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NANDメモリの売上高が前年同期比で45%も減少、人気SSDの販売価格も急落していることが明らかに


調査企業のTrendForceが、NANDメモリ市場についての報告書を発表しました。PCやスマートフォンの需要減退とNANDメモリの供給過剰により、3D NANDメモリの価格はここ数四半期で急落しており、2022年第4四半期(10月~12月)におけるNANDメモリの売上高は前年同期比で45%、前四半期比で25%という急激な落ち込みを見せています。

Press Center | TrendForce - Market research, price trend of DRAM, NAND Flash, LEDs, TFT-LCD and green energy, PV
https://www.trendforce.com/presscenter/news/20230317-11618.html

NAND Flash Prices Have Dropped Rapidly In Recent Quarters - And So Have SSD Prices
https://www.anandtech.com/show/18777/prices-of-nand-flash-drop-rapidly-so-do-prices-of-ssds

NANDメモリメーカーの2022年第4四半期の売上高は102億8700万ドル(約1兆3700億円)で、前四半期比25%減、前年同期比45%減となりました。NANDメモリの平均販売価格は前四半期比で22.8%低下していますが、出荷数はわずか5.3%しか増加していなかったことから、PCやスマートフォンのベンダーが過剰在庫を懸念し、NANDメモリを必要以上に購入することをためらったとみられます。

各メーカーにおけるNANDの売上高(Revenue)と市場シェア(Market Share)をまとめた表が以下。売上高の数字の単位は100万ドルで、QoQは前四半期比を意味します。


市場シェア33.8%で首位を維持しているSamsungは、NANDメモリの売上高が34億8000万ドル(約4500億円)で、前年同期比43%減、前四半期比で19.1%減でした。Samsungは、平均販売価格が低下しているにもかかわらず、コスト優位性を活かして大容量製品に注力することで、総ビット出荷数を増やすことに成功しています。また、同業他社とは異なり、記事作成時点では3D NANDの生産量を削減する計画を発表していません。

市場シェア19.1%で2位のKioxiaのNANDメモリの売上高は前年同期比44.5%減・前四半期比30.5%減の19億6800万ドル(約2600億円)でした。KioxiaはNANDメモリだけではなくデータセンター向けSSDも販売しており、PC・スマートフォンの需要低迷やサーバーベンダーの在庫調整の影響を大きく受けた形になります。


SK Hynixの親会社でSolidigmを擁するSK GroupのNANDメモリの売上高は前年同期比51.4%減・前四半期比30.9%減となる17億5500万ドル(約2300億円)で、市場シェアは17.1%で3位でした。SK GroupのNANDメモリの売上高は減っていますが、家電向けNANDメモリの出荷や法人向けSSDの販売台数が増加し、総ビット出荷数は前四半期比で6.7%増加したそうです。

30%以上の市場シェアを握っているSamsungのSSDは人気が高く、Amazon.comにおけるSSDの売上ランキング上位10モデルのうち、7モデルがSamsung製品。特に、トップ3は970 EVO Plus 1TB980 PRO 2TB970 EVO Plus 2TBと、Samsung製SSDが独占しています。


以下はランキング3位であるSamsung 970EVO Plus SSD 2TBのAkazonにおける販売価格の推移を示したグラフ。2022年10月には200ドル(約2万6000円)前後だったのが、2023年3月では125.55ドル(約1万7000円)にまで下落。


ランキング4位のSamsung 870 EVO SATA SSD 1TBの販売価格推移も、Samsung 970EVO Plus SSD 2TBと似た形となっています。


SK hynix Gold P31 2TBはノートPCユーザーから人気で、販売されてもすぐに在庫切れを起こすため、価格の浮き沈みが激しい傾向が見られます。価格は最安値で119.99ドル(約1万5900円)にまで下がりますが、すぐに208.24ドル(約2万7600円)に戻ります。


TrendForceは「Kioxia・Micron・SK Group・Western Digitalは2023年第1四半期に向けて減産を続け、過剰在庫の状況を緩和できる可能性があります。その結果、NANDメモリの平均販売価格の低下は10~15%にまで抑えられると考えられます。しかし、第1四半期は顧客の購買意欲が低い時期なので、受注は伸び悩むことが予想されます。このことから、2023年第1四半期におけるNANDメモリの売上高は8.1%の減少がみられると予測しています」とコメントしました。

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in ハードウェア, Posted by log1i_yk

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