サイエンス

仮想現実で花や食べ物の香りを楽しめるウェアラブルデバイスが登場


顔に装着して、ローズマリーやミント、パンケーキやドリアンなど草花や食べ物の匂いをかげる小型のウェアラブルVRデバイスが、中国と香港の研究チームによって開発されました。これにより、新機軸のVRゲームや4D映画、さらには匂いが記憶を強く刺激することを応用した記憶障害の治療などが実現すると期待されています。

Soft, miniaturized, wireless olfactory interface for virtual reality | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-023-37678-4


科学誌のNature Communicationsで発表されたウェアラブルな嗅覚用のワイヤレスインターフェースが以下。鼻の下に装着することで、2つの「匂い発生装置(OG)」から2種類の香りが放出されます。


また、9つのOGを備えたマスクタイプも開発されました。


香りを発生させるウェアラブルデバイスはこれが最初ではありませんが、これまでのものの多くは重い香料入りのボトルをセットしたり、頑丈なヘッドセットを有線接続したり必要があったため、実用性に難がありました。一方、今回研究チームが開発したものは軽量で柔軟性があり、ワイヤレスで動作するので装着者の快適性が格段に向上しています。

デバイスにセットされたOGには、香料入りのパラフィンワックスが格納されており、これを加熱することで香りが発生します。


加熱するとわずか1.44秒で香りが発生するので、さまざまな香りを柔軟に発生させることが可能です。また、加熱する際の温度によって匂いの強さも変えられるので、VR空間で花を顔に近づけるに従って段階的に香りが強くなるといったシーンも再現できました。


研究チームはこのデバイスを11人のボランティアでテストし、パイナップル、グレープ、レモン、イチゴ、ドリアンといった果物や、緑茶、ミルク、コーヒーミルクなどの飲料、パンケーキや白米といった食べ物など合計30種類の香りが出せることを実証しました。

このデバイスにより、VRゲームや映画などのコンテンツに香りの概念を導入できるほか、匂いが特定の感情や記憶を刺激することを利用して、感情をコントロールする訓練や健忘症患者が記憶を取り戻すための治療などにも応用できるとのこと。


研究チームは他にも、バーチャルな植物学の授業といった教育分野での活用を提案しています。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by log1l_ks

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