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オフィスで働く銀行員は在宅ワーカーの5倍も不正を働く


銀行で株や債権の取引を行っているプロのトレーダーのうち、オフィス勤務のトレーダーが不正行為に手を染める可能性は、在宅勤務をしているトレーダーの5倍にのぼることが分かりました。

Work-from-Home and the Risk of Securities Misconduct by Douglas J. Cumming, Chris Firth, John Gathergood, Neil Stewart :: SSRN
https://ssrn.com/abstract=4428145

Bankers are better behaved at home than in the office
https://www.axios.com/2023/05/20/work-from-home-banking-financial-misconduct

新型コロナウイルス感染症の世界的なパンデミックを受けて、多くの企業が社員に在宅勤務を行わせたり、オフィス勤務と組み合わせたハイブリッド勤務を導入したりしました。通勤中の満員電車や渋滞から解放される新しい働き方は労働者に受け入れられつつあり、75%以上の人が「新型コロナウイルス終息後も自宅勤務を続けたい」と意識調査に答えているほか、「リモートワークを続けられるなら多少は給料が減っても構わない」と考える人も多いことが分かっています。

リモートワークを続けるためなら人々は「賃金カットもやむなし」と考えているとの調査結果 - GIGAZINE


一方、経営者の一部はオフィス勤務にこだわり続けており、大手EVメーカー・テスラのCEOであるイーロン・マスク氏は社員に「オフィスに戻らないなら退職するように」と勧告したことがあるほか、マーケティング企業・ClearlinkのCEOがオフィス勤務のために飼い犬を手放した社員を称賛した動画が流出して物議を醸したこともありました。

オフィス勤務が根強く支持される要因のひとつとして、「同僚や上司の監視がないと社員が不正行為を働くのではないか」との懸念があります。そこで、金融大国として知られるイギリスのウォリック大学やノッティンガム大学、アメリカのフロリダ・アトランティック大学の研究チームは、在宅勤務における不正行為のリスクを分析する研究を行いました。

研究チームが、2020年3月から2021年3月にかけてのロックダウン中に働いていた銀行の証券トレーダー162人に関する不祥事報告書を調べたところ、自宅勤務のトレーダーが不正行為を指摘される確率は年間7.3%でした。これに対し、オフィス勤務のトレーダーではその確率が37.6%と、5倍以上に跳ね上がっていました。


在宅勤務がトレーダーの不正行為を減らすのは、内部情報や金融市場に関するうわさに接しにくくなるからではないかと考えられています。また、金融機関のオフィスで同僚が不正を働いているのを目にすることで、非倫理的な行為が伝染する可能性も指摘されています。

今回の調査結果について、研究者らは論文に「私たちの分析により、在宅勤務は証券取引における不正行為の可能性を低下させることが明らかになりました。この変化の経済的意義は大きいです」と記しました。


いいことばかりなように思える在宅勤務ですが、マイナス面もあります。2020年にアメリカで行われた調査では、在宅勤務をしている人のうち3分の1がアルコールに手を伸ばしていることが判明しており、アルコール依存症患者支援団体の代表者は飲酒の増加に懸念を表明しています。

在宅勤務をしている人のうち3分の1が飲酒していることが判明、地域によっては7割近く飲酒している事例も - GIGAZINE

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in メモ, Posted by log1l_ks

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