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データベース用語の「シャーディング」はMMORPGの「ウルティマオンライン」が由来かもしれない


1つのテーブルを複数のデータベースサーバーに分割して記録するデータベースの負荷分散方法を「シャーディング」と呼びます。このシャーディングという言葉が、老舗大規模多人数同時参加型オンラインRPG(MMORPG)の「ウルティマオンライン」に由来していることを、ウルティマオンラインのゲームデザイナーだったラフ・コスター氏が解説しています。

Database “sharding” came from UO? – Raph's Website
https://www.raphkoster.com/2009/01/08/database-sharding-came-from-uo/


コスター氏によると、「シャーディング」という言葉の用例をGoogleで検索した中で最も古いものが、2009年に書かれたFriendstarとFlickrの元従業員だったエンジニアのブログだったそうです。Flickrは今でこそ写真共有サービスですが、もともとは「Game Neverending」というMMORPGの画像共有用サービスとして開発されたのが誕生のきっかけで、実はMMRPG業界とは決して遠くないとのこと。なお、コスタ―氏は「Game Neverending」を開発したLudicorpの共同創設者であるスチュアート・バターフィールド氏からアドバイザーとして参加してほしいという依頼があったものの、当時の契約の都合で断らざるを得なかったそうで、Flickrに関わってはいません。

コスタ―氏は「『シャード』という言葉はMMORPGにおいて非常に特殊な意味と歴史を持つ言葉です。同じ静的なテンプレートデータベースを読み込みながら、異なるランタイムデータベースを動かして、ゲームの世界を並列で存在させるわけです。この並列したデータベースはシンプルに『サーバー』と言われていました」と述べています。

そして、「シャード」は、ウルティマオンラインで並列サーバーを説明するときに、ゲームの世界観とリンクさせるために生まれた言葉だとコスタ―氏は証言しています。


コスタ―氏は、ウルティマオンラインの原作となるコンピューターRPG「ウルティマ」シリーズの設定を読み漁ってプレイヤーの複数のコピーが運用されるという状況を説明しようとしたそうで、シリーズ第1作である「ウルティマ I」で「ウルティマの舞台となる異世界・ソーサリアに災厄をもたらす邪悪な魔法使いであるモンデインが、ソーサリアを宝珠に閉じ込めて支配しようとした」というストーリーから、「『ウルティマ I』のラストで「主人公がモンデインを倒して宝珠を砕いたことで、宝珠の破片のそれぞれにソーサリアの歪んだコピーが生まれた」という設定を考え出しました。

この「宝珠の破片」というのはオリジナルの「ウルティマ」シリーズにはない概念なので、どう名付けるかが重要だった、とコスター氏。すでにアメリカン・コミックスの世界では「マルチバース」の概念は生まれていましたが、その言葉にはウルティマらしさがないと考えたコスター氏は、宝珠の破片を「シャード」と名付けたそうです。


このことから、ウルティマオンラインの各サーバーを「シャード」と呼ぶようになり、時代が進むにつれてウルティマオンライン以外でも使われるようになったそうです。90年代にMMORPGをプレイしていた人たちは「サーバー」と「シャード」を同じ意味で使い、物理サーバーではなく並列サーバーを指して「シャード」と呼ぶこともあるそうです。

ただし、コスター氏は「シャード」という言葉の起源が「ウルティマオンライン」にある証拠を示せないそうで、「初めて『シャード』という言葉が生まれたのは、『ウルティマオンライン』の開発時期だった1996年に書いたドキュメントだったのでしょうか? うーん……はっきりとはしません。もしかしたら面白い偶然の一致かも。そのドキュメントをまだ持っていたでしょうか……」とコメントしています。

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in ネットサービス,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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