オンラインで本を購入しても地元の書店にマージンが入る「Bookshop」が打倒Amazonを掲げて電子書籍の取り扱いを開始

Bookshopはアメリカのオンライン書籍購入サービスで、Amazonの台頭により実店舗の書店が存続の危機に追いやられるのに対抗し、独立系書店がAmazonに代わる独自のオンラインショップを開設することができます。BookshopはさらにAmazonのKindleにも対抗すべく電子書籍市場にも参入しており、その意図や詳細についてBookshopのアンディ・ハンターCEOが語っています。
Bookshop.org’s ebook store is a local-first competitor to Amazon and Kindle | The Verge
https://www.theverge.com/tech/597137/bookshop-org-ebooks

Bookshop CEO Andy Hunter is expanding his Amazon fight to ebooks | The Verge
https://www.theverge.com/decoder-podcast-with-nilay-patel/605013/bookshop-org-andy-hunter-amazon-ebooks-monopoly-books
アメリカではAmazon Kindle Unlimitedのような月額約1000円で電子書籍読み放題のサービスが流行するにつれて多くの書店が閉店を余儀なくされていきましたが、一方でコミュニティとしても機能する独立系書店が2017年頃には復活を遂げていると報道されました。この流れをくみ、ハンター氏は2020年1月に独立系書店が独自のオンラインショップを立ち上げることが可能なサービス「Bookshop」をスタートさせました。Bookshopで本が購入された場合、書店での購入と同じ価格の30%を利益として書店が得られるため、オンラインで本を購入しながら地元の独立系書店への支援にもつながるということで人気を博し、2020年3月から11月までで1日の売上を5万ドル(約770万円)から750万ドル(約11億円)まで増加させています。
1日の売上を500万円から7億8000万円に1年たらずで成長させた独立系オンライン書店サービス「Bookshop」とは? - GIGAZINE

そんなBookshopは2025年1月から、電子書籍の販売も開始しました。Bookshopで購入した電子書籍はブラウザ上で読むことができるほか、iOSアプリまたはAndroidアプリではしおりやハイライトをつけたりフォントを調整したりと、細かい調整を含む読書体験をすることができます。
Bookshopで電子書籍を購入すると、紙の本を購入した場合と同じように、本の権利元だけではなく選択した地元の書店にも利益が入ります。書店が作成したストアから電子書籍を見つけて購入するか、全体のリストやオススメなどから購入した場合でも一度「提携書店」に選択していれば支援したい書店に利益が入ります。
ハンター氏は、アメリカのテクノロジー系メディアであるThe Vergeのポッドキャストに登場し、Bookshopの電子書籍市場への参戦についてインタビューに応えています。
The Vergeのポッドキャストのホスト、ニライ・パテル氏(以下、パテル氏):
Bookshopのスタッフは何人いて、どのように組織されていますか?
ハンター氏:
従業員は約40人です。営業チーム、マーケティングチーム、開発チーム、運用チーム、カスタマーサービスチームがあります。できるだけスリムな体制を維持することで、従業員1人当たりの収益を高水準に維持しつつ、地元の書店に利益を還元するという当社の使命を達成しています。

パテル氏:
なぜ電子書籍を始めたのでしょうか。Amazonが基本的に市場を独占している製品を販売するために、なぜさらに多くの戦いに身を投じることにしたのでしょうか。
ハンター氏:
アメリカで販売されている本の6冊に1冊は電子書籍ですが、電子書籍は地元の書店では買えません。市場の15~20%程度を電子書籍が占める以上、地元の書店もそこに参加すべきです。また、「地元の書店を支援したい」という気持ちがある人でも、電子書籍を使いたい場合には何ら書店に貢献できないという状態はおかしいと感じます。つまり、電子書籍から企業の支配を取り除くことがひとつの目的です。
大手小売業者が電子書籍の販売方法、どの電子書籍をマーケティングするか、どの電子書籍を読者に公開するか、商取引の仕組み、著者のプロモーション方法を決め、その小売業者が自社の利益を重要視している場合、それは書籍を取り巻く文化全体にとって良くありません。著者にとっても、読者にとっても、出版社にとっても良くありません。したがって、電子書籍の状況を多様化する必要があります。同時に、地元の書店を支援したい人々に、電子書籍を購入し、同時に地元の書店を支援する方法を提供する必要もあります。
パテル氏:
Amazonの電子書籍モデルが機能するのは、Amazonが自社のKindleデバイスを損益ゼロもしくは赤字で展開し、Kindleデバイスを手にしたユーザーが大量の本をAmazonだけで購入するという閉じたエコシステムによるものです。多くの人がKindleやKoboのような読書用ハードウェアを好む傾向にありますが、Bookshopでは安価なハードウェアの販売を計画していますか?
ハンター氏:
Bookshopチームは小規模で、エンジニアは7名、うち2名は契約社員です。アプリと電子書籍ライブラリを稼働させるだけでもかなりの作業量のため、ハードウェアの方向に進むとしたら、まずはクラウドファンディングで地元の書店を支援できる Kindleのインディーズ代替品として実現します。それを試すかどうかはまだ決めていませんが、2025年内に決定する予定です。まずは、既存の電子書籍デバイスやリーダーと提携して、地元の書店で購入した電子書籍をさまざまなデバイスで読めるよう柔軟性を高める努力をしています。残念ながら、私は過去5年間Amazonの悪口を言ってきましたので、丁寧にお願いしてもうまくいかない可能性が高いです。しかし、まずは丁寧にお願いすることから始め、Bookshopで購入した本をKindleデバイスで読めるようにすることを目指します。Amazonが拒否した場合、電子書籍リーダーの85%を占めるデバイスで自社から購入した本しか読めないことになるので、独占禁止法違反になる可能性があります。
ハンター氏によると、Bookshopはアメリカの5大出版社(PRH、S&S、ホルツブリンク/マクミラン、アシェット、ハーパーコリンズ)すべてに加え、ほとんどの大手インディーズ出版者と契約を結んでおり、今後もさらに多くのタイトルが追加されていく予定とのこと。ハンター氏は「電子書籍が優れておらず、人気も高くなく、書店にとって利益も出ないのはAmazonのせいです。Amazonは電子書籍の75%の市場シェアを握る支配的な勢力ですが、Amazonの重要性が高まりすぎて、電子書籍のイノベーションは死滅しました。今こそ変化の時が来たのです。電子書籍ユーザーのコミュニティと、読者と関わることができる作家がいれば、革新を始めることができます。そして、革新の第一段階は、電子書籍を壁に囲まれた庭から取り出すことです」と語りました。
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in ネットサービス, Posted by log1e_dh
You can read the machine translated English article 'Bookshop', which allows local bookstore….