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画像生成AI「Stable Diffusion」開発元のCEOは大嘘つきと批判する報道に本人が猛反論するブログを公開


画像生成AIの「Stable Diffusion」を開発するStability AIの創設者兼CEOであるEmad Mostaque氏が、自身のブログ上で自身に対する批判報道に対する反論を公開しました。

On Setting the Record Straight - Emad's Blog
https://emad.posthaven.com/on-setting-the-record-straight


2023年6月4日、経済紙のForbesが「Stable Diffusionの成功を手柄にするAIファウンダーには誇張の歴史がある」という題名のMostaque氏を批判する記事を公開しました。

Stable Diffusion’s AI Benefactor Has A History Of Exaggeration
https://www.forbes.com/sites/kenrickcai/2023/06/04/stable-diffusion-emad-mostaque-stability-ai-exaggeration/


この記事に対する反論文として、Mostaque氏がStability AI社員に向けて公開した文章が以下の通り。

我々はAIを利用して人類の可能性を活性化することを目標に、Stability AIを立ち上げました。我々はAIを用いて科学研究・教育・芸術を強化することで、革新的な方法で業界にプラスの影響を与えるチャンスがあると考えました。この素晴らしい使命は、Stability AIを立ち上げた日から我々の仕事を導き続けています。


これを達成するための競争の中で、Stability AIは革新的な製品の開発と、医学・ヘルスケア・言語・画像・音楽などの分野でAIを実装するための研究のサポートという中核業務に重点を置いてきました。わずか18カ月あまりで、Stability AIは従業員数を20名から170名以上にまで成長させ、コアチームのイノベーションと他のチームのサポートを通じ、AI分野のリーダーとなる若くてダイナミックな会社を築き上げてきました。

我々の知名度と影響力が増すにつれ、メディアでのいくつかの攻撃や誤った報道の標的になることも増えていることは、私にとって驚くべきことではありません。Forbesによる当社を攻撃する記事も例外ではありません。我々は報道内容を修正するために何週間にもわたりForbesとやり取りを繰り返してきましたが、Forbesは明らかに問題の多くを無視して記事を公開することを選択しました。

私のキャリアを通じて、私は常に協力者の仕事を賞賛・評価してきました。また、私は間違いを犯したことを謝罪し、常に改善するよう努めてきました。私はForbesの報道に対して、偽りの主張や特徴づけを断固として否定してきましたが、今日ここで、私の大切なチームである皆さんに対して正しい記録を共有したいと思います。なお、これらの情報はすべて記事公開前にForbesに明確に伝えられました。


Forbesの報道における虚偽の内容としてMostaque氏が挙げているのは、以下の11点。

・オックスフォード大学での私の学位について
私は学位を取得するための卒業式に出席しなかったので、実際には学士号や修士号を持っているわけではありません。私はこれらを郵送で受け取るために来月60ポンド(約1万円)を支払うつもりです。

・私が以前勤めていたヘッジファンドでの仕事について
2016年に共同最高投資責任者としてヘッジファンドに入社し、2017年には通年でトップクラスのポートフォリオ構築を行い、そのパフォーマンスが評価され、EMリスク調整済みヘッジファンド・オブ・ザ・イヤー賞を受賞しました。その後、2018年になって他のことに集中するためにヘッジファンドを退職しました。このヘッジファンドは私が入社する前からの業績不振によりつぶれました。

・新型コロナウイルス感染症に関する国連との取り組みについて
新型コロナウイルス感染症に関する研究を行うための「Collective and Augmented Intelligence Against COVID-19(CAIAC)」において、Stability AIは国連と提携していました。しかし、複数の企業がテクノロジーを共有しなかったり、提供しなかったりしたため、Stability AIは本業に集中するべくCAIACを2022年夏のタイミングで抜けています。なお、CAIACにおける数々の不満については、投資家会議やインタビューの中で話しています。

・Stable Diffusionについて
Stability AIがLMUおよびRunwayといったComputer and Vision学習グループと並び、Stable Diffusionの最初のリリース開発における協力者であることを繰り返し公表してきました。このコラボレーションの詳細は、リリース以来、CompVisおよびStability AIが管理するStable DiffusionのGithubリポジトリで公開されています。さらに、Stable Diffusionの著者5人のうち3人は、ご存知のとおりStability AIで働いています。

