乗り物

「1回の充電で1000km走る電気自動車」の実現に向けたバッテリー技術が開発される


ケイ素を用いてエネルギー密度を40%向上させるバッテリー技術が浦項工科大学校の研究チームによって開発されました。研究チームはバッテリー技術の革新によって「1回の充電で1000km走行できる電気自動車」の実現を目指しています。

Formulating Electron Beam‐Induced Covalent Linkages for Stable and High‐Energy‐Density Silicon Microparticle Anode - Je - Advanced Science - Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/advs.202305298


EVs that Go 1,000km on a Single Charge: Gel Makes It Possible » POSTECH
https://www.postech.ac.kr/eng/evs-that-go-1000km-on-a-single-charge-gel-makes-it-possible/

一般向けに販売されている電気自動車の航続距離は長いものでも500km前後にとどまります。日常的な運転では航続距離が500kmあれば十分な気もしますが、長距離のドライブや災害時の電力供給源としての用途を考えると航続距離が長い方が有利なのは間違いありません。


電気自動車の航続距離を長くするにはバッテリーとして使われるリチウムイオン電池のエネルギー密度向上が必要です。リチウムイオン電池のエネルギー密度向上に向けた有望な方法として「負極の材料にリチウムイオンを多く保持できるケイ素(シリコン)を使う」というアプローチが存在するのですが、シリコンには「充電中に体積が3倍以上に膨張する」という問題があります。シリコンの膨張問題は「ナノメートルクラスの微細なシリコンを使う」という方法で解決出来ますが、ナノメートルクラスのシリコン製造には複雑な製造工程と膨大なコストが必要であり、現実的ではありません。

研究チームは、マイクロメートルクラスのシリコンをゲル電解質に封入し、電子ビームを照射することでシリコンゲルとゲル電解質が共有結合した「シリコンゲル電解質」を作成。このシリコンゲル電解質を用いてバッテリーを作ることで、「従来のバッテリーと比べてエネルギー密度が40%向上しつつシリコン特有の膨張も抑えたバッテリー」の作成に成功しました。


今回の研究で開発されたバッテリー製造技術には、ナノメートルクラスのシリコンと比べて製造が容易なマイクロメートルクラスのシリコンが使われており、短期間で既存の製造プロセスへの適用が可能とのこと。研究チームは「今回の研究成果によって、私たちは高エネルギー密度リチウムイオン電池システムの構築に近づくことができました」と述べ、今後の研究開発への期待を示しています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「EVが1回の充電で走れる走行距離」の世界記録をミュンヘン工科大学チームが2574kmに更新 - GIGAZINE

電気自動車の航続距離をこれまでの10倍伸ばす革新的なリチウムイオンバッテリー技術が発表される - GIGAZINE

Microsoftがバッテリー内のリチウムの約70%を置き換えられる材料をわずか数日で発見、Azure Quantum Elementsを使ったシミュレーションとAIモデルで実行 - GIGAZINE

電気自動車は夜間より昼間に充電した方が電力供給網のコストを抑えられる - GIGAZINE

バッテリーの供給量は指数関数的に増大しており今後も供給量が拡大することがよく分かる6個のグラフ - GIGAZINE

なぜ電気自動車は専用のタイヤを装着するべきなのか? - GIGAZINE

in 乗り物,   サイエンス, Posted by log1o_hf

You can read the machine translated English article here.