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バンダイの劇場公開記念限定版「1/350 宇宙戦艦ヤマト・空間磁力メッキバージョン」とホワイトメッキが美しい「1/72 マクロスF VF-25 メサイアバルキリー」制作者インタビュー


イスカンダルからの帰途、一刻も早くコスモクリーナーを持ち帰らなければならない宇宙戦艦ヤマトとそれに追いすがるデスラー艦との最終決戦で使われたのが防御システム「空間磁力メッキ」。すべてのビーム兵器を跳ね返すミラーコーティングによりデスラー砲を跳ね返し見事デスラー艦を撃滅したわけですが、その銀色に光り輝く印象深い姿を大スケールの組み立てモデルにしてしまったのがこの「1/350 宇宙戦艦ヤマト 空間磁力メッキバージョン」。

また「原点回帰」を掲げた「マクロスF(フロンティア)」に登場する主力可変戦闘機「1/72 マクロスF VF-25 メサイアバルキリー」のキットも劇場公開記念ということで大幅にパワーアップ。特にファイター形態にこだわってデザインされたシルエットはアニメファンだけでなくスケールモデルファンにも好評でしたが、今回はあまり例のないホワイトメッキコーティングを施し、コンマ以下の精度で成形されたキットと相まって優美な質感を実現しています。

目次:
◆1/350 宇宙戦艦ヤマト・空間磁力メッキバージョン
◆1/72 マクロスF VF-25 メサイアバルキリー

詳細は以下。
こどもから大人まで楽しめるバンダイ公式ショッピングサイト
http://p-bandai.jp/


◆1/350 宇宙戦艦ヤマト・空間磁力メッキバージョン

80cm近い船体全部がシルバーにメッキされているという迫力の商品。


GIGAZINE(以下、G):
どういった経緯でメッキモデルという企画が生まれたのでしょうか?

バンダイ(以下、バ):
ヤマト装備・兵装の中で、この「空間磁力メッキ」は初代アニメの最後に1話だけ出てきたものですが、皆さん印象に強く残っているんです。今年は劇場版 また続く実写版と、久しぶりの新作が続き話題も豊富ですので、新作の公開を記念したアイテムを商品化したいという思いが強く、商品化のはこびとなりました。

「空間磁力メッキバージョン」は完全な数量限定で出す予定なので、買い逃したらおそらく二度と手に入らないかもしれません。次にまた大きなイベントがあったりしない限りは作ることはないと思います。

G:
企画から出来上がりまでどれくらいかかりましたか?

バ:
元となった1/350ヤマトは1年以上かかっていますが、これをベースにすることができたので比較的短期間で完成させることができました。

コスモタイガー隊とギミック操作用のリモコン。リモコンは波動砲発射装置を再現。


波動砲は光ります。


リモコンを操作して実際に動かしてみました。


G:
それにしても指紋をつけてしまうのが怖いくらいのきれいなメッキですね。

バ:
社内で普段触るときは手袋をしています(笑)。今は試作主砲が鈍い色になっているんですけれどもこれもメッキになりますよ。最近は色々な塗料はあるんですけど、グロスのこういう感じは艶がうまくでないので塗装では難しいですね。

砲塔まわりも完全にメッキされるようです。


G:
実際にメッキがかかった試作品が出てきた時はどんなことを考えましたか?

バ:
正直「すげーな!」と思いました(笑) やっぱり”感嘆符がつく仕事”っていうのは楽しいですよね。このモデルを机の上に置いて仕事をしていたら、社内で通りかかった人も「すげーな!」って足を止めます。作り手が素直にすごいと思う商品は、きっとお客さんも伝わるんだと思います。ホビーショーの時も展示を見に来ていた人に「どうですか?」ってきいたら「すげーな!」って答えてくださいました(笑)

舷側のミサイルハッチも動かせる。


煙突ミサイルの細かいハッチも開閉させることができます。


対空砲塔はこんな感じでわさわさと動く。


G:
メッキにする上で大変だったことはなんでしょうか。

バ:
これまでのノウハウがありますから難しい点は特にはありませんでした。ただ、品質管理面は相当厳しいことを言われいてますので、それをクリアするのにこれから発売までが大変になってくるんだと思います。

