サイエンス

ChatGPTやGoogle検索で使われているAIベースの自然言語処理アルゴリズムをアミノ酸配列に適用してタンパク質言語モデルを作成することで創薬時間を数カ月に短縮


Google検索やチャットAI「ChatGPT」などでは、人間が書いた文章を機械的に処理するために自然言語処理アルゴリズムが用いられています。そんな自然言語処理アルゴリズムが、創薬分野でも活躍しつつある現状が報告されています。

How AI That Powers Chatbots and Search Queries Could Discover New Drugs - WSJ
https://www.wsj.com/amp/articles/how-ai-that-powers-chatbots-and-search-queries-could-discover-new-drugs-11670428795

解熱剤や頭痛薬などの薬品には各種症状に影響を与えるタンパク質が含まれており、新たな薬品を開発するためには目的の症状に有効なタンパク質の構造を導き出す必要があるのですが、既存の方法ではタンパク質の構造を導き出すには何年間もの時間が必要です。

タンパク質はアミノ酸が並んだ構造をしており、タンパク質の構造を導き出すことはアミノ酸の配列を導き出すことと同義です。各アミノ酸はアラニンはA、アルギニンはR、アスパラギンはNといったようにアルファベット1文字で略記することが可能で、「アラニン、アルギニン、アスパラギン」とアミノ酸が並んでいる場合は「ARN」と表せます。このため、アミノ酸の配列を自然言語に見立てて自然言語処理アルゴリズムを適用することが可能とのこと。自然言語処理アルゴリズムをアミノ酸の配列に合わせてトレーニングすることで、特定の症状に有効な配列を「文法」として捉えて新薬に用いることが可能なアミノ酸配列を数カ月で導き出せるようになります。


すでに、自然言語処理アルゴリズムを創薬分野で活用しようとする動きは世界中で進んでおり、これまで有効な薬が開発されていなかった病気の治療薬開発に期待が寄せられています。カナダのバンクーバーに拠点を置く製薬企業「Absci」のシーン・マクレーンCEOは「自然言語処理アルゴリズムの活用によって、これまで有効な薬品が存在しなかった分野での研究が進むでしょう」と述べています。

上記のように自然言語処理アルゴリズムによって創薬の高速化が期待されていますが、同時に「既存の薬品とかけ離れた構造の薬品を開発した場合、意図しない副作用が生じる可能性が高まる」といった問題も存在しています。このため、記事作成時点では「既存の薬品の構造を微調整して、有効性を高める」といった用途での活用が優先的に研究されているとのこと。例えば、上述の製薬企業「Absci」が2022年8月に発表した論文では、自然言語処理アルゴリズムを用いて抗がん剤「トラスツズマブ」の構造に調整を加え、タンパク質とがん細胞の結合を強めることに成功しています。

自然言語処理アルゴリズムの創薬への活用について報告したカレン・ハオ氏は「製薬業界には厳しいルールによって規制されており、自然言語処理アルゴリズムによる成果物が有効なものなのか害を及ぼすものなのかを判断できる明確な基準があります。私はこの点を気に入っています」と述べています。

This is what I like about this particular application of large language models. The drug industry is highly regulated, and there are clear ways to measure whether the output of a protein-language model is doing more harm than good.

— Karen Hao 郝珂灵 @[email protected] (@_KarenHao)

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in サイエンス, Posted by log1o_hf

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