サイエンス

南極の気候変動に対応してペンギンの食生活がどのように変化しているかが衛星画像から判明


南極には数十万羽が営巣するアデリーペンギンのコロニーが存在し、そこでペンギンたちが排出するふんは衛星画像から識別できるほどの量になっています。アメリカ・クレムソン大学の生物科学科助教授であるケイシー・ヤングフレッシュ氏は、数千枚の衛星画像を用いてペンギンのふんを調査し、ペンギンが何を食べているのか、そして環境の変化がペンギンの食生活や生存にどのような影響を与えているのかを明らかにしました。

Satellite images show how penguins’ diets are changing in response to Antarctic climate change
https://theconversation.com/satellite-images-show-how-penguins-diets-are-changing-in-response-to-antarctic-climate-change-289754


研究チームは、南極大陸の沿岸部などに生息するアデリーペンギンの「グアノ」と呼ばれるふんに注目しました。コロニーに海氷が豊富な場合、アデリーペンギンは小型の魚類に頼る傾向が強く、海氷が少ない場合は小型のエビのような甲殻類「オキアミ」に頼る傾向が強くなります。オキアミはピンク色の外骨格を持っており、ペンギンはこれを完全に消化できないため、ふんが淡いピンク色になります。このふんの色から、ペンギンが何を食べているかを判断できるというわけです。

そこで研究では、1972年に打ち上げられたNASAの衛星「Landsat」が撮影した1980年代までさかのぼる約4000枚の衛星画像を解析。関連性を明らかにするために複数の場所でペンギンのふんを採取した上で、分光計を用いて衛星から見た各サンプルの色を測定しました。これらの分析は南極の船上の小さな仮設実験室で行われています。


過去には衛星画像からペンギンのコロニーを発見する試みはありましたが、通常はペンギンの食料に関する情報は南極海の海面下に隠されています。ヤングフレッシュ氏によると、動物の食性を直接監視する試みは今回が初めてだそうです。

「ペンギンのうんち」を人工衛星の写真から探して未確認だったペンギンのコロニーを発見 - GIGAZINE


こうして得られた情報と統計モデリングを組み合わせることで、衛星から観測したふんの色に基づいて、ペンギンが何を食べているかを特定しました。結果として、ペンギンは南極大陸全体で異なるものを食べており、その食性は年間を通して、また年ごとに変化することが判明しました。

アデリーペンギンのヒナは、オキアミより魚を与えられた方が体重が重くなり、体重の重い雛の方が成鳥まで生き残る可能性が高くなります。実際に、2010年代以降大陸周辺の海氷が急激に減少したことで、魚の個体数も減り、魚を食べる量が少なくなった地域ではペンギンの生息域全体で個体数が減少していることが分かりました。対照的に、魚を多く食べるペンギンのコロニーでは、個体数が安定しているか増加傾向にあるとのこと。


また、ペンギンは他の海洋生物や人間との競争激化にも直面しているとヤングフレッシュ氏は指摘しています。例えば南米大陸のすぐ南に位置する南極半島地域では、主にオキアミをエサとするヒゲクジラの個体数が2010年代の商業捕鯨の禁止から大幅に回復しています。また、魚の飼料や人間の栄養補助食品に使用するために大量のオキアミを漁獲する漁船もあり、これが同地域のペンギンの食料を減少させている可能性があります。

ヤングフレッシュ氏は「衛星からの情報は、南極のペンギンコロニーのような遠隔地やアクセス困難な地域にとって特に貴重です。なぜなら、こうしたデータを収集する他の方法では、膨大な人員、計画、そして移動や生存のためのロジスティクスが必要となるからです。衛星技術は、解像度の向上、画像間隔の短縮、情報収集のための新しいセンサーの導入などにより、継続的に進歩しており、一部の野生生物の監視方法を根本的に変える機会が生まれています。これにより、世界がどのように変化しているか、そして人類がこれらの変化にどのように対応できるかについての重要な情報が得られるようになります」と語っています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1e_dh

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