サイエンス

Apple Watchを使った調査でユーザーのほとんどが毎日十分な睡眠を取れていないことが明らかに


睡眠は心や体を健やかに保つことに欠かせない行為であり、睡眠時間が短いと心臓やその他内臓の病気を誘発してしまう可能性があります。しかしながら、ヘルスケア機関が推奨するような適切な睡眠時間を十分に取れているとは言いがたいという結果が、Appleの研究チームが4万2000人以上のユーザーから収集したデータにより明らかになりました。

Life’s Essential 8 for Cardiovascular Health – Part 1, Sleep – Apple Heart & Movement Study
https://appleheartandmovementstudy.bwh.harvard.edu/lifesessential8-part1-sleep/

Appleの健康に関する研究チーム・Apple Heart and Movement Studyは、心臓や血管の病気について調査する取り組みをかねてから実施しており、新たに心血管系の病気に深く関係する睡眠について調査を行いました。


研究チームは2022年2月1日から2022年6月1日までの4ヶ月間にApple Watchで収集された睡眠測定値のデータを参照し、その時点で調査に参加していた対象者のうち、10泊以上の睡眠データを共有した4万2455人の統計を算出しました。その結果、1人当たりの平均睡眠時間が6時間27分であったことが分かりました。

アメリカ心臓協会が推奨する健康的な睡眠時間は7時間~9時間ですが、今回の調査対象者のうち、たった31.2%しかこの基準を満たせていないことも分かっています。


アメリカは州によって環境が大きく異なるため、研究者らは州ごとに区別して統計を見直しました。すると、一晩に平均7時間以上の睡眠を取っている人の割合が高い州は主に北部に固まっており、ワシントン州、サウスダコタ州、アイダホ州が最も高く、ハワイ州、ミシシッピ州、ウエストバージニア州が最も低いことが判明します。


研究者らは「州間の睡眠パターンの違いは、緯度、文化の違い、年齢などの人口動態の違い、雇用形態、職種、その他多くの要因に関連していると考えられます」と推測しています。しかしながら、州レベルの違いはあるものの、すべての州で推奨睡眠時間を満たしている住民は40%未満であったことも分かっています。

本研究では、総睡眠時間を見るだけでなく、一晩の睡眠時間の変動や睡眠・覚醒時間の変動など、睡眠がどのように変化するかも調べられました。

研究者らが週末と平日の睡眠開始時間の違いを調べたところ、平日は66.4%が0時前に就寝していますが、週末は56.6%に減少していることが分かりました。想像通りとはいえますが、人々は週末に夜更かしをする傾向があるようです。


睡眠開始時間が不規則だと、特定の病気にかかりやすいなどの懸念があります。以下の図では29日間の睡眠開始時間について、規則的な人(青)と、不規則な人(オレンジ)の代表的な数値が示されています。


以下の図では、同様に総睡眠時間の数値が示されています。ハーバード大学が高齢者を対象に行った研究では、睡眠パターンの変動が大きい人はBMIが高く、全体の睡眠時間が短く、睡眠中の心拍数が高く、抑うつ症状が現れやすいなどの結果が得られているとのことなので、不規則な睡眠をしている人は睡眠習慣を見直した方がいいかもしれません。


研究者らは「多くの人が自分の睡眠時間を過大評価する傾向があることが示されています。Apple Watchを使って睡眠を追跡することは、自分の本当の睡眠パターンをよりよく理解するための大きな一歩となります。まだApple Watchで睡眠を設定しておらず、自分の睡眠指標を見ることに興味がある方は、設定と睡眠データの閲覧の手順を確認してください」と勧めました。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by log1p_kr

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