ニコンがネットオークションで中古レンズの国外販売を規制、「自分で買ったカメラは一体誰のものなのか？」の疑問に対する答えとは？

by Jonathan Emmanuel Flores Tarello

MacBookの修理業を個人で営むYouTuberのルイ・ロスマン氏が、インターネットオークションサイトのeBayでニコンのレンズを販売したところ、ニコンによって国外への販売が制限されたことを報告しています。

Who owns this camera, Nikon? Me or you? - YouTube


ロスマン氏は、中古カメラのレンズをeBayなどで販売していました。このレンズは、現行のカメラのレンズフォーマットのものではなく、記事作成時点ではすでに販売終了したカメラのレンズです。しかし、ロスマン氏はある日eBayで販売しているニコンのレンズについて、国外への発送ができなくなったという連絡を受けました。

eBayから受け取ったメールには、「eBayの認証済み権利所有者プログラムを通じて、ニコンからeBayに通報がありました。あなたの出品は引き続き国内購入者向けに販売中ですが、この通報に対処するため、eBayの国際配送プログラムから削除されました」と書かれていたとのこと。eBayは「eBayの国際配送プログラムは、知的財産保護(VeRO)プログラムのポリシーで、お客様を保護するように設計されており、権利所有者の知的財産を保護します」と述べていて、ニコンが知的財産保護の観点からeBayに通報したことがわかりました。

ロスマン氏は「ニコンは私にレンズを売った後、私が自分の財産をどう扱うかに口を出すことができるのでしょうか？なぜ私がニコンのレンズをスナイパーライフルや戦車のように売ろうとしていたと思ったのでしょうか？」と批判。もちろん国によって権利関係は異なるため、国の事情で権利的な問題に抵触してしまうことはあっても、ニコンというメーカーがeBayという販売プラットフォームに介入するのは奇妙なことだと指摘しています。

ただし、ロスマン氏は「もちろん私はレンズを通信販売する専門家ではありませんから、何かを見落としているのかもしれません。関税などの問題で特定の国では簡単に販売できない可能性があることも理解しています。しかし、それは特定の企業ではなく、国が管理するべきことです」と述べ、意見を募りました。

ロスマン氏の問いかけに対して、YouTubeのコメント欄でも、ソーシャル系ニュースサイトのHacker Newsでも、ニコンがeBayに働きかけたことに理解を示すコメントが多く見られました。

Hacker Newsでは、「推測するに、これはグレーマーケットを介した輸入を阻止する試みであり、このニコンのレンズはそれに巻き込まれただけでしょう。ニコンはおそらくeBayのveROプログラムを利用したのでしょう。メーカーは国や地域によって価格が大きく異なる場合があり、自身の利益を守るため、メーカーはグレーマーケットで輸入したレンズにサービスを提供しないことがほとんどです」というコメントの通り、メーカーがeBayに介入してまでレンズの販売に制限をかけたのは、自社の利益を守るためのものだという意見が多く見られます。

あるコメントによると、Amazonなどで国外で購入できる「グレーマーケット」で入手した商標入り商品について、EU内では事実上阻止できるとする判決が1998年に下されたとのこと。これは、小売業者がアジアやアメリカなどの市場から正規品を安く入手し、EU内で正規の値段よりも安く販売することを防ぐためのもので、2022年には正当な権利所有者への返還や、知的財産権を行使するために物品を破壊することも認められたそうです。

つまり、同じカメラのレンズでも、どこで購入したものかによって担当する法人や保証すべき内容、準拠すべき法律が異なるため、メーカーにとってグレーマーケットで売買された製品の取り扱いは非常に難しいといえます。Hacker Newsでは、「グレーマーケットのグレーは、アップデートや保証に関するメーカーのサポートがグレーの領域にあることを示しています。その多くは最初に購入した場所に限定されているからです」というコメントも寄せられていました。