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高評価な製品のバリエーションとしてまったく別の新製品を販売するAmazonの「レビューハイジャック」を行った小売業者に8000万円もの罰金が科される


Amazonで高評価が多く付いた製品のバリエーションとして別の製品を販売した小売業者に対し、アメリカの連邦取引委員会(FTC)が60万ドル(約8000万円)の罰金を含む判決を下しました。他の製品が受けた評価を乗っ取る形で評価を押し上げる「レビューのハイジャック」という手口に関するFTCの執行措置としては、史上初の例となっています。

FTC Approves Final Order against The Bountiful Company in First Case Alleging Hijacking of Online Product Reviews | Federal Trade Commission
https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2023/04/ftc-approves-final-order-against-bountiful-company-first-case-alleging-hijacking-online-product

FTC Charges Supplement Marketer with Hijacking Ratings and Reviews on Amazon.com and Using Them to Deceive Consumers | Federal Trade Commission
https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2023/02/ftc-charges-supplement-marketer-hijacking-ratings-reviews-amazoncom-using-them-deceive-consumers

(PDFファイル)In the Matter of THE BOUNTIFUL COMPANY,a corporation.| UNITED STATES OF AMERICA BEFORE THE FEDERAL TRADE COMMISSION
https://www.ftc.gov/system/files/ftc_gov/pdf/the_bountiful_company_complaint.pdf

FTC orders supplement maker to pay $600K in first case involving hijacked Amazon reviews | TechCrunch
https://techcrunch.com/2023/04/10/ftc-orders-supplement-maker-to-pay-600k-in-first-case-involving-hijacked-amazon-reviews/

FTC fines supplement maker $600,000 for 'review hijacking' Amazon listings | Engadget
https://www.engadget.com/ftc-fines-supplement-maker-600000-for-review-hijacking-amazon-listings-210142185.html

サプリメントの小売業者「The Bountiful Company(以下、Bountiful)」は2020年から2021年にかけて、Amazonの機能を悪用して新しいサプリメントの一部が実際のレビューよりも高評価を受けているように偽装したことで、FTCから60万ドルの罰金を科されたことが2023年4月10日の発表で明らかになりました。

FTCによると、BountifulはAmazon商品ページにある「バリエーション選択機能」について視聴者をだますような戦術を行いました。Amazonのバリエーション選択機能とは、例えば以下は「DHCマルチビタミン」の商品ページにある内容で、現在見ている商品の類似するオプションとして「DHCキトサンとのセット」「DHCカルシウム/マグとのセット」を選ぶことができるほか、サイズを60粒、120粒、180粒、それぞれ1袋か2袋、と選択することができます。主にファッションアイテム等のサイズやカラーバリエーション、食料品等の内容量などを好みに合わせて選択できる機能となっています。


FTCの訴状によると、バリエーション関係にある商品の詳細ページでは、バリエーションに含まれる全商品の評価数、レビュー数、平均星評価数が合計で表示される仕組みになっています。これを悪用して、Bountifulは新製品を過去の安定して評価を受けている製品のバリエーションとしてAmazonに申請することで、商品ページを統合し、評価を操作していたと指摘されています。バリエーションとして選択された商品は、配合や処方目的が異なる商品で、バリエーションとして表示するには明らかに不適切だったとFTCは述べています。また、旧製品が得ていた「No.1 Best Seller」「Amazon's Choice」のバッジもページを統合することで新製品に共有されたとのこと。

2020年8月時点で、新しい製品へ1000件のレビューと星4.5の高評価が寄せられていましたが、ページを統合する前は26件のレビューと星3.2の評価があるのみで、Bountifulのeコマース担当者は「消費者は残念ながら新製品を気に入っていませんでしたが、ページを変更した瞬間に売り上げが急上昇し、その後も成長を続けました」と述べています。FTCは訴状の中で2020年から2021年に行われた十数件の事例を引用しています。


FTCの消費者保護局の責任者であるサミュエル・レヴィン氏は「別の製品の評価やレビューを乗っ取って自社製品を宣伝することは、比較的新しい戦術です。しかし、昔ながらの虚偽広告と同じで、禁止されるものです」と述べています。

Amazonの広報担当者はEngadgetの取材に対し、「Amazonのストアには詐欺を推奨している場所はありません。Amazonは不正な出品を防ぐための積極的な対策を講じており、ストアを継続的に監視しています。私たちのポリシーでは、肯定的なレビューを書くことを条件にしたギフトカード提供など、レビューの悪用を禁止しています。私たちは、これらのポリシーに違反する者に対しては、アカウントの一時停止や禁止、法的措置をとり、不正確なレビューを削除します」と語っています。Amazonによると、レビューの99%以上は本物のレビューであり、残りの1%を撲滅するために、FTCやその他の執行機関と協力していくそうです。

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in ネットサービス, Posted by log1e_dh

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