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藤井聡太竜王が名人位を獲得して史上最年少名人・七冠に


渡辺明名人に藤井聡太竜王(六冠)が挑戦する第81期名人戦七番勝負の第5局が2023年5月31日(水)・6月1日(木)に長野県の緑霞山宿 藤井荘で行われ、ここまで3勝1敗でタイトル獲得に王手をかけていた藤井竜王が渡辺名人を破り、名人位を獲得しました。

渡辺明名人VS藤井聡太竜王 第81期名人戦七番勝負第5局|将棋ニュース|日本将棋連盟
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【対局Live】渡辺明名人ー藤井聡太竜王 名人の反撃か、最年少名人誕生か 解説・高見泰地七段~1日目封じ手まで~【第81期将棋名人戦・第5局】 - YouTube


【対局Live】渡辺明名人ー藤井聡太竜王 名人の反撃か、最年少名人誕生か 解説・高見泰地七段~2日目夕休憩から~【第81期将棋名人戦・第5局】 - YouTube


渡辺名人の先手番で始まった第5局は、渡辺名人が矢倉、藤井竜王が雁木の戦型を選択。評価値としてはやや渡辺名人が有利という状況で終盤を迎えましたが、攻勢の中で誤算があったのか藤井竜王が元気を取り戻す展開となり、最後は藤井竜王の厳しい攻撃を受けた渡辺名人が投了しました。


藤井竜王は20歳10カ月での名人位獲得で、1983年に21歳2カ月で名人位を獲得した谷川浩司十七世名人の記録を39年11カ月ぶりに更新する、史上最年少の名人誕生となりました。

また、竜王・王位・叡王・棋王・王将・棋聖に続く7つ目のタイトル獲得により、羽生善治九段が1996年に達成して以来、27年ぶりの七冠となりました。羽生九段は七冠達成時25歳4カ月だったので、藤井竜王は史上最年少での七冠達成となります。

藤井竜王は今期、すでに叡王戦で菅井竜也八段の挑戦を3勝1敗で退けています。このあと、棋聖戦と王位戦ではいずれも佐々木大地七段が挑戦者に決定しています。

なお、これで棋戦のうち藤井竜王が手にしていないタイトルは王座のみ。永瀬拓矢王座への挑戦者を決める第71期王座戦挑戦者決定トーナメントはベスト16まで決定済みで、藤井竜王は中川大輔八段を下してベスト8に進んでいます。


渡辺名人は2004年に森内俊之竜王(当時)からタイトルを奪取して以来、これまで必ず1つ以上のタイトルを保持してきたため、タイトルなしとなるのは19年ぶりのことです。

記者会見の内容は以下のような感じでした。

主催社・毎日新聞:
名人位獲得の実感は?

藤井聡太新名人:
直後は実感がなかったのですが、少しずつ沸いてきたところです。

毎日新聞:
谷川浩司十七世名人の最年少名人記録を更新したことについていかがですか?

藤井:
谷川先生の記録はすばらしく思っていたので、結果として更新できたことをうれしく思っています。

毎日新聞:
もう1つ、七冠の達成についてはいかがでしょうか?

藤井:
羽生先生の記録は全冠制覇ということで特別なことだと思います。自分としては、そこに並ぶことができたという意識ではないですが、今回、名人を獲得できてとてもうれしく思っています。

毎日新聞:
このあとの棋聖戦、王位戦の防衛と、八冠に向けての意気込みを教えてください。

藤井:
どちらも佐々木七段が相手で、とても強い相手だと思うので、こちらも準備していい内容にできるようにしたいです。王座戦も、まだ意識する段階ではないですが、少しでも上に進めるように頑張っていきたいです。

主催社・朝日新聞:
師匠の杉本昌隆八段にはなんと報告したいですか?

藤井:
C級1組だったときに同じタイミングで所属していて、師匠が昇級して自分が届かなかったことがあります。その姿を見て、来期頑張ろうという気持ちになったので、師匠の後ろ姿を見ることができたのが、その後につながっているのかなと感じています。

東京新聞:
「名人」はタイトル名であると同時に、1つの芸をきわめたものという一般名詞でもあります。自身が「名人」の域に達したという感じはどうでしょうか?

藤井:
名人はそういう意味でも特別な意味のある称号だと思います。自分がそういう位置に到達できたとは、現時点ではまだ思えないところはあるんですけれど、名人という言葉にふさわしい将棋が指せるように、今後一層頑張らなければという思いが強いです。

読売新聞:
先ほど、羽生九段の七冠制覇について「全冠制覇」とのお話がありました。改めて、全冠制覇について、ご自身ではどうとらえていますか?

