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Samsungは半導体価格が下落した影響で営業利益が記録的な低調に、アナリストは今後の半導体市場をどう見ているのか?


2023年4月7日、韓国の電機部品・製品メーカーであるSamsung(サムスン電子)が2023年第1四半期(1月~3月)の収益見通しを発表し、前年同期と比べて営業利益が約96%減の6000億ウォン(約600億円)にとどまるだろうと報告しました。この発表について、アナリストらは世界的な半導体の供給過剰が影響していると指摘しています。

Samsung Q1 2023 earnings preview: Memory chip price slump hits giant
https://www.cnbc.com/2023/04/24/samsung-q1-2023-earnings-preview-memory-chip-price-slump-hits-giant.html


半導体やスマートフォンメーカーとして世界有数の地位を築き上げているSamsungですが、2023年第1四半期の収益はかなり低調になるという見通しを発表しています。2023年第1四半期の売上高は63兆ウォン(約6兆3000億円)と前年同期の77兆7800億ウォン(約7兆8000億円)から1兆円以上減少し、営業利益は前年同期の14兆1200億ウォン(約1兆4200億円)から6000億ウォンと大幅な下落となりました。4月27日に予定されている第1四半期の正確な決算報告でもこの数字が報告された場合、2009年第1四半期以来の最低利益になるとのことです。

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Samsungの収益見通しが低調だった理由として挙げられているのが、主力製品である半導体価格の下落です。2020年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは、人々が在宅で過ごす時間を大幅に増やし、リモートワークやリモート教育の流れを世界的に促進しました。その結果、PCやスマートフォン、その他の電子製品などに用いられる半導体の需要が急激に増加し、一時は世界的な半導体不足が深刻な問題となりました。

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当時は世界的な半導体需要に対する供給が圧倒的に不足する状態で、Samsungを含むチップメーカー各社は大幅な収益増を報告しました。半導体不足がいつまで継続するのかは不明瞭であり、2022年4月にはIntelのパット・ゲルシンガーCEOが「半導体不足は2024年まで続く」との見通しを示していました

結果的に、金利の上昇や株式市場の下落、景気後退への懸念などを背景にして消費者の購買意欲が減退し、半導体不足は2022年後半から解消され始めました。すると、増産体制に入っていた半導体メーカー各社の在庫は膨れ上がり、これまでと一転して圧倒的な半導体の供給過剰が発生しました。

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ニュースメディアのCNBCは、「パンデミックの最中は人々が家に閉じこもっていたため、家電製品の需要は高かったです。家電メーカー各社はこれらの製品に搭載するチップを大量に用意しましたが、インフレやマクロ経済の懸念から買い控えが発生し、メモリチップの過剰供給が続いています」と述べています。

市場調査会社のIDCによると、2023年第1四半期のPC出荷台数は前年同期比29%減の5690万台になったとのこと。韓国の投資銀行・Mirae Asset Securitiesのアナリストは、Samsungのチップ部門が2023年第1四半期に4.4兆ウォン(約4400億円)の損失を計上すると推定しているそうです。

世界的なメモリチップの供給過剰を受けて、マイクロン・テクノロジやSKハイニックス、キオクシアなどのメモリメーカー各社は、人員や設備投資の削減を相次いで発表しました。ところがSamsungは、競合他社と異なり2023年も前年並みの設備投資を維持すると発表し、引き続きメモリチップへの投資を続ける姿勢を見せました。

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しかし、2023年4月の第1四半期収益見通しの発表と共に、ついにSamsungも「意味のあるレベル」までメモリチップを減産することを明らかにしました。

世界トップの半導体メーカーであるSamsungがついに減産に転じることで、メーカー各社が抱える在庫が解消され、価格の上昇につながることが期待されています。韓国の証券会社・NH投資証券のアナリストは、半導体の減産が需給関係にプラスの影響を及ぼすと見ており、Samsungの業績は2023年度第3四半期に回復し始めると推定しています。

一方、CrispIdeaのアナリストは、「メモリチップの在庫は史上最高水準にあるため、損失は今後数四半期は続き、価格の下落圧力もさらに強まるでしょう」「パンデミックに急増したテクノロジー産業の需要は、インフレと金利上昇に直面して低調に推移しています」と述べ、今後もSamsungにとって厳しい状況が続く可能性があると指摘しました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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