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脱Googleを目指すインドで独自OSの「BharOS」が誕生、LinuxベースのモバイルOSでAndroidに取って代われるか?


インド工科大学(IIT)マドラス校のインキュベーションとして誕生したスタートアップのJandKopsが、インド発の独自モバイルOS「BharOS」を発表しました。

JandKops:bharos
https://jandkops.in/

IIT Madras-incubated Firm develops Indigenous Atmanirbhar Mobile Operating System | Indian Institute of Technology Madras
https://www.iitm.ac.in/happenings/press-releases-and-coverages/iit-madras-incubated-firm-develops-indigenous-atmanirbhar

India demos monopoly-busting national mobile OS • The Register
https://www.theregister.com/2023/01/25/bharos_india_demo/

IITマドラス校が設立した非営利財団であるIIT Madras Pravartak Technologies Foundationは、インド政府の科学技術省(DST)の学際的サイバー物理システムに関する国家ミッションのもとで資金提供を受けています。このIIT Madras Pravartak Technologies Foundationにより設立されたのが、JandKopsです。


そのJandKopsが、2023年1月19日に行われた記者会見でインド発のモバイルOS「BharOS」を発表しました。記者会見の中で、BharOSを搭載したスマートフォンを使ったビデオ通話デモンストレーションが行われており、LinuxカーネルベースのOSであることが明かされていますが、その他の詳細は記事作成時点では不明です。

BharOSの詳細は不明ながら、ホーム画面および設定画面が公開されています。


IITマドラス校のディレクターであるV・カマコティ教授は、「BharOSにより、ユーザーは自身のニーズに合ったアプリのみを選択して使用できるようになり、自由度・制御性・柔軟性が向上します。この革新的なシステムは、モバイル端末のセキュリティとプライバシーに対するユーザーの考え方に革命をもたらすことを約束します」と語っています。

2022年、インドの独占禁止当局であるインド競争委員会は「Google製モバイルOSであるAndroidのポリシーを用いて反競争的な慣行に従事した」としてGoogleに133億8000万ルピー(約210億円)の罰金を科しました。インド競争委員会は罰金以外にも、ChromeやYouTubeといったGoogle製アプリのプリインストールを義務づけないことや、スマートフォンからGoogle製アプリをアンインストールできるようにすること、検索エンジンのプロバイダーを変更できるようにすることを求めていました。この罰金に対して、Googleはインドの最高裁判所に対して命令を無効化するよう求めていましたが、最高裁は同社の訴えを退けています

Googleに約240億円の罰金が科される、「Androidの慣行は反競争的」とインド当局 - GIGAZINE


インド競争委員会から科された罰則によりインドでのAndroidビジネスにおける方針転換を迫られているGoogleですが、そんなAndroidに取って代わることが期待されるのがBharOSというわけ。BharOSはNo Default Apps(NDA:デフォルトアプリなし)、つまりはOSにプリインストール(初めからインストール)されているアプリが存在しないため、ユーザーは慣れていないアプリや信頼できないアプリの使用を強制されることがなく、ユーザーはデバイス上のアプリが持つアクセス許可をより詳細に制御可能となります。

JandKopsのKarthik Ayyar氏は「デバイスは安全です。Native Over The Air updates(NOTA)によりソフトウェアアップデートが自動的にインストールされます。ユーザーが手動でプロセスを開始する必要はありません。これにより、デバイスは常に最新バージョンのOSを実行していることが保証されます。他にも、NDAやPrivate App Store Services(PASS)により、BharOSはインドの携帯電話が信頼できるものであることを保証します」とコメントしています。

PASSは徹底的に精査され、組織の特定のセキュリティおよびプライバシー基準を満たした厳選されたアプリリストへのアクセスを提供するという機能。つまり、ユーザーはインストールされているアプリが安全に使用でき、潜在的なセキュリティの脆弱性やプライバシーの問題がないかチェックされていることを確信できるとIITマドラス校は主張しています。

2020年にインドのナレンドラ・モディ首相は、インドをあらゆる意味で独立・自立させるためのAtmanirbhar Bharat(自立したインド)計画を提唱しました。IITマドラス校はBharOSについて、「Atmanirbhar Bharatに大きく貢献するもの」と主張。さらに、カマコティ教授は「IITマドラス校はより多くの民間産業、政府機関、戦略機関、通信サービスプロバイダーと緊密に協力することで、我が国でのBharOSの使用・採用を増やすことを楽しみにしています」とも語っています。

なお、JandKopsの公式サイトには「BharOSは現在、セキュリティとプライバシーの要件が厳しい組織に提供されています」と記載されており、すでにBharOSが使用されていることが示唆されています。

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in モバイル,   ソフトウェア, Posted by logu_ii

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