G:
品質管理はかなりこまかい部分まで厳密に行われているようですね。

バ:
ごく普通の商品の場合、機能に重きを置いた事柄が大事なんですが、プラモデルの場合、組み立てて動かして遊んで……と、組立が加わる上に、それぞれ楽しさが継続しなければいけません。ですから、楽しく組立が出来るか、どれくらい長く楽しんで頂けるか、そういった事まで品質管理に含まれます。

他の商品も安全面については厳しく見ていると思います。それに加えて組み立てキットなので安全に組み立てができて、完全に動いて、しっかり維持できるというところも大きなポイントとして見ています。

アンカーは可動式。


こんな感じで手動でのばせます。


収納も手動の巻き取り式。


G:
思っていた以上に様々な面から品質管理が行われているという印象を受けます。

バ:
商品にかかわる全ての人が、数回にわたる組み立て検証を行っています。ただ、このサイズでこの細かさだとちょっとしんどいですね。「明日までに」って言われたら、その人のことを嫌いになっちゃうかもしれません(笑)

G:
どれくらい時間がかかるものなのでしょうか?

バ:
うーん……コーヒーを飲みながらじっくり1日がかりという感じでしょうか。組み立てモデルとはいえ、やはりどうしても出来上がりが評価されるんですけれども、じっくりと組み立ての楽しさを味わって欲しいなと思っています。

細かい説明書きを読むのも楽しみの1つ。


完成した後はリモコンのボタンでギミックを動かして遊ぶことも出来ます。


発進シークエンスもこの通り。波動エンジンの懐かしい音とともに点火。


G:
ホビーショーでの反応はどのようなものでしたか?

バ:
いろいろな層の方にご来場いただきましたが、まずは家族連れの反応が印象的でした。お父さんの影響が大きいと思うんですが、3歳くらいの男の子が「あ、ヤマトだ!」って。「なんで知ってるの」って聞いたら「お父さんと見てる」って言ってました。これがヤマトの魅力なのかもしれませんが、下はこういう3歳ぐらいの子が、お父さんと一緒に楽しめる作品なんですね。会場でも上は50~60代の方まで、とても広い世代に知って頂いている印象でした。正直、あれほど広い年代の人に足を止めて頂けるとは思いませんでした。

50~60代の人もいるし20代くらいの人も、加えて二世代三世代が育っているいるという印象でした。ホビーショーでお客さんにヒアリングしてみたら、通常版を3個持ってるって人がいました。他にも複数個購入して、一つは普通に組立て、もう一つは自分でカスタムモデルにして……という方がいらっしゃいましたね。

みっちりつまった対空砲塔に、ライティングを仕込んだブリッジ。


ブリッジの点灯はリモコンで操作されます。


主砲砲塔と連動して各砲が仰角・俯角を変えていくという凝ったギミックを搭載。


バ:
そういえばホビーショーでは製品の隣で劇場版の予告編を流したんですけど、お客さんの関心がすごかったですね。

G:
するとこんどは劇場版風のヤマトを?

バ:
検討中です。それぞれの中の「ヤマト」のイメージが一人一人違うので、このバージョンのヤマトがいいという人がいれば、以前弊社で出した別のスケールがいいという人もいますし、検討にはタップリ時間を掛けて、動くときは一気にという思いで居ます。

波動砲の発射シークエンスも再現。


あの効果音が鳴り響き、砲口が赤から白に色を変えて輝き発射。


G:
それぞれの原風景があるということですね

バ:
「これこそがヤマト」と思って作っているんですけれど、人それぞれにヤマトに対するイメージがあるので、「もっと細いんじゃないか」「いや、もう少し太いんじゃないか」「もっと丸かった気がする」など、見た人によって印象が違っているんです。ですからやはり検討には時間がかかってしまうんですね。より多くの方に納得頂ける形での商品化を心がけています。

