲームを進めるためにはアイテムの購入が必須であるもの、「動画見放題」といいながら時間帯が制限されており、いつでも自由に動画を見るためには月額使用料が必要である、などなどのことです。
下の図はフリーミアムのビジネスモデルを簡略化したもの。
昨今、モバゲーやGREEといったソーシャルゲームが大流行。携帯電話でも遊べる手軽さ、そして「プレイ料金無料」ということから小中学生が遊んでいる姿も珍しくありません。しかし、有料アイテムをクリック一つで購入できてしまうため、子どもが勝手に購入してしまうというケースが続出。11歳の子どもが100万円分のアイテムを購入したという事例はニュースになりました。
こういったサービスについては、実際に無料で使えるのがどこまでなのか、具体的内容や範囲を正確かつ明瞭に表示する必要があります。
◆口コミサイト
「食べログ」や「価格.com」など、いわゆる「口コミ」情報を掲載するサイト。ブログや旅行サイト、グルメサイトなどの中で、口コミに値する情報を書き込めるサイトも含まれます。事業者が自分自身で、もしくは第三者に依頼して、商品やサービスなどの内容を偽って宣伝している場合、景表法上の問題となります。
下の図は口コミサイトのビジネスモデルを簡略化した図。
例としては、飲食店の店長やオーナーが「食べログ」上の自分の店のページに、実際には比内地鶏を使っていないのに「このお店は比内地鶏を使っているとか。さすが比内地鶏、とてもおいしかった」と書き込むのはダメということ。
◆フラッシュマーケティング
「グルーポン」などに代表される、商品やサービスの値段を割り引くクーポンを、一定数量、期間限定で販売するビジネスモデル。通常価格と割引価格が両方表示されるのが一般的ですが、こうした際、通常価格での販売実績がまったく無い場合などに問題となります。
2011年1月に問題となった「バードカフェ」のおせちがまさにこの事例に当てはまります。
◆アフィリエイトプログラム
商品・サービスのバナー広告等をサイトに掲載し、広告を通じて購入が行われた場合に報酬が支払われるという広告手法。
これもフラッシュマーケティングと同様、通常価格と割引価格の表示を行う場合に、通常価格での販売実績が無いと問題となります。また、広告上の表現で「簡単ダイエット!」などの表示を行いながら、実際にはダイエット効果に十分な根拠が無かった場合などに問題となります。
◆ドロップシッピング
インターネット上のサイトを通じて商品を販売していながら、実際の商品の在庫をサイト運営者が持たず、製造元や卸元が購入者に対して直接商品の発送を行うのが特徴。
ドロップシッピングのビジネスモデルを簡略化した図。
ドロップシッピングを行うサイト運営者は、事業者として景品表示法に関する責任を負うこととなります。これもフラッシュマーケティング、アフィリエイト同様、消費者に誤解を与えるような実際の効果を誇張した表現が問題となります。また、通常価格と割引価格の二重表示を行う場合、通常価格での販売実績が無いと問題となります。
◆分かりづらかったので消費者庁に聞いてみた
口コミサイトやフラッシュマーケティング、アフィリエイト、ドロップシッピングの場合、商品やサービスの供給元と、サイトの運営者が異なります。こうした場合、景表法の責任を負うのは誰なのか、分かりづらかったので、消費者庁に電話して聞いてみました。
GIGAZINE(以下、G):
例えば、今回のガイドラインで「問題になる」とされるようなアフィリエイト広告が、知らないうちに自分のブログに掲載された場合、景品表示法上の責任は誰が負うのでしょうか。
消費者庁表示対策課 高橋氏(以下、高橋)
広告主が負うこととなります。もちろん場合によりますが、口コミサイトやフラッシュマーケティングの場合でも、基本的には商品やサービスの供給元に責任の所在があるとされています。一般的な事例で言えば、知らないうちに問題のある広告が自分のブログに掲載された場合に、サイト運営者が責任を問われることはありません。
G:
ドロップシッピングの場合はどうですか?
高橋:
もしサイト運営者(ドロップシッパー)が、自ら商品の効果や内容を誇張して表現した場合には、サイト運営者の責任が問われることとなります。今回のガイドラインにあるように「ドロップシッパー(個人を含む)は、景品表示法に定める事業者に該当」ということで、ドロップシッピングに関しては、サイト運営者が事業主としての責任を負うことになります。
G:
今回のガイドラインで示されたような「問題のある事例」が消費者から通報された場合、消費者庁としてはどのように対応するのでしょうか。
高橋:
消費者庁では今回のような事案に対応する部署として「表示対策課」を設けています。こちらに連絡をいただければ、その事案について実際に問題があるかどうかを調査し、事件性があるということであれば、警告など実際の対策を行います。
G:
ありがとうございます。
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