ソフトウェア

マイクロソフトのPowerPointに反旗を翻す「アンチパワポ政党」

by leobard

ビジネスの現場で行われるプレゼンテーションの資料作りには欠かせないマイクロソフト社の「PowerPoint」ですが、何を作っても「いかにもパワポで作りました」感のある仕上がりになってしまうため、正直あまり使いたくないという人も多いのではないでしょうか。

そんな「PowerPoint」に対する不満を政治的な立場から表明するべく、「アンチパワポ政党」がスイスで発足されました。


Swiss party makes dislike of PowerPoint a political issue - legislation, government, Office suites, applications, software, Anti-PowerPoint Party - CIO

「アンチパワポ政党」の正式名称は「Anti-PowerPoint Party(APPP)」。彼らが主張するところによると、PowerPointがビジネス現場で広く使われることにより、スイス経済に毎年21億スイス・フラン(約2026億円)の損失を与えていて、ヨーロッパ全土に視野を広げると、プレゼンテーション用ソフトの存在は1600億ドル(約12兆円)もの経済的損失を引き起こしているとのこと。

APPPが主張している上記の内容は、「会社に勤める人は必ず毎週プレゼンテーションの場に参加していて、しかも参加者の85%がその内容に目的意識を見いだしていない」という仮定のもとに算出されたもので、特に根拠となるデータは提示されていません。

スイスの民主主義体制のユニークなところは、市民が国民投票を募ることができる点。10万人以上の署名を集めることが条件となっていますが、投票を募るテーマはどんなものでもOKだということです。

APPPは上記の制度を使って国民投票を行い、「スイス全土でPowerPointおよびその他のプレゼンテーション用ソフトの使用を禁止する」という最終目標を果たすため、各方面にサポートを要請しています。また、APPPは10月に行われる総選挙に候補を擁立することも計画しているなど、PowerPoint撲滅のため、積極的に政治に関わっていこうという姿勢がうかがえます。

公式サイトはスイスの公用語であるドイツ語、フランス語、イタリア語のほか、英語やスペイン語、ロシア語、クロアチア語、スロバキア語など多言語での表示が可能となっていて、世界全体にPowerPoint反対の意志を伝えようとしているのが分かります。政党の創立者であり現在のトップであるMatthias Poehm代表は「クロアチア語の翻訳を担当してくれたボランティアは、我々のウェブサイトをこのほかの言語に翻訳してくれるボランティアを募集しています」とコメントするなど、まだまだ対応言語を増やしていきたい構えを見せています。

Anti Powerpoint Party



2003年、数値データを視覚化することが得意な専門家のEdward Tufte氏は、PowerPointが人々の思考能力を低下させたという主張を書いたエッセイ「The Cognitive Style of PowerPoint」を発表。また、2010年にニューヨーク・タイムズが、米軍が提示した意味がよく分からないプレゼンテーション資料を前にして「我々の敵はPowerPointだ」と記事に書くなど、この政党以外にもPowerPointの存在を苦々しく思っている人は少なからずいるのかもしれません。

2011年5月5日に発足したAPPPは現在245名のメンバーを集めていますが、政局に参加するにはあまりにも少ない人数となっています。党員はTufte氏の著書で党のマニフェストが書かれている「The PowerPoint Fallacy」という書籍を購入する義務がありますが、市販価格よりも安く買えるようになっているそうです。

これだけ聞くとTufte氏がただ著作を売るために政党を利用しているように見え、彼自身もメールでの質問に対して「確かに、そういう目的もありますね」と答えていますが、彼はこの政党の発足にはそれ以上の意味があるとしています。

「我々が目標としているのは、PowerPointを駆逐することではありません。多くの人が、プレゼンテーションの手段としてPowerPoint以外のものを知らない現状を打破したいのです」とTufte氏はコメントしています。

マイクロソフト側はAPPPの存在やプランについて問い合わせられたものの、ノーコメントを貫いたということです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
PowerPointを使ったプレゼンテーションは理解を妨げる - GIGAZINE

Microsoft Officeと互換性が高い「Kingsoft Office 2007」を使ってみた - GIGAZINE

プロジェクターで投影した画面をタッチ操作することも可能、Wiiリモコンを使った電子黒板 - GIGAZINE

頭の中のアイデアや考えをマインドマップ発想で簡単に見てわかるように整理する「マインドマネージャー」 - GIGAZINE

in メモ,   ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.