コスモタイガー隊も同スケールで再現。実際の商品では、メッキではなくクリア成形になる予定です。


G:
細かいことですが、「ワープの時の音」が入っていないのは何か理由があるのでしょうか。

バ:
シークエンスのどこからどこまでがワープなのか、など、お客さんそれぞれにワープのイメージがどうしても違うので入っていません。主砲などは光と音で表現できているんですけど、ワープのような視覚イメージはなかなか難しいですね。

G:
人それぞれに様々な楽しみ方ができそうですね。

バ:
そうですね。わざわざ砂に埋めて、九州坊ノ岬沖の海底に露出したヤマトを再現した方の画像を見せて頂いたり……ホビーショーでも色んなお客さんに来ていただいたんですけど、逆にいろんな楽しみ方を聞かせてもらえて面白かったです。

G:
次はこういうのがやりたい!っていうものはありますか?

バ:
昔からのお客さんもいらっしゃるので、メカコレシリーズの続き番号を作ってみたいなと思っています。あとはインパクトも大事なんですけど、これの半分の700分の1くらいのサイズでどこから見てもかっこいいヤマトを作りたい。個人的にはやっぱりアンドロメダを作りたいなぁ。「最初はヤマトだろ」ってことなんですけど……かっこいいですよね。

◆1/72 VF-25F メサイアバルキリー アルト機

まるで金属製のような質感の「1/72 VF-25F メサイアバルキリー アルト機」


G:
一番大きなポイントはどこになりますか?

バ:
今回はメッキですね。パーツは全て樹脂で出来ていますけれども、金属の質感を出すためにメッキ加工を施してます。

G:
具体的にはどういう加工を行っているのですか?

バ:
ランナーにアルミの定着をよくするためにアンダーコート塗装を行います。その後真空の釜にいれてアルミを蒸着させます。そうしてメッキされたランナーにトップコート塗装で色をつけます。トップコートに顔料を使用することで白いメッキを再現しました。

この状態でメッキがかかる。表面は車の塗装のようなパールがかった白いコーティグになっています。


それ以外の部分もメッキが多用されており、質感向上に貢献している。


G:
いつくらいからこの企画って検討されてましたか?

バ:
メッキをかけて、河森監督にお見せしに行ったところ、高級感があって金属の質感に近づいたということで大絶賛、すぐ出そうってところまでいったんですけどネット販売という形が確立して無くて……ですから一年以上前から検討はしてたんですけど、ネット販売が整備されて劇場版も公開されている今だから出せるようになりました。

G:
河森監督はVF-25をデザインするときはレゴブロックで作ってしまったんですよね。

バ:
あれをレゴブロックで再現できてしまうってのも監督のすごいところですよね。

G:
ここに是非注目して見て欲しい、など思い入れのあるところはどこですか?

バ:
ファイター形態にして平面形をまず見て欲しいですね。メタリックのラインとメッキの質感を楽しんで欲しいです。航空機モデルとして買う人もいるだろうなってことで、スケールモデルファンの方にも納得してもらえるように翼断面なども作りこんでいます。ディティールもプラモデル用に描き起こしてもらいました。

変形ギミックが埋め込んであるとは思えないほどスマートなシルエット。


変形の時の分割ラインもファイター形態の時はぴったりと合わさっています。


G:
ファイター形態が一番スマートということですか?

バ:
そうですね、一番きれいにまとまってます。あと変形してこそバルキリーってところがありまして、そこが第一ですね。全部CG作画になったってことで、3Dモデルデータを参考にしてますからほぼアニメの中で出てきている通りにできてます。

ただ、何回も変形させて遊ぶ人は少ないと思うので、好きな形態で飾って欲しい。欲しい人はぜひ3つ買ってそれぞれ飾ったり、保存したりしてほしいです。

細いアンテナやアーマーのエッジといったパーツもシャープに成形されました。


背面から腕にかけてやたら細かい関節が組み合わさっています。


G:
変形もかなり精密に再現できていると。

バ:
CG上で変形できていますから、変なつじつま合わせが無くなって完全再現になっています。バトロイドの時にどうプロポーションを崩さず再現できるかとか、メッキ塗料をちょっと厚塗りするとラインが崩れてしまうとかそういう部分が大変でした。

変形を実現するギミックはかなりギリギリを攻めた作り。


ファイター形態もバトロイド形態も、どちらも素晴らしいプロポーション。


ガウォーク形態の「トリ足」も当たり前のように再現。


3形態それぞれの楽しさがあります。


G:
ギミックや成形の精度についてはどんな感じでしょうか?

