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児童ポルノ対策を建前にプライベートな写真やメッセージをのぞき見る「EARN IT法案」に電子フロンティア財団が猛抗議


児童の性的搾取防止を目的に、Twitterなどのサービスにユーザーデータをスキャンを要請する「EARN IT法案」が、第118回アメリカ合衆国議会に提出されました。この法案について電子フロンティア財団が、「犯罪撲滅の名の下にすべてのインターネットユーザーに児童虐待の疑いをかけ、永久に犯罪者予備軍として扱う」と強い言葉で非難しています。

The EARN IT Bill Is Back, Seeking To Scan Our Messages and Photos | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/deeplinks/2023/04/earn-it-bill-back-again-seeking-scan-our-messages-and-photos


2023年1月からのアメリカ合衆国議会に提出された「EARN IT法案」は、1996年に制定された通信品位法第230条、通称「セクション230」の改正を目的としたもの。ユーザーが生成した有害なコンテンツに対するプロバイダーの賠償責任を免除する、いわゆる「プロバイダー免責」を定めたセクション230は、インターネット上での言論の自由を支えているものと評価されています。その反面、SNSなどのプラットフォームが有害なコンテンツを放置する口実になっている側面もあるため、たびたび改正に関する議論が行われてきました。

EARN IT法案は、特にオンラインでの児童の性的搾取防止を目指して2020年と2022年に議会に提出されましたが、政府による検閲の危険性などから反対の声が上がり、いずれも制定には至りませんでした。リンゼー・グラム上院議員は2023年4月19日、法案を議会にみたび提出しました。


インターネット上のプライバシーや言論の自由が脅かされるたびに反対意見を表明してきた電子フロンティア財団は、3度目の審議となるEARN IT法案に対し、「この法案は選挙で選ばれたわけでもない政府委員会を設立し、法執行機関の職員でポジションを固め、ネット上のサイトやアプリを運営するための『ベストプラクティス』を作ることを目的としています。そして、この法律はインターネットのユーザーやウェブサイトの所有者に対する約30年来の法的保護を取り去り、政府の『ベストプラクティス』に従わない人たちに対する民事訴訟や刑事訴追を可能とします」と非難しました。

電子フロンティア財団によると、もしEARN IT法案が可決されれば、ユーザーのプライバシー保護のためにデータを暗号化しているウェブサイトやアプリの運営者は、サービスの安全対策を撤廃したり妥協したものに変更したりするよう圧力をかけられ、従わなければ提訴されかねないとのこと。また、州の議会がSNSなどのサービスにメッセージや写真、ファイルのスキャンを義務づけるため、ユーザーのプライバシーも脅かされることになります。


「これは、Appleが賢明にも見送った計画に似ています」と電子フロンティア財団は指摘しました。

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前述の通り、EARN IT法案はこれまで2回にわたり否決されているため、反対意見を受けて暗号化を保護するという文言が追加されています。しかし、法案ではメッセージが暗号化される前にユーザーのデバイスから法執行機関へと直接データを送信するようになっているため、この保護は見せかけだと指摘されています。

また、児童性的虐待資料(CSAM)をスキャンするシステムは完璧とは言いがたいため、無実の人がえん罪被害を被る可能性が、これまで行われてきた複数の検証により明らかになっています。

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こうした点から電子フロンティア財団は、「上院議員グループがEARN IT法案の3度目の成立を試みているのには、あきれるばかりです。この法律はオンライン上の全てのメッセージや写真、ファイルを徹底的にスキャンする可能性のある法律です。つまり、犯罪撲滅の名の下にすべてのインターネットユーザーに、児童虐待の疑いをかけ、永久に犯罪者予備軍として扱います」と述べました。

こうした反対意見に対し、規制に賛成する立場からは「やましいところがないのであれば問題ないのでは?」と指摘がなされることもあります。これに対し、電子フロンティア財団の声明を取り上げたソーシャルニュースサイト・Hacker Newsのスレッドでは、「『隠すものは何もない』という議論は、権力が乱用されるものであるということを見落としているため、誤りであることに注意が必要です」といった反論が投稿されていました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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