・Amazonとのパートナーシップについて
Stability AIはAmazonおよびAWSと戦略的業務提携を結んでいます。この戦略的ビジネス提携の一環として、AWSは2022年8月にStability AIの要件を満たす非常に珍しい専用コンピューティングクラスターを構築しました。4000個のA100クラスターは、パフォーマンスを最適化する単一のスプライン上に専用の容量を備えています。Stable Diffusionの規模を拡大するにつれ、Stability AIからAmazonへの支払いでいくつか問題が発生しましたが、これらはすべて8月までに解決されました。

・Stability AIの賃金および税金の支払いについて
給料の支払いが遅れるケースがいくつかあったものの、政府の制度などの補助金を待ったり、私が従業員の給与を個人的に負担したりすることで対応してきました。また、影響を受けた従業員に対しては、不便を補​​うために追加の賃金を支払ったり、当座貸越手数料などの関連経費を負担したりしています。また、2021年末以降、通常の業務において給与の支払いが滞ったことはありません。税金の支払いに関する問題はすべて迅速に解決され、全額支払われました。私たちはこれらすべてのプロセスの強化と改善に常に取り組んでいます。

・人事プロセスを強化・改善するための取り組みについて
2022年夏に経営陣を刷新して以来、従業員の離職率を低く抑えたり、職場環境を改善したりするべく継続的に取り組んでいます。Stability AIでは、毎週タウンホール、匿名フィードバックセッション、経験豊富な新任の人事チームが実施するその他のプログラムを開催しており、従業員はStability AIがどのような改善策を取っているのかを理解するのに役立ちます。

・MidJourneyとの関係について
MidJourneyとStability AIの関係は投資家向けの書面で明らかにされています。書面には「MidJourneyは、私たちがサポートしている独立した組織であり、私たちが作成した画像生成モデルを実装して使用できるようにしています。現在、約5万7000人のメンバーがおり、そのうち1万4000人がアクティブであり、ベータ版のサポート後は、コンピューティングコストをカバーするサブスクリプションを通じて有機的に拡大しています。私たちは、美的スコアリングと好みの学習を導入して、すべてのユーザーの入力を使用してシステムが各ユーザーに合わせて改善されるように、これを積極的に拡張できるよう支援したいと考えています。私たちは、MidJourneyに戦略的なモデルのサポートを提供します。その焦点は、拡張のためではなく、できるだけ多くの人々がこれらの新しいモデルにアクセスできるようにするためのものです」と記されています。

2022年夏、我々はこの製品と他の製品を共同開発するためにMidJourneyと話し合いの場を持ちました。その後、独自の開発に軸足を移すことで、インフラストラクチャースタックに焦点を当てることに決めました。MidJourneyを「独立した組織」と記しているのは、プレゼンテーション資料の読者に誤解させないための明確な意図です。

私たちは常にこのことに細心の注意を払っており、現在のビジネスモデルに落ち着くまでに、コミュニティをコントロールせずにサポートできるさまざまなモデルを実験していました。安定したモデルは私たちのものであり商業的なものですが、物事を分離して明確に保つためにオープンソース全般をよりオープンにサポートしています。

・Zehraのサポートについて
会社が成長・成熟する中で私とZehra(Mostaque氏の妻)が負担した金銭は、新しい経験豊富な財務チームによって2022年末までに全額解決されました。

・継続的な資金集めについて
Stability AIには大きな前進がありますが、他の多くのスタートアップと同様に、我々は引き続き戦略的投資家との議論に取り組んでいます。現時点では、秘密保持契約(NDA)に署名した投資家に対してはデータルームを公開していません。

・自閉症研究などについて
私と話をしたことがある人ならば、誰でも私はこの件に非常に真剣に取り組んでいることを知っていると思います。研究で適切なモデルが構築され次第、すぐに詳細を発表するつもりです。


Mostaque氏は「2022年時点ではプレシードのスタートアップだったStability AIが、2023年には規模を拡大し、順調に多国籍企業への成長を歩んでいます」「Stability AIと敵対的な関係にある人々にインタビューすることで、このような記事を作成したという事実は、ある意味勇気づけられることでもあります」と述べ、今回の報道は著しい成長を遂げるStability AIに対する妬みが根本にあると指摘しています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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