バ:
これもメッキの関係でかなり追い込んでますね。今の金型技術ならここまでできますよ、ということをやっています。スケールによっても色々変わってくるんですけれども筋彫りは0.1mmの細さです。

変形すると胸部になる部分。かなり複雑な分割が行われているはずですが、ただの筋彫りにしか見えない部分もある。


一方向にしか動かない関節というのが基本的に見あたりません。


G:
もう技術の勝利という感じですね。

バ:
昔からのファンの方々はこの技術で作った初代バルキリーVF-1が欲しいって人もいらっしゃいます。

G:
逆に、どういった点で苦労されましたか?

バ:
メッキと変形ギミックの兼ね合いですね。最初は心配されましたけど現状では問題ないレベルです。あとデカールとメッキの質感を合わせるのに、色味の調整とか。

光沢に合わせて作り替えられたデカール


変形も今だからこそ、ってのがありますね。技術もあるし強度のある材料も使えるので、昔は作れなかったような細かいヒンジも使えるようになりました。

足首の関節はかなり小さなものですが、自重を支えきっています。


引き出し関節で「トリ足」を再現。


それから一体組むのにかなり時間がかかります。1つ7~8時間。でも完成した姿を想像しながらなんで楽しいですよ。試作で何十体も作ってますけど、思い入れがあるんで苦にはならないです。試作品を初めて組んだとき、ただ組み上げただけでこのクォリティっていうのは嬉しかったですね。

G:
かなり長く遊べそうですね

バ:
ここまで変形するっていうのは今まで無かったですね。塗装済みなんで作り込む楽しみっていうのは少ないんですけど、デカールを貼って気軽に作って楽しんで欲しいってのがあります。アニメの第1話でスローモーションにして変形シーンを見せてますけど、あれを実際に触って分かるのがプラモデルのいい点ですよね。


G:
年齢層でいえばどのあたりがターゲットになっていますか?

バ:
マクロスシリーズは歴史のある番組なので、30代が中心です。

G:
以前のバージョンを出したときはどういう反応がありましたか?

バ:
10月のホビーショーでは「バンダイじゃなきゃできないよね」ってことで変形ギミックが一番評価されたと思います。航空機、スケールモデルとしても「これだったら満足です」みたいに喜んでいただけました。

G:
確かにディティールがものすごく精密ですね。

足の裏まで作り込まれています。


バ:
ネットで通信販売をするとなったときに一番心配だったのが、その精密さとか質感がネットで伝わるだろうか、という点でした。やっぱり間近でみて質感を楽しんで欲しいと思います。

G:
なるほど。

ガウォーク形態にも差し替え無しで変形可能。




バ:
あと、正直、みなさんどうやって飾っているのか興味があります。専用の台座もあるんですけど、今汎用のディスプレイベースが結構売れていてバンダイとしても重視しているんです。下に置いちゃうと、どうしても見下ろし視点になるんですけど、ベースだと色んな角度から見られるのでいい感じになりますね。

垂直に設置した状態。


バ:
ホビーショーではキャラクターのデカールを貼ったモノも展示しましたけど、この角度ならそれがよく見えますし、そうやって飾れるから買ってくれてるのかなと思っています。

ベースがあればこのように下面を見せるレイアウトも十分可能。


G:
次はどういったモデルになりますか?

バ:
ライバル機のVF-27ですね。あと実物大とかラジコンなんかもチャンスがあれば是非。マクロスも何年かしたら30周年なので大きなことがしたいですね。

G:
今日は本当にありがとうございました。

こどもから大人まで楽しめるバンダイ公式ショッピングサイト
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in 取材,   動画,   アニメ,   デザイン,   広告, Posted by darkhorse_log

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