魔法陣のようなプログラミング言語「Mystical」

JavaやC++、Pythonのようなプログラミング言語には、英語などの自然言語を流用した「アポステリオリ言語」と、完全オリジナルなキーワードだけで作られたアプリオリ言語が存在します。アプリオリ言語は命令文とタスクを一致させれば良いため、人工言語のように自由に設定することができます。オリジナルのプログラミング言語「Mystical」は、文字ではなく魔法陣のような図形を命令文として設定しているため、ソースコードを魔道書のように描くことができるとのことです。

Mystical
https://suberic.net/~dmm/projects/mystical/README.html

Mysticalの構造は、内側と外側に境界線を持つ「リング」に基づいています。一番外側のリングは時計の3時の位置から始まり、反時計回りに流れて、記述されている図形に応じてタスクを実行します。

また、以下のようにリングとリングが線で接続されている場合、別のリングは「補助リング」と呼ばれています。以下の画像の場合、スタートを示す三角の記号が付いている左上のリングから開始し、反時計回りにタスクを実行して、線で補助リングに移って同じように反時計回りでタスクを実行していきます。

以下は、Mysticalで用いられる記号の一部。

以下は、2つの自然数の最大公約数を求めるための古典的なアルゴリズム「ユークリッドのGCDアルゴリズム(ユークリッドの互除法)」について、擬似コードで記載したもの(左)と、Mysticalで記載したソースコード(右)。このように、Mysticalを用いるとソースコードに円と記号を組み合わせた図形をつなげていくことになるため、魔道書の魔法陣のように記述することができます。

Hacker NewsでMysticalが話題になった際には、アニメ「電脳コイル」で子どもたちが地面にチョークで描いて電脳世界にアクセスする「暗号式」のようだという感想が寄せられていました。また、宇宙人と対話するために独自言語を理解しようと試みる「あなたの人生の物語」を映画化した「メッセージ」では、文字を読む方向などがなく円を基本とした記号で一文を表現する「Heptapod A/B」という言語が映像化されており、Mysticalを見てこれを想起したユーザーもいました。

MysticalはGitHubからダウンロードできます。

GitHub - denismm/mystical_ps
https://github.com/denismm/mystical_ps