ハードウェア

イーロン・マスクの脳インプラント会社「Neuralink」による臨床試験申請をFDAが却下、インプラントのリチウム電池使用や取り外し方法などに懸念あり


テスラやSpaceX、TwitterのCEOであるイーロン・マスク氏が手がけている、脳神経に接続するためのインプラントを開発する企業「Neuralink」の臨床試験申請を、アメリカ食品医薬品局(FDA)が却下したことが明らかになりました。

U.S. regulators rejected Elon Musk’s bid to test brain chips in humans
https://www.reuters.com/investigates/special-report/neuralink-musk-fda

FDA not OK with Elon Musk's Neuralink tests on humans • The Register
https://www.theregister.com/2023/03/02/neuralink_fda_rejection/


「Neuralink」が目指しているのは、人間の脳神経とコンピューターとを接続するインプラントを脳に埋め込むというもの。インプラント経由で脳の活動をモニタリングしたり、脳の電気信号をインプラントが読み取ることで「思考だけでゲームをプレイ」できたりすると報告されています。

脳にチップを埋め込んだサルが「思考」だけでゲームをする映像が公開される - GIGAZINE


これまでNeuralinkはブタやサルを対象にインプラントを埋め込んできましたが、イーロン・マスク氏は2022年12月、「2023年前半に人間へのインプラント埋め込みをしたい」という意向を示し、FDAに必要書類を提出していることを明らかにしていました。

イーロン・マスクの脳インプラント企業「Neuralink」は2023年前半に人間の脳にチップを埋め込むことを望んでいる - GIGAZINE


Neuralinkの現従業員・元従業員7名がロイターに語った内容によると、Neuralinkは2022年初頭にFDAに対して人間での臨床試験を申請したものの、数十の理由を列挙したリストとともに却下されたとのこと。

却下理由としては、インプラントの駆動にリチウム電池が使われていることに対する懸念、インプラントに用いられるワイヤーが脳の別の場所に移動する可能性があるという懸念、インプラントを脳組織に損傷を与えることなく取り除けるのかという懸念、どのように取り外しを行うのかという懸念などが挙げられていたそうです。


Neuralinkは、違法な動物実験を繰り返していることや、実験で死んだ動物から取り外したインプラントの扱いが適切ではなかったことについて政府の調査を受けていることが報じられています。

イーロン・マスクの脳インプラント企業「Neuralink」が違法な動物実験を繰り返しているとして政府の調査を受けていることが明らかに - GIGAZINE


イーロン・マスクの脳インプラント企業「Neuralink」がサルの脳から汚染されたデバイスを取り出して違法に輸送したとしてアメリカ政府からの調査を受けていることが発覚 - GIGAZINE


なお、FDAに対して申請を必要な人体を用いた治験デバイスは、だいたい3分の2が初回の申請で承認され、85%は2回目の申請で承認を受けられるとのこと。このため、Neuralinkも不足している部分を補うことで承認を受けられる可能性はあるようです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
脳に電極を埋め込み直接スマホを操作する「Neuralink」の詳細をイーロン・マスクが発表 - GIGAZINE

「脳にデバイスを埋め込んで耳鳴りを治す」というイーロン・マスク氏の計画は実現可能なのか? - GIGAZINE

Neuralinkのイーロン・マスクCEOが脳とAIをつなぐ埋め込みチップ「Link」&自動手術ロボ「V2」を発表 - GIGAZINE

in ハードウェア, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.