藤井:
それについては、まだまだ現時点ではとても遠いものなのかなと思っています。「目指せる」ということ自体が光栄なことだと思うので、それを生かして、少しでも近づくことができるように頑張れたらと思います。

読売新聞:
対局前に「雲外蒼天」と揮毫されていました。これは2年前、棋聖の初防衛時にも揮毫された言葉で、そのときは「強くなることで別の景色が見てみたい」と説明されていました。今回、最年少名人となって、どういう景色が見えましたか?

藤井:
自分としては、結果そのものより、将棋を考える上で強くなればそれまでと違った考えであったり判断だったりができるようになるかなという思いで書いているものです。その点でいうと、名人戦では今までのタイトル戦と比較しても、持ち時間が長いということもありましたし、その中で読みを入れて指すことができたかなと自分でも感じられる場面もあったので、その点では収穫の多いシリーズだったかなと感じています。

中日新聞:
直前の棋王戦では角換わりが続いていたが、名人戦は違う様相でした。外から見ていると力勝負のようでしたが、それを制してのタイトル獲得はどうですか?

藤井:
名人戦は定跡系ではなく、早めから構想力を問われる将棋が多くなりました。その中で、序盤から一手一手、じっくり考えて構想を練るのは、自分自身はあまり経験がなかったので新鮮なことでした。その結果、うまくいったところと、そうではないとわかってきたところもあったので、自分としても、指していて楽しい将棋が多かったですし、収穫の多いシリーズだったと思っています。

Q:
初タイトル挑戦だった棋聖戦をはじめ、渡辺名人との対戦が多くありました。これまで渡辺名人から学んだことや、自身にとって渡辺名人はどのような存在かというのを教えてください。

藤井:
渡辺先生は、私が将棋を始めたころからトップで活躍してこられた方で、棋士になってからは初タイトルで挑戦して五番勝負できることを楽しみにしていました。タイトル戦でも何度も対戦があったんですけれど、その中でも、自分にはない長所を持たれている方なのかなという印象を強く持っています。

Q:
谷川先生が「偉大な記録は棋士を成長させる」と言っていました。史上最年少の名人獲得と七冠達成で、これからはどんな高みを目指されますか?

藤井:
これからも強くなるということを第一目標に取り組んでいきたいと思っています。名人位は重いもので、それにふさわしい将棋を指さなくてはという気持ちがありますし、そのために一局ごと、現時点だと指し手の精度にばらつきが多いかなというのがあるので、少しでも高めていけるようにがんばりたいと思っています。

朝日新聞:
名人位は、6歳のころに「大きくなったら将棋の名人になりたい」という大志を抱いたタイトルでもあると思います。夢に見たタイトルを手にされてどのように思うか、幼いころからの視点をうかがえたらと思います。

藤井:
「名人」という言葉にはやはり子どものころから憧れの気持ちを抱いていたので、今回、獲得できたことについてはすごく感慨深いものがあります。ただ、立場になってみると、それで終わりではなく、先がずっとあるというところもあるので、それをしっかりと見据えてやっていきたいという気持ちです

朝日新聞:
四段昇段から6年少々、AIの技術革新の日々でもあったと思います。いま、これだけAIが進化して、棋士はどう戦っていくか、人間はどう戦っていくか、ある種問われている時代でもあるともいえますが、七冠になり、名人になり、その視点について藤井新名人はどうお考えでしょうか。

藤井:
AIが棋士を凌駕する中で、それを活用して取り組んでいくのももちろんですが、見ていただいている方に楽しんでもらえるような将棋を指さなくてはいけないという風にも思っています。そのためには、AIに近づくというだけではなく、なにか、盤上に自分なりの工夫というのを出していけたらという気持ちを持って指しています。

ABEMA:
ABEMAでは藤井新名人がC級2組所属の2017年から中継を続け、多くのファンが藤井さんの成長と活躍を見守ってきました。この6年の振り返りと、改めて新名人になった気持ちを、カメラの向こうの視聴者へコメントをお願いします。

藤井:
対局をご覧いただきありがとうございます。本当に、ABEMAさんには四段のころから中継していただき、自分自身もそれが励みになっていたのかなと思います。そこから順位戦を1つずつ上がることができて、今回、名人を得られたことはうれしく思っていますし、名人にふさわしい、面白い将棋を指していきたいと思います。

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in メモ, Posted by logc_nt

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